あなたの肖像—工藤哲巳回顧展 @ 東京国立近代美術館


工藤哲巳「あなたの肖像―種馬の自由」1973年 米津画廊蔵 撮影:福永一夫 ©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013

あなたの肖像—工藤哲巳回顧展
2014年2月4日(火)-3月30日(日)
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜は20:00まで)
休館日:月(ただし、3/24は開館)

特設ウェブサイト:http://www.tetsumi-kudo-ex.com/

「反芸術」世代の代表的作家のひとりとして知られ、拠点をパリに移して以降、文明ないし社会批評的観点から作品制作を続けた工藤哲巳の東京初の回顧展が東京国立近代美術館で開催される。

工藤は1935年大阪生まれ。東京藝術大学在学中から読売アンデパンダン展に出品し、「反芸術」世代のひとりとして注目を浴びる。1962年の国際青年美術家展で大賞を受賞したのを機に渡仏すると、性や公害、原子力など、人間の生存に関わる根源的な問題やタブーに果敢に取り組み、文明批評的な視点と科学的な思考とを結びつけた独自の世界を展開した。70年代中頃より、その対象を芸術家自身に向け、内省的、自画像的な作品の制作に取り掛かる。その後、80年代にはたびたび来日し、講演やシンポジウム、パフォーマンスを行ったり、「天皇制の構造」や「色紙」の連作などを発表、東京藝術大学の教授に就任するも、90年に55歳の若さで他界。

没後、国内では国立国際美術館にて『工藤哲巳回顧展-異議と創造』(1994)、近年はラ・メゾン・ルージュ(パリ,2007)、ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス,2008)などで展覧会が企画され、国際的な再評価の気運が高まっている。


工藤哲巳《石油と放射能の間での瞑想》1979年 福岡市美術館蔵 ©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013

本展では、ウォーカー・アート・センターが所蔵する第14回読売アンデパンダン展に出品された「インポ分布図とその飽和部分に於ける保護ドームの発生」(1961-62)をはじめ、アムステルダム市立美術館、ゲント現代美術館(S.M.A.K.)、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど、海外から日本初公開作品を含むコレクションや、国内所蔵の工藤作品のほとんどを網羅、さらに、ハプニングやパフォーマンスの記録写真や関連資料など、工藤の30年余りにわたる活動を包括的に紹介する。
本展タイトルにある「あなた」とは、作品を見るあなたのこと、既成の価値観や約束事に縛られた私たちであると同時に、作品の最初の観客である工藤自身をも指している。「あなたの肖像」は、工藤が最も好んで使用した題名のひとつ。

本展のプレ・イヴェントとして昨年6月には国立国際美術館と東京国立近代美術館にて研究報告会が行われた。(当日のレジュメ)また、会期中には記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」(1970)の上映会のほか、堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)、沢山遼(美術批評)、中嶋泉(美術史家、明治学院大学研究員)の講演会を予定している。

本展は東京国立近代美術館での会期終了後、青森県立美術館に巡回予定。(国立国際美術館での展示は既に終了)


工藤哲巳 ハプニング「インポ哲学」 ブーローニュ映画撮影所(パリ)1963年2月 撮影:工藤弘子 ©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013

関連イベント
講演会
堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)
2014年2月22日(土)14:00-15:30
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:150名(無料、申込不要先着順)
*記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」上映あり

「工藤哲巳―自動生産の工学」
沢山遼(美術批評)
2014年3月1日(土)14:00-15:30
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:150名(無料、申込不要先着順)

「工藤哲巳と草間彌生」
中嶋泉(美術史家、明治学院大学研究員)
2014年3月15日(土)14:00-15:30
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:150名(無料、申込不要先着順)

上映会
記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」(1970年)
2014年2月8日(土)14:00-14:30
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:150名(無料、申込不要先着順)

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