『福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ』@ 東京国立近代美術館


福沢一郎「Poissond’Avril(四月馬鹿)」1930年 東京国立近代美術館蔵

 

『福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ』
2019年3月12日(火)-5月26日(日)
東京国立近代美術館 企画展ギャラリー(1F)
http://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金、土は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月(3/25、4/1、4/29、5/6は開館)、5/7
展覧会企画:大谷省吾(東京国立近代美術館美術課長)
展覧会URL:http://www.momat.go.jp/am/exhibition/fukuzawa/

 

東京国立近代美術館では、1930年代に日本の前衛美術運動の中心的役割を担い、社会批評的な視点から描かれた絵画作品で知られる福沢一郎の活動を約100点の作品を通じて振り返る展覧会『福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ』を開催する。

福沢一郎(1898-1992群馬県生まれ)は、東京帝国大学文学部在学中に朝倉文夫の下で彫刻を学ぶ。1924年にパリへと渡ると絵画制作へと移行し、古典から同時代の作品まで幅広い西洋美術の研究に勤しむ。パリ滞在中に出会ったマックス・エルンストの作品に影響を受け、古い雑誌の挿絵を奇妙に組み合わせた作品を数多く制作する。帰国後、19世紀末にフランスで刊行された子ども向けの本『楽しい科学』に掲載された図版を組み合わせた「Poisson d’ Avril(四月馬鹿)」(1930)を1931年の独立美術協会展で発表し、注目を浴びる。パリで身につけたシュルレアリスムの手法を応用しながら、プロレタリア芸術とも異なる独自の諷刺的な作品を描いていく。戦時下はシュルレアリスムと共産主義との関係を疑われ1941年に検挙されるが、放免後には戦争記録画を描くなど戦争協力を求められる中で活動を続けた。

 


福沢一郎「煽動者」1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵

 

敗戦の後、混乱する世相をダンテの「神曲」に託して表現し、代表作としても知られる「敗戦群像」(1948)を描きあげる。52年から54年にかけて、ヨーロッパを経て、ブラジルやメキシコを訪れ、帰国後に手がけた「埋葬」(1957)が第4回日本国際美術展で国内大賞を受賞。58年の第29回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館展示で作品を発表。70年代に入ると、再びダンテの「神曲」に基づいた地獄絵の連作に取り組み、78年の国立国際美術館での個展『地獄絵・福沢一郎の世界』で発表した。88年には群馬県立近代美術館や世田谷美術館で回顧展を開催。92年に94歳で死去した。

本展では、社会に対する批評の眼を向けながら、古典をふまえて普遍的な人間の問題として表現したひとりの画家を、油彩87点、素描9点、写真7点の計103点の作品とともに今日的な視点から再考する。

 


福沢一郎「敗戦群像」1948年 群馬県立近代美術館蔵


福沢一郎「悪のボルテージが上昇するか21世紀」1986年 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵

 

関連イベント
講演会
講演者:伊藤佳之(福沢一郎記念館非常勤嘱託)
2019年4月13日(土)15:00-16:30(開場:14:30)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(申込不要、先着順)
聴講無料、要観覧券(使用済み半券可)

講演者:大谷省吾(東京国立近代美術館美術課長・本展企画者)
2019年5月18日(土)15:00-16:30(開場:14:30)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(申込不要、先着順)
聴講無料、要観覧券(使用済み半券可)

※その他の関連イベントは公式ウェブサイトを参照。

 

 


 

同時開催
イメージコレクター・杉浦非水展
前期|2019年2月9日(土)-4月7日(日)
後期|2019年4月10日(水)-5月26日(日)
東京国立近代美術館 ギャラリー4

MOMATコレクション
2019年1月29日(火)-5月26日(日)
東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー(2F-4F)

美術館の春まつり
2019年3月19日(火)-4月7日(日)

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