具体美術協会と芦屋、その後 @ 芦屋市立美術博物館

グタイピナコテカ集合写真 1965 写真提供:大阪中之島美術館

 

具体美術協会と芦屋、その後
2025年7月5日(土)-8月31日(日)
芦屋市立美術博物館
https://ashiya-museum.jp/
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月(ただし、7/21、8/11は開館)7/22、8/12
企画担当:大槻晃実(芦屋市立美術博物館学芸員)
展覧会URL:https://ashiya-museum.jp/exhibition/exhibition_new/19893.html

 

芦屋市立美術博物館では、同館が所蔵する「具体美術協会」会員37名の作品約50点によって、その18年間の活動を紹介する展覧会「具体美術協会と芦屋、その後」を開催する。

「具体美術協会」(具体)は、戦前より二科会や九室会などで活躍していた前衛画家の吉原治良が中心となって1954年に芦屋で結成された、戦後日本美術を代表する美術家集団。その後1972年に吉原が急逝したことで解散。吉原や会員たちが屋内のみならず、野外や舞台、空中までも発表の場とし、多様な造形や絵画、立体作品などを通して先鋭的な表現を果敢に追求した。

本展では、結成から解散までの18年間の活動を振り返り、なかでも1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の参加に向けて準備を進めていた1960年代後半からの「具体」の動向を紹介する。また、1972年と1974年に芦屋のルナ・ホールや滴翠美術館で開催された「芦屋川国際ビエンナーレ」、1973年から1975年にルナ・ホールで開催された「ルナ・フェスティバル」を資料などから紹介し、芦屋の美術の時間を辿る。

 

日本万国博覧会「具体美術まつり」フィナーレ 1970
第1回芦屋川国際ビエンナーレ 1972 撮影:堀尾貞治 ©松谷武判アーカイブス

 

展示は1部と2部に分けて構成される。第1部「具体美術協会 1954-1972」では、結成からフランスの美術評論家ミシェル・タピエと出会うまでを「初期」(1954-1957)、「アンフォルメル」の動向と併走していく「中期」(1957-1965)、テクノロジーと密接に結び付いた表現や、幾何学的抽象やハードエッジの作品など、当時の最先端の技術や傾向を取り入れる作家たちが入会し会員数が増大した「後期」(1965-1972)の3つに期間を分け、その一連の仕事を辿る。

第2部「「具体」が芦屋へもたらした、新しい息吹」では、直近の調査で数多く発見された当時の資料から見えてきた、1970年代の芦屋の美術の動きを作品と資料から辿る。当時芦屋では、吉原に影響を受け若手作家の支援に尽力していた芦屋在住の真壁義昌の発案のもと、「具体」会員の松谷武判と未生流の肥原俊樹たちによって企画された「芦屋川国際ビエンナーレ」(1972)、建築家の山崎泰孝を中心に芸術家たちによって企画され、約20日間にわたって美術・詩・音楽・演劇などの展示やイベントが行なわれた「第3回ルナ・フェスティバル」(1975)など、ビエンナーレや芸術祭が多く実施されていた。また、芦屋在住の実業家・植野藤次郎によって創設され、「具体」会員の吉田稔郎が運営に関わった「ジャパンエンバ美術コンクール」(1978-1994)、「具体」の登竜門として知られ現在も続く芦屋市展(1948-)なども合わせて紹介し、芦屋を発信地として文化・芸術の領域を拡げたこれらの動きと、「具体」が芦屋へもたらした影響とその革新性を考察する。

 

出品作家
東貞美、今井祝雄、上前智祐、浮田要三、大原紀美子、小野田實、金山明、菅野聖子、聴濤襄治、喜谷繁暉、木梨アイネ、坂本昌也、嶋本昭三、白髪一雄、白髪富士子、鷲見康夫、田井智、高崎元尚、田中敦子、田中竜児、坪内晃幸、名坂千吉郎、名坂有子、堀尾昭子、堀尾貞治、前川強、正延正俊、松谷武判、松田豐、向井修二、村上三郎、元永定正、山崎つる子、吉田稔郎、ヨシダミノル、吉原治良、吉原通雄など

 

山崎つる子《作品》1964 年 ビニール塗料、綿布、板 芦屋市立美術博物館蔵 ©Estate of Tsuruko Yamazaki, coutesy of LADS Gallery, Osaka
元永定正《作品》1962 年 油性合成樹脂塗料、綿布、板 芦屋市立美術博物館蔵 ©モトナガ資料研究室
菅野聖子《母音頌》 1974 年 アクリル、布 芦屋市立美術博物館蔵

 

関連イベント
講演会「『具体』とアメリカ抽象表現主義」
2025年7月6日(日)14:00–15:30
会場:芦屋市立美術博物館 講義室
講師:大島徹也(多摩美術大学芸術学科教授、多摩美術大学美術館館⾧)
定員:80名(無料、要観覧券、申込不要)

学芸員によるギャラリートーク
2025年7月12日(土)、8月3日(日)14:00–(1時間程度)
会場:芦屋市立美術博物館 展示室
担当:大槻晃実(本展担当学芸員)
参加費:無料(要観覧券、申込不要)

ワークショップ「元永定正さんの“流し”の絵画を体験しよう」
2025年7月26日(土)13:00–16:00
会場:芦屋市立美術博物館 講義室
講師:川原百合恵(芦屋市立美術博物館学芸員)
定員:20名(参加費500円、要観覧券、事前申込制)※詳細

講演会「具体美術協会と 1970 年の大阪万博」
2025年8月9日(土)14:00–15:30
会場:芦屋市立美術博物館 講義室
講師:加藤瑞穂(美術史家)
定員:80名(無料、要観覧券、申込不要)

講座「1970 年代の芦屋の芸術-芦屋川国際ビエンナーレ、ルナ・フェスティバルなど」
2025年8月17日(日)14:00–15:30
会場:芦屋市立美術博物館 講義室
担当:大槻晃実(本展担当学芸員)
定員:80名(無料、要観覧券、申込不要)

ボランティアスタッフによる鑑賞サポート
会期中の毎水曜日 13:00–16:00(当日変更の可能性あり)
会場:芦屋市立美術博物館 展示室
参加費:無料(要観覧券、申込不要)

 

松谷武判《作品・62》1962 年 樹脂系接着剤、合成樹脂系絵具、布 芦屋市立美術博物館蔵
白髪一雄《地煞星鎮三山》 1961年 油彩、布 芦屋市立美術博物館蔵 

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