東京国立近代美術館 「MOMATコレクション」|小特集:白い漫画、黒い漫画(3月18日-5月8日)

池田龍雄«怒りの海»1953年

 戦後の日本で、漫画という表現がにわかに美術業界から注目を受けたことがありました。復興に向かい始めたばかりの、1950 年代のことです。
 この時代に、社会や人間という主題を、ダークで戯画的に表す美術作品が続々と現れました。版画やペン画でモノクロームの表現を行った作家が多かったこともあり、いっとき、絵画と漫画は分類する意味がないほど接近します。画家が雑誌に風刺漫画を発表することも少なくなく、双方は密に交流しました。
 これぞ芸術本来の社会批評の力であるとして、評論家の瀧口修造はこの美術動向を「黒い漫画」と命名。しかし 60 年代に入って子供向け週刊漫画誌が大流行すると、様子が変わってきます。漫画はより明るく、より動きのあるコマ表現を発達させ、一方で絵画は、そのような漫画から一歩引いて、漫画的な表現を作中に取り込んだり応用したりするようになります。
 この小特集は、2 部屋を使って、岡本太郎や間所紗織などの 50 年代から 70 年代までの戯画的な美術作品と、久里洋二、真鍋博らの同時代の漫画冊子を合わせて、計 50 点以上の作品・資料で構成します。当時の漫画と絵画の距離感を体感していただければ幸いです。
この他、千鳥ヶ淵の桜が美しい季節を迎えるのにあわせて、3階10室では重要文化財の川合玉堂《行く春》をはじめ、桜を描いた名作が、みなさんをお迎えします。
今期も盛りだくさんのMOMATコレクション。どうぞごゆっくりお楽しみください。

会場:東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー(4F-2F)
会期:2022年3月18日(金)-2022年5月8日(日)
開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで *「没後50年 鏑木清方展」は9:30開場
チケット:会場では当日券を販売しています。
(会場の混雑状況によって、当日券ご購入の列にお並びいただいたり、入場をお待ちいただく場合がありますので、オンラインでの事前のご予約・ご購入をお薦めいたします。)
こちらから来館日時をご予約いただけます。
※お電話でのご予約はお受けしておりません。※障害者手帳をお持ちの方は係員までお声がけください。(予約不要)
※観覧無料対象の方(65歳以上、高校生以下、無料観覧券をお持ちの方等)についても、上記より来館日時をご予約いただけます。
休室日:月曜日[2022 年3月21 日、28日、5月2日は開館]、3月22日[火]
観覧料:一般 500円 (400円)、大学生 250円 (200円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
5時から割引(金曜・土曜):一般 300円、大学生150円

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