高松次郎ミステリーズ @ 東京国立近代美術館


「No.273(影)」1969年 東京国立近代美術館蔵 © The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

高松次郎ミステリーズ
2014年12月2日(火)-2015年3月1日(日)
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜は20:00まで)入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝休日の場合は開館、翌平日が休館)、12/28-1/1

私を強くひきつけるのは、例えば迷宮入り事件のように、未解決性、未決定性、可能性などの「空虚」 を充満した事物であります。…いまだ姿をあらわさない魚は、大きさについてばかりでなく、釣るべき 魚として完璧です。不可解な事件を警察は解明してはいけないのです。どうして探偵作家は、せっか く築きあげたみごとな空虚に、結末でもってスクラップをぎっしりつめてしまうのでしょう。(高松次郎「精神的量子論(その一)」『美術史評』創刊号、1972 年 8 月、p.22)

東京国立近代美術館では、1960年代から90年代まで、ものの存在や人間の実存を問い続け、その死後も多大な影響を与え続ける高松次郎の多様な実践の背後に潜むつながりの解明を試みる企画展『高松次郎ミステリーズ』を開催する。

本展では、高松の制作活動を初期、中期、後期の3章に分け、東京国立近代美術館の3人のキュレーター、桝田倫広、蔵屋美香、保坂健二朗が展示を担当している。各章にはそれぞれタイトルが付され、桝田が担当する第1章(1960-1963)では、63年に赤瀬川原平と中西夏之とともに結成したハイレッド・センターの活動と並行して制作された初期のシリーズ、「点」と「紐」を紹介。蔵屋が担当する第2章(1964-1970s)では、代表作と呼ばれる「影」のシリーズの制作がはじまり、第34回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(1968)に出品するなど、高松の制作が大きく加速する時期を「単体」「複合体」といった立体のシリーズを交えつつ取り扱う。そして、保坂が担当する第3章(1970s-1998)は、高松が「絵画」に回帰した時期で、今回は最晩年のシリーズ「異食材」も一挙公開される。本展は、全3章を通じて、菊地敦己によるグラフィック・デザイン、トラフ建築設計事務所による会場構成のもと、約50点のオブジェや彫刻、絵画を約150点のドローイングと高松自身による文章を駆使して、読み解いていく試みとなる。


Above: 「誕生」1960年 三鷹市美術ギャラリー蔵. Below: 「光と影」1970年 個人蔵 撮影:木奥恵三. Both: © The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

会期中には、高島直之(美術評論家、武蔵野美術大学教授)、堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)による講演会や、担当キュレーターによるリレートーク、菊地とトラフ建築設計事務所の鈴野浩一、禿真哉による座談会(聞き手:保坂健二朗)のほか、「高松次郎バースデー記念ミステリーイベント」も企画されている。

近年、『ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡』展(名古屋市美術館、2013、渋谷区松濤美術館、2014)だけでなく、中西夏之の個展『韻 洗濯バサミは攪拌行動を主張する 擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑』(DIC川村記念美術館、2012)、先日他界した赤瀬川原平の個展『赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで』(千葉市美術館、2014)、来春開催予定の『赤瀬川原平』展(広島市現代美術館、2015)、そして、本展関連展覧会の『高松次郎 制作の軌跡(仮称)』展(国立国際美術館、2015)と、ハイレッド・センターを結成した高松、赤瀬川、中西の個々の活動を振り返る美術館規模での展覧会が続く。


「形 No.1202」1987年 国立国際美術館蔵 © The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

関連イベント
担当キュレーターによるリレートーク
2014年12月7日(日)14:00-15:30
2015年1月23日(金)18:00-19:30
2015年2月14日(土)14:00-15:30
桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗
会場:東京国立近代美術館 1 階企画展ギャラリー
※申込不要、要観覧券

講演会「高松次郎を知る人々(仮題)」
高島直之(美術評論家、武蔵野美術大学教授)
堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)
2014年12月6日(土)14:00-15:30(開場:13:30)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(無料、申込不要)

スピンオフ企画 座談会「展覧会をつくる」
鈴野浩一・禿真哉(トラフ建築設計事務所)、菊地敦己、聞き手:保坂健二朗
2014年12月20日(土)14:00-15:30 (開場:13:30)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(無料、申込不要)

高松次郎バースデー記念ミステリーイベント
2015年2月20日(金)18:00-19:30
※詳細は後日発表

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