[被災現場写真]2011年11月24日、気仙沼市波路上瀬向、高校校舎3階図書室の状況。本は水に浸かると3倍から4倍に膨張する。本棚の中に納まった状態でこうなると、もう抜き出すことは不可能だ。スチール棚などは膨張に耐えきれず変形してしまう。絶版となった本は新たに入手することが難しい。この震災で貴重な書籍を失ってしまった者は少なくない。© リアス・アーク美術館
気仙沼と、東日本大震災の記憶
—リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史—
2016年2月13日(土)-3月21日(月)
目黒区美術館
http://mmat.jp/
開館時間:10:00-18:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/21は開館)
企画:佐川夕子(目黒区美術館学芸員)
目黒区美術館では、宮城・気仙沼のリアス・アーク美術館の特別協力のもと、同館の取り組みを東京地区で初めて大規模に紹介する企画展『気仙沼と、東日本大震災の記憶—リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史—』を開催する。
目黒区と気仙沼市は、1996年の「目黒のさんま祭」に気仙沼市がサンマを提供したことから交流がはじまり、災害時相互援助協定の締結や中学生の自然体験ツアーの実施などを通じて交流を深め、東日本大震災が起きる約半年前の2010年9月に友好都市協定を結んでいる。
リアス・アーク美術館は、東日本大震災発生直後から、気仙沼市と南三陸町の被災状況の調査、記録活動に中心となって取り組み、撮影した被災現場写真約30,000万点、収集した被災物約250点、新聞や過去に起きた大津波の資料を加えた約500点からなる常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」を2013年4月に公開した。先の震災以前から「津波」を地域の文化を築いてきた重要な要素のひとつととらえ、過去の大津波も展覧会で取り上げてきた同美術館は、それまでの経験を踏まえ、東日本大震災の記録活動を、記録資料を残すことで終わらせず、正しく伝えるための常設展示をつくりあげた。
本展では、被災現場と被災物の写真パネル約260点、被災物(現物)11点に、関係歴史資料を加えて、「東日本大震災の記録と津波の災害史」を紹介する。さらに、同美術館が地域の歴史・民俗資料をまとめたもうひとつの常設展示『方舟日記—海と山を生きるリアスな暮らし—』も展示し、気仙沼・南三陸地域が育んできた豊かな地域文化の紹介もあわせて行なう。
関連企画
特別講演会「震災をどのように定義するべきか」
講師:山内宏泰(リアス・アーク美術館 学芸係長)
2016年2月13日(土)14:00-15:30
会場:目黒区美術館 1階ワークショップ室
定員:70名
聴講無料
[被災現場写真]2011年3月13日、気仙沼市魚市場前の状況。歩行が困難な被災物の堆積があり、かつ此処そこから煙が上がっている。時折吹く風が大破した家屋のトタン板を揺らす。バララン・・・カラランというような、それまで聞いたことの無い音が四方八方から聞こえていた。それ以外の音と言えば、上空を飛び交うヘリコプターの風切音のみ。頭に浮かぶ言葉もない。© リアス・アーク美術館
[被災物(写真パネル)]「洗濯機 2011.11.22 気仙沼市本吉町三島」
「我が家はバラバラになって、流されて、田んぼにまき散らされてしまったんです・・・ 秋口に、ぬかるみが、ようやく歩けるくらいになって、それで、気になってた洗濯機を見に行ってみたんです。
やっぱりうちのでした・・・洗濯槽の中に泥が積もってました。
洗濯機って、脱衣所とか、洗面所にあるでしょ。あそこって、身もそうだけど、心も清めるっていうか・・・お風呂とかね。安心できる場所。
いろいろきれいにするそういう場所と、洗濯機ってセットなんだよね。なのに泥が入ってて・・・見なきゃよかったなぁって・・・悲しくなった。」© リアス・アーク美術館