art resonance vol.01時代の解凍 @ 芦屋市立美術博物館


山崎つる子《作品》1964年 ビニール塗料、綿布、板 芦屋市立美術博物館蔵
©Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS GALLERY, Osaka

 

art resonance vol.01時代の解凍
2023年10月28日(土)-2024年2月4日(日)
芦屋市立美術博物館
https://ashiya-museum.jp/
開館時間:10:00-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/8は開館)、年末年始(12/28-1/4)、1/9
展覧会担当:大槻晃実(芦屋市立美術博物館学芸員) 
展覧会URL:https://ashiya-museum.jp/exhibition/18007.html

 

芦屋市立美術博物館では、関西を拠点に活動する藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4人のアーティストが、創作者としての各々の視点から同館コレクションを調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げることにより新たな展望の提示を試みる展覧会「art resonance vol.01時代の解凍」を開催する。

芦屋市立美術博物館は、具体美術協会をはじめ、洋画家の小出楢重や芦屋カメラクラブなど、芦屋ゆかりのアーティストの美術作品約1,500点を収蔵し、美術史を中心とした専門的な研究・調査を通じて、各作品の特徴を捉えたテーマの下で、そのコレクションを紹介してきた。しかしながら、本展では、これまでの固定化された作品解説や作家紹介が、美術館のコレクションは「いつ見ても同じ作品である」という印象をつくりだし、再び鑑賞する機会を減少させているのではないかと内省し、現代に生きるアーティストによる考察を通じて、コレクションの新たな一面を鑑賞者に提示する。そしてまた、鑑賞者自らが作品や作家への新たな接し方、読み解き方を見つけるといった新たな鑑賞体験の創出を試みる。

 


藤本由紀夫《y-memo》2023年 カラーシート、ブリキ、トタン 作家蔵


髙橋耕平《未定》2023年 インスタレーション(一部)作家蔵

 

本展に参加するのは、藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4人のアーティスト。藤本由紀夫(1950年愛知県生まれ)は、1970年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンスやインスタレーション、80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作、その後も作品を使用したパフォーマンスを行うなど、空間を利用した独自のテクノロジーアートの世界を展開している。本展では、山崎つる子の《作品》(1964)を選び、1点の作品から何が読み取れるかに挑戦する。藤本は自分自身の制作のプロセスと照らし合わせることにより、山崎の仕事の姿勢や思索の跡を追い、具体美術協会という枠を超えた山崎の世界の新しい発見を試みる。

髙橋耕平(1977年京都府生まれ)は、ドキュメンタリー形式の映像に自らの声や身体を介入させた作品、パフォーマンスの記録やアーカイブ資料を使用した作品を発表している。本展では、「対話のための作品展」(1962―1981. 西宮・自庭)や「架空通信テント美術館」(1980-1985.西宮・夙川)など、私と公のつながりを「対話」という形で拡張していった津高和一の活動に注目。仮説として、津高の抽象絵画に向かう姿勢と成り立ちに、後の「対話」的活動の萌芽を見出し、髙橋自身の制作プロセスを重ね、津高が試みた作品と 作品が置かれる場を通した「対話」のあり方の継承を試みる。

 


野原万里絵《色彩への扉》 2023年 パステル、色鉛筆、紙 作家蔵


黒田大スケ《4匹》2023年 ドローイング 作家蔵

 

野原万里絵(1987年大阪府生まれ)は、近年、ワークショップを日本各地で開催し、協働制作による作品を発表。他者とのコミュニケーションを通して、絵画の新たな可能性を模索している。本展では、生涯にわたって約5,000点もの絵画を遺した山田正亮に注目。作品と共に残された50冊以上に及ぶ山田の制作ノートから、本質的な絵画への問いと「描く」という山田の思考を、野原自身の画家の視点で調査を行ない、制作という行為を通してひとつの答えを導き、抽象絵画の新しい鑑賞方法を提示する。

黒田大スケ(1982年京都府生まれ)は、彫刻に関するリサーチを基に、特定の彫刻家を憑依させるように演じるパフォーマンス的要素の強い映像を制作することで、忘れ去られた/埋没してしまっている近代以降の彫刻家の個人史やその制作行為を浮かび上がらせ光を当てることを試みている。本展では、田中敦子の《作品(ベル)》や《カレンダー》に注目し、田中の作品制作をサポートした影の立役者(電気屋)の視点から作品制作を通して田中像に迫る。あわせて、絵画や平面作品を多く収蔵する芦屋市立美術博物館で展示機会の少ない彫刻のコレクションにも着目し、堀内正和柳原義達エミール゠アントワーヌ・ブールデルの3名の彫刻家を演じ、彼らの視点から作品を制作する。田中と彫刻家達についてのばらばらの詩を重ねることで、展示全体を通じて、見えない存在に姿を与えるように透明な何者かの為の物語を紡ぐ。

 


津高和一《声》1956年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵


山田正亮《WORK F.1》1990年 油彩、カンヴァス 芦屋市立美術博物館蔵

 

関連イベント
オープニングイベント アーティストによるギャラリートーク
2023年10月28日(土)14:00-16:00(予定)
講師:藤本由紀夫、髙橋耕平、野原万里絵、黒田大スケ
会場:芦屋市立美術博物館 展示室
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)

トーク1
2023年11月18日(土)14:00-16:00
講師:黒田大スケ(美術家・出展作家)
会場:芦屋市立美術博物館 講義室、展示室
定員:60名
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)

トーク2
2023年12月9日(土)14:00-16:00
講師:髙橋耕平(美術家・出展作家)
会場:芦屋市立美術博物館 講義室、展示室
定員:60名
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)

トーク3
2023年12月23日(土)14:00-16:00
講師:藤本由紀夫(アーティスト・出展作家)
会場:芦屋市立美術博物館 講義室、展示室
定員:60名
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)

ワークショップ「記憶の色図鑑づくり」
2023年11月25日(土)10:30-14:30(予定)
講師:野原万里絵(画家・出展作家)
会場:芦屋市立美術博物館 体験学習室
定員:15名
対象:小学生以上
材料費:200円(高校生以上は要観覧券)
※要事前申込(応募締切:11/15 ※応募者多数の場合は抽選)、詳細は公式ウェブサイトを参照

アーティストと学芸員によるギャラリーツアー
2024年1月13日(土)14:00-15:30(予定)
藤本由紀夫、髙橋耕平
2024年1月20日(土)14:00-15:30(予定)
野原万里絵、黒田大スケ
会場:芦屋市立美術博物館 展示室
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)

学芸員によるギャラリートーク
2023年11月11日(土)、11月12日(日)、2014年1月8日(月・祝)各回:13:00-(約1時間)
大槻晃実(芦屋市立美術博物館学芸員)
※参加無料、申込不要(ただし要観覧券)
※11月11日、11月12日は無料観覧日(関西文化の日)

 


田中敦子《カレンダー》1954年頃 インク、紙、鉛筆、コラージュ 芦屋市立美術博物館蔵 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association


エミール゠アントワーヌ・ブールデル《デモステネスA》1927年 テラコッタ 芦屋市立美術博物館蔵

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