アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、 そして、あなたの視点 @ 資生堂ギャラリー


春木麻衣子《I never know that I know 03》2020年
©Maiko Haruki Courtesy of TARO NASU

 

アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、 そして、あなたの視点
2021年1月16日(土)- 4月18日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/jp/
開館時間:11:00-19:00(日曜、祝日は11:00-18:00)
休館日:月(祝日にあたる場合も休館)
展覧会担当:板垣美香(資生堂ギャラリー学芸員)

 

資生堂ギャラリーでは、写真表現を軸にそれぞれ異なるアプローチを展開するアーティスト5組の作品を紹介する展覧会『アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、 そして、あなたの視点』を開催する。

「境界」をテーマに掲げた本展では、潮田登久子が20年以上にわたり本の佇まいを記録してきた代表作「本の景色/BIBLIOTHECA」を未発表のものを交えて発表。春木麻衣子は自身の一貫したテーマである「見る」行為を探究した新作インスタレーションに取り組み、細倉真弓は昨年東京で発表した異なるイメージ群をコラージュ、分割、再構築したシリーズ「NEW SKIN」を再編成、片山真理は二本指である自身の左手をモチーフにしたオブジェと戯れるようにして撮影した「shadow puppet」を中心に発表する。そして、アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイは資生堂の広告をモチーフに既存の広告を改変する「Remodeling Project」の新作を文筆家の大竹昭子によるショートストーリーと合わせて発表する予定。

 


潮田登久子「本の景色/BIBLIOTHECA」2020年 ©Tokuko Ushioda, Courtesy of PGI

 

潮田登久子(1940年東京都生まれ)は、さまざまな家庭の冷蔵庫をその中身や置かれている環境がわかる形でタイポロジカルに記録した「冷蔵庫/ICE BOX」や、島尾伸三とともに中国の庶民の生活を20年近くにわたって取材した活動などで知られる。また、1995年から20年以上にわたって、図書館や個人の蔵書、出版社の編集室にある本を撮影した「本の景色/BIBLIOTHECA」に取り組み、三部作の写真集『みすず書房旧社屋』(2016、幻戯書房)、『先生のアトリエ』(2017、ウシマオダ)、『本の景色』(2017、ウシマオダ)を出版。同シリーズにより、2018年に土門拳賞、日本写真協会賞作家賞、第34回写真の町東川賞国内作家賞を受賞している。

春木麻衣子(1974年茨城県生まれ)は、時の経過や「見る」行為に一貫した関心を持ちながら、撮影における極端な露光による白や黒に偏重した抽象的な画面構成の写真作品や、印画紙上で異なる風景を重ねることで現実には存在しない空間をつくりだす写真作品を制作してきた。これまでに『六本木クロッシング2007展:未来への脈動』で特別賞、2015年には第31回写真の町東川賞新人賞を受賞。『写真の飛躍 日本の新進作家展 vol.10』(東京都写真美術館、2011)、『あざみ野フォト・アニュアル 写真の境界』(横浜市民ギャラリーあざみ野、2014)などに参加し、2021年には国立新美術館の『DOMANI・明日展 2021 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち』への参加が控えている。

 


細倉真弓「NEW SKIN #65」2019年 ©Mayumi Hosokura

 

細倉真弓(1979年京都府生まれ)は、制作の基礎に「身体の表象」を置きながら、人種や国籍、人と植物や機械、有機物と無機物など「かつて当たり前であったはず」の境界を再編を試みている。2017年に川崎市南部の川崎区を中心に取材した写真をまとめた写真集『川崎』(サイゾー)を出版し、翌年の『小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家展 vol.15』(東京都写真美術館、2018-19)で同シリーズを発表している。2019年にゲイ雑誌の切り抜きや美術館で展示される男性の彫像、ネット上のセルフィー画像などをコラージュし、さらに分割、再構築した「NEW SKIN」を東京・清澄白河のmumeiで発表。

片山真理(1987年埼玉県生まれ)は、装飾を施した義足を装着したセルフポートレートや、自身の身体をかたどった立体作品など、先天性の四肢疾患による両足の切断を経験した自身の身体を起点に、世界との関係を探究する作品で知られる。これまでにあいちトリエンナーレ2013や『六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声』、『無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14』(東京都写真美術館、2017-18)、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展などに参加。2020年には同ヴェネツィア・ビエンナーレの展示と写真集『GIFT』(2019)が評価され、第45回木村伊兵衛写真賞を受賞している。本展では、二本指である自身の左手をモチーフにしたオブジェと戯れるようにして撮影した「shadow puppet」を中心に発表する。

 


片山真理《shadow puppet #014》2016年 ©Mari Katayama

 

アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイは、ポートレート写真家として20年以上の経験を持つアネケ・ヒーマン(1977年ドイツ・ルーデンシャイト生まれ)と、グラフィックデザイナー兼アーティストのクミ・ヒロイ(1979年岐阜県生まれ)によるコラボレーションユニット。2014年から既存の広告をつくりかえる「Remodeling Project」に取り組み、「広告」が発信する女性像、消費、ファッションへの固定概念に、写真と文章を通じて多様な視点を投げかけている。2019年には長崎オランダ村、長崎県美術館県民ギャラリー、IMA Gallery(東京)で個展『真珠の輪郭・Parel Silhouet』を開催。本展では、資生堂の広告をモチーフに「Remodeling Project」の新作を制作、文筆家の大竹昭子によるショートストーリーを合わせて展示する予定。

 


Both:アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ「Remodeling Shiseido Gallery edition」2020年 ©Anneke Hymmen & Kumi Hiroi

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