サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」 Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展 @ 東京都現代美術館

 

サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/
津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」
Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展

2024年3月30日(土)- 7月7日(日)
東京都現代美術館
https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/exhibition/exhibition_2022_2024.html
開館時間:10:00–18:00
休館日:月(ただし、4/29、5/6は開館)、4/30、5/7
入場料:無料
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団、トーキョーアーツアンドスペース・東京都現代美術館

 

東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)は、Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024の受賞者のサエボーグと津田道子による受賞記念展を東京都現代美術館で開催中。

「Tokyo Contemporary Art Award (以下、TCAA)」は、東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)によって、2018年より中堅アーティストを対象に、受賞から複数年にわたる継続的支援によって更なる飛躍を促すことを目的とした現代美術賞。過去には風間サチコ、下道基行、藤井光、山城知佳子、志賀理江子、竹内公太が受賞し、受賞記念展が開催された。また、2024年2月にはTCAA 2024–2026の受賞者に選ばれた梅田哲也と呉夏枝の授賞式および受賞記念シンポジウムも開かれた。

今年はサエボーグが「I WAS MADE FOR LOVING YOU」、津田道子が「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」とそれぞれにタイトルを設けた個展形式での開催となる。制作に対する関心もアプローチも大きく異なるサエボーグと津田による展示は、お互いの空間が独立したものでありながら、鑑賞者の行動が作品の一部となるという共通点を持つ。鑑賞を通じて自身に向き合うことで、動物を含む他者との関係性や、社会的に期待された役割などに目を向ける機会となる。

 


サエボーグ、展示風景「「I WAS MADE FOR LOVING YOU」Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展」東京都現代美術館、東京、2024年


津田道子、展示風景「「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展」東京都現代美術館、東京、2024年

 

サエボーグは、昨年の海外滞在リサーチでの経験や近作《House of L》や《Super Farm》を下敷きに、「弱さ」と「力」にフォーカスした新作を発表。展示室の中には犬のボディスーツによる着ぐるみの「サエドッグ」がおり、鑑賞者は交流することができる。鑑賞者がパフォーマンスの一部となることで、観る側が時として観られる側に回るような、美術館の展覧会の構造を利用した仕掛けを試みる。津田は、自身の幼少期のホームビデオに収められた家族の出来事から着想した新作を中心に、自動で稼働するようプログラミングされた映像装置を組み込んだインスタレーションを展開する。どこにでもあり得る出来事の再演は、家族という最小単位の社会による、きわめて個人的な記録を起点としながらも、演者の性別、年齢、言語などのずれによって集団の中での人々の立ち位置やシステムへと領域を広げていく。なお、本展の会期末7月頃には、出品作品を含む作品画像、本人の文章、専門家の寄稿を収録した各アーティストのモノグラフ(作品集)が日英バイリンガルで発行される予定。

 


サエボーグ「Cycle of L」公演風景(高知県立美術館、2020) 撮影:釣井泰輔


津田道子《so far, not far》よりスチル画像 2023

 

サエボーグ(1981年富⼭県⽣まれ)は、家畜や糞虫などさまざまな生き物を模したラテックス製のボディスーツを自作し、自ら装着して行なうパフォーマンスを発表してきた。そのパフォーマンスは国内最高峰のフェティッシュパーティー「デパートメントH」で初演された後に国内外の国際展や美術館で発表されてきた。2014年には第17回岡本太郎現代芸術賞で岡本敏子賞を受賞。その後も「六本木アートナイト2016」(六本木ヒルズ A/D gallery)、「TAG: Proposals on Queer Play and the Ways Forward」(ペンシルヴァニア大学/ICA、2018)、「第6回アテネ・ビエンナーレ」(Banakeios Library、2018)、「Dark Mofo 2019」(Avalon Theatre/MONA、ホバート、オーストラリア、2019)、あいちトリエンナーレ2019、「Slaughterhouse17」(Match Gallery/MGML、リュブリャナ、2019)、「Ultra Unreal」(シドニー現代美術館、2022)、「シアターコモンズ ’23」(東京都内エリア各所、2022)、「ミドルズブラ・アート・ウィーク」(イギリス、2023)など。2024年9月には、「TangenteSt.Pölten Festival for Contemporary Culture」(ザンクト・ペルテン、オーストリア)にて、「世界演劇祭2023」(フランクフルト、オッフェンバッハ、ドイツ)で発表した「Super Farm」を再演する。

津田道子(1980年神奈川県⽣まれ)は、鏡やフレーム、映像装置を配置したインスタレーションやパフォーマーとの共同作業によるパフォーマンスなどを通じて、鑑賞者の視線と動作によって不可視の存在を示唆する作品を制作している。2017年には文化庁メディア芸術祭アート部門の新人賞を受賞。近年の主な展覧会に、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)、あいちトリエンナーレ2019、「TOKAS Project Vol.2 「FALSE SPACES 虚現空間」」(TOKAS本郷、2019)、「「インター+プレイ」第1期」(十和田市現代美術館、2020)、個展「トリローグ」(TARO NASU、2020)、第10回アジア・パシフィック・トリエンナーレ(クイーンズランド州立美術館、ブリスベン、2021)、「とある美術館の夏休み」(千葉市美術館、2022)、「津田道子 so far, not far」(金沢アートグミ、2023)などがある。

 


サエボーグ「Dark Mofo 2019『Pigpen』」公演風景(Avalon Theatre、ホバート、オーストラリア) 撮影:Dark Mofo 2019


津田道子《あなたは、翌日私に会いにそこに戻ってくるでしょう。》 2016「オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス」展示風景(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、東京) 撮影:山本糾

 

関連イベント
アーティスト・トーク ※既に終了
出演:サエボーグ、津田道子、 ソフィア・ヘルナンデス・チョン・クイ(TCAA 2022-2024選考委員)、本展担当学芸員
モデレーター:塩見有子(特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ ディレクター/TCAA選考会運営事務局)
2024年3月30日(日)14:00-15:30(開場 13:30)
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂
定員:200名
料金:無料
※日英同時通訳あり

サエボーグ ラテックス製の犬の着ぐるみ「サエドッグ」によるパフォーマンス
平日:1日2回(各回1-2時間程度)、土日祝:開館時間中、常時実施
会場:東京都現代美術館 企画展示室 3F、サエボーグ 展示エリア

津田道子 東京都現代美術館がある江東区三好エリアとその周辺を作家と共に走るランイベント
※開催内容や申し込み方法などの詳細は、決定次第TCAAウェブサイトに掲載予定

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