AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展 @ 語らい座 大原本邸

 

AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展
2024年4月19日(金)-5月3日(金)
語らい座 大原本邸(岡山県倉敷市中央1丁目2-1)
https://www.oharahontei.jp/3217-2/
開館時間:9:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:4/22
キュレーション:長谷川新(インディペンデントキュレーター)、川上幸之介(倉敷芸術科学大学)
主催:AWC実行委員会

 

倉敷を拠点に活動する川上幸之介研究室とインディペンデントキュレーターの長谷川新のキュレーションの下、1960年代末にニューヨークで結成されたアーティストや批評家たちによるアートワーカーズ連合(Art Workers’ Coalition、AWC)の活動を写真資料を中心に振り返る展覧会「AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展」が岡山県倉敷市の語らい座 大原本邸で開催される。

AWCは、1960年代末からの極めて短期間の活動にもかかわらず、美術館や企業のベトナム戦争への加担、美術館制度の特権性、労働者としてのアーティストの権利などに焦点を当て、さまざまな行動を展開した。その活動は現在にも通じる重要な問題を提起するものだったが、同時に、組織内部に人種差別、性差別が拭いがたく含まれており、AWC自体は数年で活動を終了することになった。

 


Art Workers’ Coalition demonstration in front of Picasso’s Guernica, Museum of Modern Art, New York, 1970. Photograph © Jan van Raay.


Tom Lloyd’s son at the Art Workers’ Coalition and Black Emergency Cultural Coalition protest at the Museum of Modern Art, New York, May 2, 1970. Photograph © Jan van Raay.

 

2009年、美術史家のジュリア・ブライアン゠ウィルソンがAWCの研究書『Art Workers: Radical Practice in the Vietnam War Era』を出版。当時「アートワーカー」を自称し、行動を共にした人々がいたこと、そこでどのような問題が浮上し、未解決に終わり、そうした問いが引き継がれていったのかを検証することは、時間も空間も遠く隔たった2024年の日本においても有効であると捉え、アートワーカーズ翻訳プロジェクト実行委員会が2024年3月に『アートワーカーズ 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践』(フィルムアート社、高橋沙也葉/長谷川新/松本理沙/武澤里映=訳)を翻訳出版した。また、川上研究室もこれまで『アートワーカーズ』訳者の高橋、大原社会問題研究所の藤原千沙を招聘し展覧会に向けたプレイベントを開催。これらと同時代の動向として、2023年2月には国内でも「アーティスツ・ユニオン」が結成されている。

本展は、写真資料を中心にAWCの活動の振り返りを通じて、現在の美術実践はもちろん、人種、性差、戦争をめぐる芸術と社会環境を考えるための議論の場を目指す。

なお、本展は会期終了後に同じく倉敷市内に新設されるギャラリー「Kurashiki Avant Gard(KAG)」への巡回を予定している。KAGは、株式会社クラビズ(代表:秋葉優一)がディレクターに川上幸之介を迎えて、4月20日よりオープンする。最初の企画は、ローラ・ポイトラスがナン・ゴールディンの活動を追ったドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』(2022)の上映。同日には岩渕貞哉(美術手帖編集長)と山本浩貴(美術史)の公開講座「美術館と芸術メディアのたそがれ」も開催する。今後もAWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展のほか、クィア・パンクのZINE「J.D.s」をブルース・ラ・ブルースとともに創刊したカナダ人アーティストのG.B.ジョーンズの個展、日本の若手アーティストのグループ展などを予定している。

 


 

ジュリア・ブライアン゠ウィルソン『アートワーカーズ 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践』
高橋沙也葉/長谷川新/松本理沙/武澤里映訳、フィルムアート社、2024年
https://www.filmart.co.jp/books/9-784-8459-2308-3/

 


 


『美と殺戮のすべて』(監督/ローラ・ポイトラス、2022)© 2022 PARTICIPANT FILM LLC

上映:『美と殺戮のすべて』(監督/ローラ・ポイトラス、2022)
2024年4月20日(土)15:00-
KAG(岡山県倉敷市阿知3丁目1−2)
http://gallerykag.jp/
トーク:「美術館と芸術メディアのたそがれ」
2024年4月20日(土)17:30-
KAG(岡山県倉敷市阿知3丁目1−2)

AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展
会期未定(KAGのホームページを参照ください)
KAG(岡山県倉敷市阿知3丁目1−2)
http://gallerykag.jp/
キュレーション:長谷川新(インディペンデントキュレーター)、川上幸之介(倉敷芸術科学大学)
主催:AWC実行委員会

 


Kurashiki Avant Gard(KAG)

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