日本の戦後写真における転換期となった1960年代末から70年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家、中平卓馬の没後初となる回顧展。劇的なエピソードによって固定化された中平像に対し、初期から晩年まで約400点の写真・資料を通じて、その仕事を改めて丁寧にたどり、その展開を再検証する。
おすすめ展覧会
日本の女性映画人(2)——1970-1980年代 @ 国立映画アーカイブ
日本映画の歴史において、さまざまな分野で女性が活躍した作品を紹介する特集上映。監督・脚本・製作などの分野を中心に、劇映画からドキュメンタリーまで計74作品を上映し、日本映画の転換期に新機軸をもたらした女性映画人たちの足跡を振り返ることにより、日本映画史の再考につながる新たな視座を切り拓く。
オチ・オサム展 @ 福岡市美術館
福岡の戦後美術を語る上で欠かせない前衛美術グループ「九州派」のメンバーとして活動し、晩年まで孤高の存在として内から湧き出るビジョンを表現し続けたアーティスト、オチ・オサムの回顧展。オチ・オサム個人に焦点を当てた美術館初の回顧展として、オチが残した作品等の調査に基づき、これまで十分に光の当たらなかった全貌に迫る。
海と生きる、記憶をたどる物語 @ 黒部市美術館
東日本大震災発生直後から約2年間にわたり、震災被害記録と調査活動を実施した宮城県気仙沼市にあるリアス・アーク美術館が所蔵する写真と被災物を公開するとともに、黒部市に暮らす人々の記憶や大切なものをテーマに募集した作品を紹介する展覧会。
とびたつとき:池田満寿夫とデモクラートの作家 @ 広島市現代美術館
日本人初のニューヨーク近代美術館での個展やヴェネツィア・ビエンナーレの版画部門国際大賞の受賞など、若くして国際的な評価を獲得した池田満寿夫の1950年代から66年頃までの作品とともに、池田が影響を受け、また交友のあった作家の作品により、当時、世界から注目された彼らの表現を振り返る展覧会を開催。
αMプロジェクト2023‒2024「開発の再開発 vol.4 松平莉奈|3つの絵手本・10歳の欲」@ gallery αM
日本画の領域で培われた技術や画材を咀嚼しながら、他者について想像することをひとつの主題とし、人物などを中心とする具象画を制作する日本画家の松平莉奈の個展。
フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館
「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」などを手がけ、アメリカ近代建築を代表する建築家として国際的に知られるフランク・ロイド・ライトの活動を近年の研究成果を踏まえて紹介する展覧会。帝国ホテルを基軸に、多様な文化と交流し常に先駆的な活動を展開したライトの姿を7つのセクションを通じて明らかにしていく。
エヴェリン・タオチェン・ワン「An Organic Day -有機的な一日」@ KAYOKOYUKI
男性/女性、西洋/東洋といった単純な二項対立的な手法を避け、独創的で詩的なユーモアによってアプローチし、「自己とは何か」というテーマに向き合い続けるエヴェリン・タオチェン・ワンの個展。
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ TOTOギャラリー・間
建築設計や論考執筆に加え、国内外の大学を拠点に、建築と都市と生態系の関係性リサーチを続ける能作文徳と常山未央の個展「都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」を開催。
ナオミ・リンコン・ガヤルド「ホルムアルデヒド・トリップ」@ Gallery PARC、京都芸術センター
脱植民地主義的クィア(cuir)の視座から、リサーチに基づきつつ批判的観点を取り入れた神話的な世界観を練り上げ、ネオコロニアルな環境における対抗世界の創造について考察するナオミ・リンコン・ガヤルドの作品を、展覧会(Gallery PARC)と上映パフォーマンス(京都芸術センター)のふたつの形式で紹介。