蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭 @ 国立映画アーカイブ


チェチリア・マンジーニ『女性として生きること』(1965)Courtesy Cineteca di Bologna

 

蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭
2024年1月5日(金)-2月4日(日)
国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU(2階)
https://www.nfaj.go.jp/
休館日:月
定員:310名(各回入替制・全席指定制)
上映会URL:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/cinema_ritrovato202312/

 

国立映画アーカイブでは、古今東西の発掘・復元された映画を披露する場として毎年ボローニャで開かれている「チネマ・リトロバート映画祭」に出品された発掘・復元作を特集上映する「蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭」を、チネテカ・ディ・ボローニャ財団(FCB)、イタリア文化会館とともに共同開催する。

チネマ・リトロバート映画祭は、1986年に国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)の加盟機関であるFCBが開始。以来、世界中で行なわれている映画復元の取り組みを紹介する一大拠点としての役割を果たしている。また、FCBは1992年に映画の修復ラボ「リマジネ・リトロバータ」を設立。復元作業のみならず各種ワークショップなどを通じて人材育成も積極的に行ない、フィルム修復を専門とする世界で最も重要なラボの地位を築いている。

本企画では、チネマ・リトロバート映画祭で上映された発掘・復元作品の中から、ロベルト・ロッセリーニ『無防備都市』(1945)やヴィットリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』(1948)といったネオレアリズモの系譜に連なる名作群だけでなく、ネオレアリズモに薫陶を受けた女性ドキュメンタリー作家として知られるチェチリア・マンジーニのキャリアを振り返る作品集や、サラ・マルドロールが不可視になりがちな女性の視点からアンゴラの独立運動を描いた『サンビザンガ』(1973)など、54本で構成した25プログラムを上映する。

 


ハリー・スミス『マハゴニー(フィルム#18)』(1970-1980)©️ Anthology Film Archives and Harry Smith Archives


オスカー・ミショー『ハーレムの殺人』(1935)

 

一部の上映作品の概要は以下の通り。『マハゴニー(フィルム#18)』(1970-1980)は、映像作家、音楽学者、蒐集家など多岐にわたる活動で数多くの芸術家に影響を与えたハリー・スミスが、マルセル・デュシャンの《大ガラス》を数学的に分析して制作。1980年以降、長らく上映の機会がなかったが、2002年にアメリカ合衆国のハリー・スミス・アーカイブスとアンソロジー・フィルム・アーカイブスによってデジタル修復が行なわれた。白人女性を殺害したとして黒人夜警が逮捕された事件の真相究明を描く『ハーレムの殺人』(1935)は、先駆的黒人監督オスカー・ミショーが、黒人が冤罪になった実話に着想を得た自作『The Gunsaulus Mystery』(1921)をリメイクした探偵映画。同作は、黒人専用劇場向けの人種映画(レイスフィルム)の一篇で、南メソジスト大学タイラー・コレクションの可燃性ポジをもとに、2021年にアメリカ合衆国のジョージ・イーストマン博物館とFCBが共同でデジタル修復を実施した。

キューバ南東部サンティアゴ・デ・クーバの人々の生活風景を描いた『サンティアゴへ行こう』(1964)、キューバ革命をめぐり異なる思想を持つ男女の物語を通して、植民地支配からの脱却と人種、階級差別からの解放を訴える『ある方法で』(1974)は、いずれもキューバ初の女性映画監督サラ・ゴメスの作品。1月27日の上映後には、濱治佳(山形国際ドキュメンタリー映画祭)と国立映画アーカイブ研究員による対談を実施。『狂った一頁』[染色版](1926)は、衣笠貞之助が川端康成ら『文芸時代』の同人に協力を仰いで製作した無字幕のアヴァンギャルド映画。1971年に衣笠邸で35mm可燃性青染色ポジが発見されたが、同年に作製された「サウンド版」をはじめ、近年まで白黒版として復元されてきた。本企画では、国立映画アーカイブがチネマ・リトロバート映画祭2023に出品した染色版(2022年度作製)を上映する。1月30日の上映後には、復元作業を担った野原あかね(IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)によるトークも開催。ほかにも、複数のプログラムで、上映に併せて専門家による講演やトークを予定している。

 


撮影中のサラ・ゴメス ©️キューバ国立映画芸術産業庁(ICAIC)


衣笠貞之助『狂った一頁』[染色版](1926)

 


巡回情報
蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭
2024年2月1日(木)-2月25日(日)
福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ
http://www.cinela.com/

蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭
※会期は後日発表
京都文化博物館フィルムシアター
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/schedule/

 


同時開催
和田誠 映画の仕事
2023年12月12日(火)-2024年3月24日(日)
国立映画アーカイブ 展示室(7階)
開室時間:11:00-18:30(1/26、2/23は11:00-20:00)入室は閉室30分前まで
休室日:月、年末年始(12/26-1/4)
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/makotowada2023/

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