コレクション1 彼女の肖像 @ 国立国際美術館

 

コレクション1 彼女の肖像
2024年11月2日(土)-2025年1月26日(日)
国立国際美術館 B2階展示室
https://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金、土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし11/4、1/13は開館)、11/5、年末年始(12/28-1/4)、1/14
展覧会担当:武本彩子(国立国際美術館 任期付研究員)
展覧会URL:https://www.nmao.go.jp/events/event/collection20240604/

 

国立国際美術館では、記号化された女性像ではなく、個性や歴史を持った個人としての「彼女」の肖像に、現代の作家たちが何を託し、どのような社会や歴史、関係性が表象されているかに着目したコレクション展「コレクション1 彼女の肖像」を開催する。

本展は、同館のコレクション展としては初めての女性像を切り口とした企画。所蔵作品約8,000点のうち、女性の登場する約500点の作品の中から、理想化された架空の女性像や裸婦像、美人画のカテゴリに属する作品ではなく、多様な主題と表現による約100点の作品を選出。作品に登場する女性の存在に注目することにより、作家や女性たちの個人史、女性たちを取り巻くさまざまな社会的背景や困難を浮かびあがらせることを試みる。

 


福田美蘭《Woman with a Letter》1991年 国立国際美術館蔵


芥川(間所)紗織《「神々の誕生」神話より》1956年 国立国際美術館蔵

 

本展は異なるテーマを設けた6章で構成され、ジェンダーの観点を念頭に置きつつ、メディア、家族、労働、国家などのキーワードを通して、所蔵作品を新たな角度から見つめ直す。第1章「女性像の解体と逸脱」では、慣習的な女性像を解体した作品を紹介。福田美蘭による12の断片に解体された実験的な絵画や、名画の登場人物が不在の情景を描く小川信治による絵画、カリン・ザンダーによる3Dスキャンを使用した彫刻など、表現の可能性を広げる作品を展示。また芥川(間所)紗織の各館所蔵作品を展示するプロジェクト「Museum to Museums」(主催:芥川(間所)紗織アーカイブ実行委員会)に参加し、ローケツ染めによる大作《「神々の誕生」神話より》を展示する。

第2章「増殖する女優たち」では、セックス・シンボルとして人気を博し、たびたび芸術作品のモチーフになったふたりの映画スター、マリリン・モンローとブリジット・バルドーが登場する多様な作品を紹介。モンローの死後に制作されたアンディ・ウォーホルのシルクスクリーンや、ソフィ・カルによる現実と虚構を攪乱するような作品、アストリッド・クラインによる女性の姿態を濫用するメディアに対する批評性を感じさせるコラージュなどを紹介する。

第3章「家族の肖像」では、家族像や、母・妻・娘といった家族の一員を描いた作品を通して、異なる家族のありかたや、個々人の唯一の関係性を想像させる作品を選出。母の古い写真を用いて、あり得たかもしれない個人史としての制服姿の女子学生たちの肖像を描くサニー・キムの絵画、親子の葛藤を乗り越え、年老いた母の姿を細部まで緻密に描いた木下晋の鉛筆画などを展示する。

 


サニー・キム《ヤッホー、少女たち》2002年 国立国際美術館蔵


宮本隆司《九龍城砦》1987/2005年 国立国際美術館蔵 ©Ryuji Miyamoto, Courtesy of TARO NASU

 

第4章「労働と移動」では、かつて香港に存在し、スラムと違法な商売の巣窟として名の知られた九龍城砦と、そこで地道な暮らしを営む女性たちの姿を写した宮本隆司の写真や、台湾で主にケア労働者として働く移民の人々が自身の見た夢を語るジャオ・チアエン[饒加恩]の映像作品など、家庭の内外で働く女性や、移動する女性たちの姿を捉えた作品を展示する。

第5章「個人と国家」では、戦後の横須賀で育った作家自身の記憶と、基地の街で働いた女性たちの集合的記憶が重なるような石内都の写真、戦後の沖縄に生まれ育ち活動する石川真生山城知佳子の作品、国家的スペクタクルとそれを構成する個人を意識させるアンドレアス・グルスキーによる巨大な写真など、国家によって引かれた境界線の隣で生きる、女性たちの姿や痕跡を捉えた作品を紹介。

第6章「近年の収蔵品から:作家の肖像」では、ポルトガル出身でベルリンを拠点に国際的に活動するレオノール・アントゥネスが、20世紀半ばに活躍した女性のデザイナーの山脇道子とシャルロット・ぺリアンの活動に触発され制作した彫刻のインスタレーションや、関西で活躍する谷原菜摘子の初期代表作、自身の姿をモチーフに制作する片山真理など、女性作家による近年の新収蔵作品を展覧する。

 


石内都《YOKOSUKA AGAIN #17》1988/98年 国立国際美術館蔵 ©Ishiuchi Miyako


レオノール・アントゥネス《主婦とその領分》2021-2022年 [参考画像]国際芸術祭「あいち2022」展示風景 © 国際芸術祭「あいち」組織委員会 撮影:ToLoLo studio

 

出品作家
福田美蘭、ミヒャエル・ボレマンス、小川信治、カリン・ザンダー、芥川(間所)紗織、アンディ・ウォーホル、スタジオ65、岡本信治郎、安齊重男、柏原えつとむ、ソフィ・カル、ダーン・ファン・ゴールデン、アストリッド・クライン、野田哲也、小西紀行、マルレーネ・デュマス、サニー・キム、久保田成子、デイヴィッド・ホックニー、木下晋、荒川修作、ルイス・W.・ハイン、宮本隆司、小沢剛、饒加恩(ジャオ・チアエン)、石内都、アンドレアス・グルスキー、石川真生、山城知佳子、テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラー、片山真理、谷原菜摘子、レオノール・アントゥネス、高松次郎、須田悦弘、アレクサンダー・コールダー、ジョアン・ミロ、マリノ・マリーニ、マーク・マンダース、ヘンリー・ムア

 

関連イベント
ギャラリー・トーク
2024年11月24日(日)14:00–
講師:武本彩子(国立国際美術館 任期付研究員)
参加費:無料(要観覧券)、先着60名
https://www.nmao.go.jp/events/event/talk20241124/

 


同時開催
線表現の可能性
2024年11月2日(土)-2025年1月26日(日)
国立国際美術館 B3階展示室
https://www.nmao.go.jp/events/event/20241102_senhyogen/

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