韓国美術家賞2021最終候補


(左上から時計回りに)チェ・チャンスク、バン・ジョンア、キム・サンジン、オ・ミン

 

2021年4月13日、韓国国立現代美術館は、韓国国内有数の現代美術賞である韓国美術家賞2021の最終候補として、キム・サンジン、バン・ジョンア、オ・ミン、チェ・チャンスクを発表した。

韓国美術家賞は、前身となる「Artist of the Year」(1995-2010)を引き継ぐ形で、韓国現代美術に貢献し、新しいヴィジョンや可能性を探求するアーティストの支援を目的に、韓国国立現代美術館とSBS財団が2012年に設立。最終候補に選ばれた各アーティストは、SBS財団からの4000万ウォン(約360万円)の経済的支援を受け、最終選考を兼ねた展覧会で新作を発表する。会期中に受賞者の発表と授賞式が行なわれ、受賞者には賞金1000万ウォンが贈呈される。10度目の開催となる本年度の最終候補に選ばれたのは次の4名。

キム・サンジン(1979年生まれ)は、物や現象、世界の本質に対する認識論的アプローチに着目し、さまざまなメディウムや表現形式を駆使して作品を発表している。ソウル国立大学校美術大学を経て、2013年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジを修了。これまでに韓国国立現代美術館やソウル市立美術館、錦湖美術館などの企画展に参加し、2019年にはOsison(ソウル)で個展『Cross Check』を開催。また、2016年からソウル市内のアートスペースのディレクターを務めている。

釜山を拠点に活動するバン・ジョンア(1968年生まれ)は、民衆美術やフェミニズム・アートの遺産を引き継ぎながら、韓国社会の一側面を映し出すリアリズム絵画を発表している。その関心は、個人的なものから社会的なもの、環境問題、そして、より抽象的なものにいたるまで幅広い。1990年代初頭から継続的に作品を発表しており、2018年には光州ビエンナーレに参加、2019年には釜山市立美術館で中堅作家を紹介する「Highlighting Contemporary Artist」シリーズの第一回展示に抜擢された。また、福岡アジア美術館にも作品が収蔵されている。

オ・ミン(1975年生まれ)は、音楽、コレオグラフィ、パフォーマンスといった異なるジャンルの構造の解体を試みながら新たな知覚領域を追求、時間的な特性に関する考察、フォーマリスティックな美に対する問題提起を続けている。ソウル国立大学校でピアノとグラフィックデザインを学び、2008年にはイェール大学で修士号を取得。2000年代後半より国内外で作品を発表し、近年の主な個展に『Etudes』(Atelie Hermès、ソウル、2018)、『Invitee, Attendee, Absentee』(Platform-L Contemporary Art Center、ソウル、2020)などがある。

ベルリンに拠点を置くチェ・チャンスク(1977年生まれ)は、個人の物語や集団的記憶にまつわる歴史的な出来事や関係性に着目し、同時代的な文脈の下での考察を促す作品を発表している。《FOR GOTT EN I》(2010-)では、戦争に人生を翻弄された日本および朝鮮半島出身の女性とゆっくりと関係性を築きながら取材し、ポートレイト撮影とインタビューを試みている。近年の主な個展に『Re move』(Grimmmuseum、ベルリン、2016/Art Sonjae Center、ソウル、2017)、『It leaks, the light in their ground』(Seoul Media Canvas、2020)、『SUPERPOSITION qbit to adam』(Digital Art Center、台北、2020)などがある。

また、韓国国立現代美術館とSBS財団は、2015年に韓国美術家賞の歴代最終候補者のための海外活動基金を設立し、韓国国外での作品制作やプロジェクトの支援を行なっている。近年の主な支援に、第13回シャルジャ・ビエンナーレにおけるク・ドンヒの展示(2017)、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレにおけるイ・スギョンの展示(2018)、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホのテート・リバプールでの個展(2018)、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ韓国館におけるサイレン・ウニョン・チョンの展示(2019)があり、そのほか、キム・キラ、ギム・ホンソック、ナ・ヒュン、ミックスライス、オー・インファン、チャン・ジア、チョ・へジョン、ハム・ギョンア、ハム・ヤンアなども支援を受けている。

 

韓国美術家賞http://koreaartistprize.org/

韓国美術家賞2021
2021年10月20日(水)- 2022年1月30日(日)
韓国国立現代美術館 ソウル館
http://www.mmca.go.kr/
参加アーティスト:キム・サンジン、バン・ジョンア、オ・ミン、チェ・チャンスク

 


 

韓国美術家賞2021審査委員会
パク・ソヒョン(ソウル科学技術大学校教授)
チェ・ウンジュ(大邱美術館)
ユージン・タン(シンガポール国立美術館館長)
デフネ・アヤス、ナターシャ・ギンワラ(ともに光州ビエンナーレ2021アーティスティック・ディレクター)
ユン・ボムモ(韓国国立現代美術館ディレクター)※投票権なし

韓国美術家賞2021運営委員会
ユン・ボムモ(韓国国立現代美術館ディレクター)
パク・ジョンフン(SBSヒマンネイル[希望明日]委員会委員長)
ペ・スンフン(元韓国国立現代美術館ディレクター)
ムン・キョンウォン(アーティスト、梨花女子大学校准教授、2012年韓国美術家賞グランプリ)
アン・ギュチョル(アーティスト、韓国芸術総合学校教授)

 


 

歴代受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2020イ・スルギ、キム・ミネ、チョン・ユンソク、チョン・ヒスン
2019イ・ジュヨ、キム・アヨン、ホン・ヨンイン、パク・ヘス
2018サイレン・ウニョン・チョン、ク・ミンジャ、オキン・コレクティヴ、チョン・ジェホ
2017ソン・サンヒ、パク・ギョングン、ペク・ヒョンジン、サニー・キム
2016ミックスライス、キム・ウル、バク・スンウ、ハム・ギョンア
2015オー・インファン、キム・キラ、ナ・ヒュン、ハ・テボム
2014ノ・スンテク、ク・ドンヒ、キム・シニル、チャン・ジア
2013コン・ソンフン、シン・ミギョン、チョ・へジョン、ハム・ヤンア
2012ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、ギム・ホンソック、イ・スギョン、イム・ミヌク

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