BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現 @ 滋賀県立美術館


山沢栄子《物体》1986年 東京都写真美術館蔵 ©YAMAZAWA Eiko

 

滋賀県立美術館開館40周年記念
BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現
2025年1月18日(土)-3月23日(日)※会期中に一部展示替えあり
滋賀県立美術館 展示室3
https://www.shigamuseum.jp/
開館時間:9:30–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし休日の場合は開館し、翌日火曜休館)
展覧会URL:https://www.shigamuseum.jp/exhibitions/6277/
企画担当:芦髙郁子(滋賀県立美術館 学芸員)

 

滋賀県立美術館では、もともとは商業広告などに使う商品(モノ)を撮影する言葉として用いられた「ブツドリ」を「物」を「撮」るという行為として広く捉えることで、日本における写真表現の一断面を探る展覧会「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」を開催する。

本展では「ブツドリ」をテーマに、重要文化財である明治期の写真原板、文化財写真、静物写真、広告写真、現代のアーティストによる写真作品など、200点以上の写真を6章構成で、幕末や明治の写真から1920、30年代のピクトリアリズム、新興写真、前衛写真などと、現代の写真作品を並置しながら紹介する。「たんなるモノ」と題した第1章では、幕末の写真家・島霞谷が撮影した《鮎》と《頭蓋骨標本》、モノを撮影することを実験的に思索した大辻清司の「大辻清司実験室」に掲載された作品、日常を独自の表現として昇華した川内倫子の〈M/E〉を紹介。第2章では、明治政府による文化財保護への初めての施策であった壬申検査(明治5年)に、写真家の横山松三郎が随行し、撮影した正倉院宝物や仏像などのガラス原板、その後作家性をおび始めた頃の古美術写真、仏像写真などに見られるそれぞれのまなざしを検証するとともに、古書をオブジェとして撮影した潮田登久子の〈Bibliotheca〉を展示する。

 


島霞谷《鮎》1860年代 個人蔵(群馬県立歴史博物館寄託)群馬県指定重要文化財


高山正隆《静物》1920-1929年 東京都写真美術館蔵

 

第3章の「スティル・ライフ」では、写真に芸術性を求めるアマチュア写真家らを中心に絵画的な写真が志向された時代の、いわゆるピクトリアリズムと呼ばれる写真動向おける、1920年代、30年代の静物写真に、母の遺品を撮影した石内都の〈mother’s〉、物体を撮影することで他者からの見え方を模索する安村崇の〈態態〉を並置。第4章「半静物? 超現実? オブジェ?」では、新興写真が隆盛した1930年前後に、モダンフォトグラフィの潮流の中で、前衛的な写真表現をおこなった中山岩太や安井仲治などの作家の作品とともに、オノデラユキの〈古着のポートレート〉、野菜や魚などの食材や、花や昆虫を素材として特異なオブジェを制作する今道子の作品を展示し、その表現上の共通性を概観する。

第5章の「モノ・グラフィズム」では、モノをめぐるグラフィックデザインとして、日本における初期の広告写真から、ポスターなどの広告にみられるグラフィック表現、ホンマタカシが猪熊弦一郎のアンティークコレクションを撮影した『物物』のプロジェクトを展示。第6章「かたちなるもの」では、新興写真や前衛写真に影響を受け「造型写真」という言葉で独自の表現を目指した坂田稔。動植物を即物的に捉えた写真集『博物志』を発表した恩地孝四郎。日本の伝統的なデザインから、さまざまな「かたち」にフォーカスした岩宮武二。日本の写真における抽象表現の先駆的な存在である山沢栄子。カラフルなスポンジを組み合わせ造型化した鈴木崇の〈BAU〉といったモノの「かたち」に着目した写真家の作品を紹介する。

 


安井仲治《斧と鎌》1931年 東京都写真美術館蔵


撮影:ホンマタカシ『物物』2012年刊行 猪熊コレクションより

 

関連イベント
シンポジウム「モノと写真:近代から現代へ、その視点」
2025年3月9日(日)13:00–15:45
登壇者:金井直(信州大学人文学部教授)、前川修(近畿大学文芸学部教授)、光田ゆり(多摩美術大学大学院教授・アートアーカイヴセンター所長)
会場:滋賀県立美術館 木のホール
定員:100名
※事前申込不要、無料

グラフようちえん in 滋賀県立美術館「写真作品を撮ろう」
2025年2月8日(土)10:00–16:00
企画:graf
会場:滋賀県立美術館 ギャラリー
※事前申込不要、無料

たいけんびじゅつかん「フォトグラムに挑戦!」
2025年1月26日(日)、2月23日(日)13:00–16:00
講師:徳永写真美術研究所
会場:滋賀県立美術館 ワークショップルーム
定員:各回10名
※要事前申込(定員を超えた場合は抽選)、要参加費(保護者のみ要観覧料)

学芸員によるギャラリートーク
2025年1月18日(土)、2月16日(日)、3月15日(土)各日とも14:00–15:00
会場:滋賀県立美術館 展示室3
定員:各回20名程度
※事前申込不要(当日先着順)、要観覧料

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