映画の教室 2018 個の紡ぐ物語 @ 国立映画アーカイブ


出光真子『ざわめきのもとで』(1985) ©️STUDIO IDEMITSU

 

映画の教室 2018 個の紡ぐ物語
2018年10月10日(水)-12月5日(水)19:20-(開場:19:00)隔週水曜開催
国立映画アーカイブ
http://www.nfaj.go.jp/
会場:国立映画アーカイブ 小ホール
定員:151名(各回開始後の入場は不可)
休館日:月
企画URL:http://www.nfaj.go.jp/exhibition/filmclassof2018-kojin/

 

国立映画アーカイブでは、10月10日から12月5日までの隔週水曜に、『映画の教室 個の紡ぐ物語』と題して、戦前のアマチュア映画、研究者による映像、日記映画、女性映像作家の作品、実験映画の5回にわたる上映プログラムを開催する。各回ともに研究員による約15分の解説付き。

10月10日の戦前のアマチュア映画作家に焦点を当てた回では、1929年から1938年の間に撮影された6本の短編映画を紹介。服部茂による『東京行進曲』(1929)は、既存のレコードに合わせて制作されたレコードトーキー作品で、本上映ではSPレコードからサウンドトラックを作成した35mmプリントを上映する。また、『あこがれ[スタヂオF版]』(1935)は、川喜田壮太郎が五所平之助の『あこがれ』のロケ現場で撮影し、一本の短篇に仕上げた作品。そのほか、森紅の『寂光』(1930頃)、荻野茂二の『母を迎へて』(1931)、桝田和三郎の『夏祭』(1937)、カワキタソータローの『カムイ 熊神』(1938)を上映。

10月24日は研究者の視点に着目。富士山の雲形と気流との関係をめぐる研究に映画を活用し、また、数々のホームムービーも残した阿部正直の『昭和十二年八月 富士山の自然美』(1937)のほか、当時既に消えようとしていたアイヌの生活ぶりを再現した八田三郎の『白老アイヌの生活』(1925)、そして、二風谷の集落に移り住んだスコットランド人医師で、アイヌ文化の良き理解者でもあったニール・ゴードン・マンローが昭和初期に撮影したイオマンテ(熊の霊を送る儀式)の映像を、尾形青天がトーキー作品として構成した『イヨマンデ <秘境と叙情の大地で>』(1965)を上映する。

 


川喜田壮太郎『あこがれ[スタヂオF版]』(1935)


阿部正直『昭和十二年八月 富士山の自然美』(1937) ©️福山藩阿部家・蟲喰鷹ノ羽

 

11月7日は日記映画をテーマに、日本の日記映画を代表する映像作家で詩人の鈴木志郎康の『15日間』(1980)を上映する。同作は、その日にあったことなどを毎日6分間語る自らの姿を撮影したもので、「ある意味では、自分一人で自分の映画を作るという個人映画の極点が実現されてしまった」と鈴木自身が語った作品。

11月21日は女性のまなざしをテーマに出光真子を特集。2018年は恵比寿映像祭でも特集上映が組まれた出光だが、本上映では、詩的な映像に重ねて、母の死とそれをめぐるさまざまな言葉を紡いだ『ざわめきのもとで』(1985)と、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの「第二の性」から着想を得た『加恵、女の子でしょ!』(1996)を紹介する。

そして、12月5日は幅広い領域で活躍した寺山修司の映画における、スクリーンの意味を問うさまざまな実験を紹介する。現存する寺山の最初の映画『檻囚』(1964)、カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待された『迷宮譚』(1975)のほか、『消しゴム』(1977)、『書見機』(1977)上映する。

 


鈴木志郎康『15日間』(1980)


出光真子『加恵、女の子でしょ!』(1996) ©️STUDIO IDEMITSU


寺山修司『檻囚』(1964) ©️TERAYAMA WORLD

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