UN-FIT
2024年5月18日(土)- 6月23日(日)
The 5th Floor
https://the5thfloor.org/
開館時間:13:00–20:00
休廊日:月、火、水
入場料:500円(学生無料)
キュレーション:岩田智哉
The 5th Floorでは、ベルリンを拠点に活動するアーティスト3名の、クィアとしての多元的な声に焦点を当てた表現を紹介する展覧会「UN-FIT」を開催する。都市あるいは親密な空間をめぐるアーティストの一人称的な語りによって、「FIT(適合)」と「UNFIT(不適合)」、あるいは両者のはざまから社会を捉えなおす機会となる。
また、関連イベントとして数々のフェスティバルに選出および受賞した、フランス人アーティストエレーヌ・アリックス・サニャスによる初の短編映画「HERMAN@S(The Adelphes)」の上映会と、本展参加アーティスト3名による新作パフォーマンス作品「a fold for departure」の公演を、東京日仏学院にて行う。
Untitled / installation, 2022
Excerpt from Uncover, 2022
ニットサン・マーガリオットは、ベルリンを拠点に活動するコレオグラファー、ダンサー、キュレーター。家族やクィアのアーカイブ、現実の批判的な認識に基づいた新たな可能性の創作的探求、そして傷つきやすい他者との出会いなどをテーマに活動する。マーガリオットの作品は、血縁的な「先祖」と、そうした関係はないが文化的な繋がりや絆を持つ「先人」たちとの関係性を探求する。ありふれた素材を重ねることで、忘れ去られた過去に詩的なオマージュを捧げる。また触感的でかつ非直線的な制作をしつつも、ひとつの枠組みに固定されない表現を試みる。現在は、1911年に学校として設立し今では現代美術の実験場であるHellerau(ドレスデン)や、20世紀の前衛芸術に関する作品やデザイン、資料を収集するArchiv der Avantgarden(ドレスデン)にて特別研究員を務める。振付作品は、主に14th Street Y(ニューヨーク)、イスラエル・フェスティバル、Radialsystem(ベルリン)、English Theatre Berlin(ベルリン)、LAB Frankfurt(フランクフルト)、Suzanne Dellal Centre(テルアビブ)などで上演されている。
アントワン・メルメは、音楽家、作曲家、即興演奏家として活動しつつ、ダンスや演劇、ビジュアルアート、パフォーマンスの分野にも関わる領域横断的なアーティスト。サクソフォンや声、電子楽器に対し、それぞれが持つ旋律とノイズの両側面の可能性を視野に入れた独自の音楽言語を展開する。また「フォノグラフィ(フィールド・レコーディング)」を好み、定期的にほかのアーティストや自身のアルバム制作のため屋外での録音を行なう。自身のソロバンド(CHROMB!、Saint Sadrill、Bouche Amplifiée)のほかに、作曲家のアントワン・アルネラやクレマン・エドゥアールの作品でのパフォーマンス、数年にわたるビジュアル・アーティスト、ティフェンヌ・カルメットとのサウンドスケープおよびパフォーマンスにおける協働など多岐にわたる活動を行なう。また、アーティストのミーガン・コープやアリス・ラロワ、ギヨーム・バイヤール、ニットサン・マーガリオットといった演出家・振付家の作品にパフォーマーとしても出演している。
Wave form, 2023, Tokyo
HERMAN@S, Le GREC, copyright : Victor Zébo, 2021
ジョアキム・ペレスは、主に個人的および集団的なレベルにおける、男性性とセクシュアリティの複雑さを探求する作品を制作している。布地や刺繍、ビデオインスタレーション、ドローイング等を組み合わせた多層的なインスタレーションを通して、鑑賞者に親密さやアイデンティティ、脆弱性についての内省を促し、各々の欲望の本質を問いながら、知覚を解体し想像しなおしていく。ニューヨークのパーソンズ・デザイン学校で奨学金を受け、インダストリアル・デザイン科を卒業。主な展覧会に、「Devenir Feuillage」(LRRH_AERIAL、デュッセルドルフ、2024)、「Red Like The Sea」(Kunstquartier Bethanien、ベルリン、2023)、「Seen#18」(ヘルムート・ニュートン写真美術館、ベルリン、2023)、「SHOW ME A BETTER WAY」(Cazul 101、ブカレスト、2022)、Désirer ne pas voir(Motto、ベルリン)、「
Hier gibt’s alles」(Galerie du Griffon、ヌーシャテル、スイス、2021)、Faire Corps(イエニッシュ美術館、ヴヴェイ、スイス、2021)など。
エレーヌ・アリックス・サニャスは、周縁化されたジェンダーのアイデンティティとセクシュアリティの可視化をテーマに、グラフィックデザイナーや陶芸家、映画監督、アクティビストとして活動している。エコール・エスティエンヌにて、2009年にグラフィックデザイン科、2011年に科学イラストレーション科を卒業。直近の4年間は、トランスフェミニズムの実践に取り組む。パリ国立高等美術学校にて、2013年にDNAP(Diplôme National d’Arts Plastiques、国立美術学位)、2015年にDNSEP(Diplôme National Supérieur d’Expression Plastique、高等美術学位)を取得後、クロード・デュマのスタジオで陶芸を学ぶ。2012年以来、フェミニストの同志たちのためにグラフィックデザインの依頼を受け、複数のLGBTQI+のコレクティブでアクティビズムの活動を行う。このコレクティブは2017年からフォンデリー・ド・イマージュ・キャンパスでグラフィックデザインを教えており、また男女の脱二元論的なタイポグラフィのリサーチコレクティブ「Bye Bye Binary」のメンバーとしても活動。2021年に、初の短編映画《HERMAN@S》を監督し、国際映画祭で複数の賞を受賞。現在は、新たなドキュメンタリー作品《BYE BYE BINARY & LA DRAMMAIRE FRANÇAISE》の制作に取り組む。
関連イベント
H. Alix Sanyas《HERMAN@S (The Adelphes)》上映会+「 a fold for departure」公演(ニットサン・マーガリオット、アントワン・メルメ、ジョアキム・ペレスによるパフォーマンス)
2024年5月23日(木)19:00–
会場:東京日仏学院
主催:The 5th Floor
協力:東京日仏学院
定員:100名(要予約)
料金:一般2,500円、学生1,500円
https://t5f-unfit-event.peatix.com/view