韓国美術家賞2023最終候補


(左上から時計回りに)クォン・ビョンジュン、ガラ・ポラス・キム、チョン・ソジョン、イ・カンスン

 

2023年4月17日、韓国国立現代美術館は、国内有数の現代美術賞「韓国美術家賞2023」の最終候補に、クォン・ビョンジュン、ガラ・ポラス・キム、イ・カンスン、チョン・ソジョンを選出した旨を発表した。最終審査を兼ねた展覧会「韓国美術家賞2023」は、10月20日(金)から2024年3月17日(日)まで、韓国国立現代美術館 ソウル館で開催。受賞者は2024年2月に発表される予定。

韓国美術家賞は、前身となる「アーティスト・オブ・ジ・イヤー」(1995-2010)を引き継ぎ、韓国現代美術に貢献、新しいヴィジョンや可能性を探求するアーティストの支援を目的に、韓国国立現代美術館とSBS財団によって2012年に設立された。2022年には10年間の歴史を振り返る展覧会「10-Year Path of Korea Artist Prize」が開かれた。同賞再開となる本年度に向けて、韓国国籍保持者に限られていた対象を、朝鮮半島にルーツを持つアーティストであれば国籍を問わない規定に変更。また、最終審査となる展覧会に出品する新作製作補助費が4千万ウォンから5千万ウォンに増額、各アーティストの制作活動の全貌を表現しやすいように新作中心ではなく、過去作と新作を組み合わせた展示構成を許可、そして、1次審査をオンラインで一元化し、最終審査は展覧会開幕後に、審査員とアーティストによる公開ワークショップを採用する。制度変更後初の最終候補に選ばれたのは次の4名。

クォン・ビョンジュン(1971年ソウル生まれ)は、90年代はシンガーソングライターとして活動し、2000年代後半にオランダで科学と芸術について学び、アムステルダムのコンピュータ音楽の研究所STEIMでエンジニアとして務めた経験を持つサウンドハードウェアの研究者兼アーティスト。立体音響の録音や展示空間でそれを再現するテクノロジーに関心を持ち、音楽、演劇、美術を総合するニューメディアによるパフォーマンスを企画、演出している。ガラ・ポラス・キム(1984年ボゴタ生まれ)は、韓国出身の母親とコロンビア出身の父親の下に生まれ、父親の政治的亡命に伴い12歳でアメリカ合衆国に移住、現在はロサンゼルスとロンドンを拠点に活動している。文化遺産や文化財の持つ本来の意味が、美術館や美術機関が用いる現行の分類体系の下で忘れられたり、異なる解釈をされている現状に疑問を投げかけるなど、人間が生み出す構造的な脆弱性に焦点を当てた制作に取り組んでいる。ロサンゼルスと韓国を拠点に活動するイ・カンスン(1978年ソウル生まれ)は、クィアの歴史とアートの歴史が交差する地点に関心を抱き、排除されたマイノリティの語りを新たに掘りおこし、可視化する作品を制作している。チョン・ソジョン(1982年釜山生まれ)は、現在に対する新しい認識をもたらす非線形の時空間や、日常の知覚体験の中に存在する物理的境界の変化に関心を持ちながら、映像やサウンド、彫刻、出版など、さまざまな方法で作品を発表している。

なお、韓国国立現代美術館とSBS文化財団は、2015年に韓国美術家賞の歴代最終候補者の韓国国外での制作活動を支援する基金を設立。近年の事例に、ニューカッスル・アポン・タインのLocus+におけるイ・ジュヨの個展(2020)、アジアン・アート・ビエンナーレ2021におけるキム・アヨンの展示、アントワープのクンストハル・エクストラ・シティでのホン・ヨンインの個展、シャルジャ・ビエンナーレ15におけるパク・ヘスの展示。そのほか、パク・ギョングン、ペク・ヒョンジンなどもプロジェクトの支援を受けている。

 

韓国美術家賞http://koreaartistprize.org/

韓国美術家賞2023
2023年10月20日(金)- 2024年3月17日(日)
韓国国立現代美術館 ソウル館
http://www.mmca.go.kr/
参加アーティスト:クォン・ビョンジュン、ガラ・ポラス・キム、イ・カンスン、チョン・ソジョン

 


韓国美術家賞2023審査委員会
アーロン・セザール(デルフィナ財団ディレクター)
チェ・ビンナ(Cascoアートインスティテュート ディレクター)
ミシェル・クオ(ニューヨーク近代美術館キュレーター)
ナフ・ハク(アントワープ現代美術館[M HKA]ディレクター)
植松由佳(国立国際美術館)
ユン・ボムモ(元韓国国立現代美術館ディレクター)
イ・スヨン(『韓国美術家賞2023』展キュレーター)※投票権なし

 


歴代受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2021チェ・チャンスク、キム・サンジン、バン・ジョンア、オ・ミン
2020イ・スルギ、キム・ミネ、チョン・ユンソク、チョン・ヒスン
2019イ・ジュヨ、キム・アヨン、ホン・ヨンイン、パク・ヘス
2018サイレン・ウニョン・チョン、ク・ミンジャ、オキン・コレクティヴ、チョン・ジェホ
2017ソン・サンヒ、パク・ギョングン、ペク・ヒョンジン、サニー・キム
2016ミックスライス、キム・ウル、バク・スンウ、ハム・ギョンア
2015オー・インファン、キム・キラ、ナ・ヒュン、ハ・テボム
2014ノ・スンテク、ク・ドンヒ、キム・シニル、チャン・ジア
2013コン・ソンフン、シン・ミギョン、チョ・へジョン、ハム・ヤンア
2012ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、ギム・ホンソック、イ・スギョン、イム・ミヌク

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