来場者の皆様へ
検閲は、違法な行為です。にも関わらず、「表現の不自由展・その後」は撤去されてしまいました。私はこの決定に抗議の意を込めて、私の作品が見られる機会を自ら剥奪します。
芸術作品、そして美術館は、見たいものだけを見て、聞きたいことだけを聞いて、言いたいことだけを言うために存在するものではありません。自由民主主義社会における芸術空間は、複数の意味の次元における不一致を保護する役割を担うのです。
しかし、政治の論理で行われた検閲に、芸術空間が屈服しなければならないということが起きました。これはとても恥ずべきことです。作家は、政治を理由に、表現の自由を脅かす暴力に屈服すべきではありません。私の作品《ニュースの終焉》は、メディアが助長する感情の扇動の中には存在しない共同体を探る作品でした。皮肉なことに、ご足労くださった貴重な観客の皆さまに作品をお見せできないことを本当に悲しく思います。
再び、安全の名目で不法なテロや圧力に屈することがないように願い、作品の展示を拒否します。「表現の不自由展・その後」が再び開かれる日は、お互いが自由に、そして平和に共存する日であることと信じています。
イム・ミヌク