現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21 @ 東京都写真美術館


かんのさゆり〈New Standard Landscape〉より 2022年 作家蔵 ©Sayuri Kanno

 

現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21
2024年10月17日(木)-2025年1月19日(日)
東京都写真美術館
https://topmuseum.jp/
開館時間:10:00–18:00(木・金は20:00まで ※1/2、1/3を除く)入館は閉館30分前まで
休館日:月(月曜が祝休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12/29-1/1)
企画担当:小林麻衣子(東京都写真美術館学芸員)
展覧会URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4822.html
出品作家:大田黒衣美、かんのさゆり、千賀健史、金川晋吾、原田裕規

 

東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するために、新しい創造活動の展開の場として、2002年より継続するシリーズの21回目の展覧会『現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21』を開催する。

出品作家は、生物や日用品など身のまわりにあるささやかな存在に目を向けて、時間を留める手法として写真を扱う大田黒衣美、自身が暮らす土地の仮設的とも言える変化を止めない風景を、淡々と観察し、記録し続けるかんのさゆり、ドキュメンタリーの視点と虚実を混ぜたイメージで現実をあぶりだす千賀健史、一般的な概念にとらわれず個と個の距離と関係性を切り取る金川晋吾、かつて誰かが見た光景を通じて、見るものが持つ記憶を喚起させる原田裕規の5名。これまで当たり前と感じていた価値観が揺らぐような数々の出来事に直面し、変化のある時代において、技術の進歩と普及、表現手法の多様化にともない、写真表現をめぐる環境も激変するなかで、自身の感性にしたがって世界と向き合い、独自の視点で思考を深めて作品を制作する5名の試みを紹介する。

 


大田黒衣美《sun bath》2023年 作家蔵 ©Emi Otaguro

 

大田黒衣美(福岡県生まれ)は、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、さまざまな手法を用いて独自の風景を生み出し、鑑賞者のあいまいな感覚を刺激する作品を発表してきた。2008年に東京藝術大学大学院修士課程油画科を修了。2019年に文化庁新進芸術家海外研修制度を受けベルリンに滞在、現在は愛知に制作拠点を置く。主な展覧会に個展「アーティスト@TAD 大田黒衣美『Boiled Aqua』」(富山県美術館1階 TADギャラリー、2024)、「ねこのほそ道」(豊田市美術館、愛知、2023)、「食と現代美術 Part9—食とアートと人と街—」(BankART1929、神奈川、2023)、「DOMANI・明日展 2021」(国立新美術館、東京、2021)など。

かんのさゆり(宮城県生まれ)は、2000年代初頭の大学在学中からデジタルカメラを使用した作品制作を行ない、近作では自身の暮らす土地の暫定的で仮設的な風景の撮影を続けている。2002年に東北芸術工科大学情報デザイン学科映像コース(現映像学科)を卒業。主な展覧会に「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2022 The Everyday-魚が水について学ぶ方法-」(東京、2022年)、「2020年若手アーティスト支援プログラム Voyage 風景の練習 Practing Landscape」(塩竈市杉村惇美術館、宮城、2021)、「写真の使用法 新たな批評性へ向けて」(東京工芸大学 中野キャンパス3号館ギャラリー、2015)など。

千賀健史(1982年滋賀県生まれ)は、緻密で長期間に渡るリサーチを経て、ドキュメンタリーの視点と虚実を混ぜたイメージを作り出し、現実の社会問題をあぶりだす写真作品を制作している。2008年に大阪大学基礎工学部を卒業。主な展覧会に個展「千賀健史展『まず、自分でやってみる。』」(BUG、東京、2024)、「プリピクテジャパンアワード『Fire & Water』」(東京都写真美術館、東京、2022)、「写真新世紀展」(東京都写真美術館、2021)、個展「第16回写真『1_WALL』グランプリ受賞者個展」(ガーディアン・ガーデン、東京、2018)など。アルル国際写真祭ダミーブックアワード2019及び2022ファイナリスト、シンガポール国際写真祭ダミーブックアワードグランプリなど手製本への評価も高い。

 


千賀健史〈HIJACK GENI〉より 2021年 作家蔵 ©Kenji Chiga


金川晋吾〈father〉より 2009年 作家蔵 ©Shingo Kanagawa

 

金川晋吾(1981年京都府生まれ)は、社会のなかで規範とされている役割を越えて、自身の視点にもとづき、自己と他者との流動的な関係性を写真や文章によって表現している。2015年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。主な展覧会に「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022)、個展「長い間」(横浜市民ギャラリーあざみ野、神奈川、2018)など。これまでに『father』(青幻舎、2016)、『長い間』(ナナルイ、2023)、『いなくなっていない父』(晶文社、2023)などの著作を刊行。長崎のカトリック文化や平和祈念像、自身の信仰をテーマにした『祈りと長崎(仮)』(書肆九十九)、2019年から現在までに至る共同生活を写真と文章で綴った『明るくていい部屋』(ふげん社)を刊行予定。

原田裕規(1989年山口県生まれ)は、とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジーやパフォーマンスを用いて、社会や個人の本性(ほんせい)を「風景」や「自画像」のかたちで表現。2019年以降は断続的にハワイに滞在し、ピジン英語に代表されるトランスナショナルな文化的モチーフに着目している。2016年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻を修了。近年は「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、山口、2023)、「Unreal Ecology」(京都芸術センター、2022)、「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「写真の壁:Photography Wall」(原爆の図 丸木美術館、埼玉、2019)などで個展を開催。単著に『評伝クリスチャン・ラッセン』(中央公論新社、2023)、『とるにたらない美術』(ケンエレブックス、2023)。2024年11月には広島市現代美術館で個展「原田裕規:ホーム・ポート」が控える。

 


原田裕規《One Million Seeings》2019年 作家蔵 ©Yuki Harada

 

関連イベント
出品作家とゲストによるトーク(かんのさゆり×千賀健史×金川晋吾×きりとりめでる)
2024年12月14日(土)14:00–17:00
講師:かんのさゆり(出品作家)、千賀健史(出品作家)、金川晋吾(出品作家)、きりとりめでる(美術批評家)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布

出品作家とゲストによるトーク(大田黒衣美×原田裕規×中村史子)
2025年1月18日(土)15:00–17:00
講師:大田黒衣美(出品作家)、原田裕規(出品作家)、中村史子(大阪中之島美術館主任学芸員)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布

上映
2024年11月2日(土)15:00–
金川晋吾《father 2011-2013》、《father 2015.05.18》、《father 2008.12.08》
2025年1月11日(土)15:00–
金川晋吾 新作上映
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布

ワークショップ「写真集を見ながら語る会」
2024年12月13日(金)18:00–19:45
講師:かんのさゆり(出品作家)
定員:10名(事前申込制)
参加費:無料
※申込方法は決定次第、公式ウェブサイトに掲載

担当学芸員によるギャラリートーク
2024年11月1日(金)14:00–
会場:東京都写真美術館 3階展示室
参加費:無料(要チケット提示 ※またはそれに準ずるパス、各種証明書など)

担当学芸員によるギャラリートーク(手話通訳付き)
2024年11月22日(金)16:00–
2024年12月20日(金)16:00–
会場:東京都写真美術館 3階展示室
参加費:無料(要チケット提示 ※またはそれに準ずるパス、各種証明書など)

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