エリック・ボードレール「重信房子、メイ、足立正生のアナバシス、そして映像のない27年間」2011年,カディスト美術財団蔵,Courtesy of Kadist Art Foundation © the artist
映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める
2013年9月7日(土)-10月27日(日)
京都国立近代美術館
http://www.momak.go.jp/
開館日時:9:30-17:00(毎金曜と9/7、10/26は20時まで)入場は開館の30分前まで
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日は休館)
京都国立近代美術館では、マルセル・ブロータースの映画に関するテクストやプロジェクトを参照軸に、1990年代後半以降の現代美術における映像表現を考察する企画展『映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める』を開催する。
マルセル・ブロータース(1924-1976)は、詩人としての20年近い活動を経て、60年代前半から美術の領域へと活動の中心を移して、言語とイメージの関係を扱ったオブジェや写真の制作をはじめる。公開書簡や出版などの著述活動や、美術を取り巻く権威や制度を批判的に検証する虚構性に満ちたプロジェクトなど幅広い創作活動を展開した。また、50年代後半より短編映画を制作をはじめ、以降、映画はブロータースにとって、表現方法のひとつに留まらない考察対象として存在していた。
本展では、「書く」ための方法として映画を位置づけたブロータースの意図を、これまで主に「視る」ことへ意識を傾けてきた映像表現に対して、「読む」という視点を改めて強調することとして読み解いている。その上で、彼のユーモアを交えた言語とイメージの関係性を根源的に問う実践を、写真やヴィデオ・インスタレーションを用いた表現が急増した1990年代以降の美術動向を理解する有効な手がかりとして提示している。一方、90年代後半以降に映像表現を手掛けた美術家に見出せるひとつの傾向として、映画の技術や理論、歴史に高い関心を持ち、過去の映画作品をさまざまな形で参照・解読するという創作手法が挙げられる。
本展は、ブロータースの映画に関するテクストやプロジェクトを参照軸として、そこから引き出し「Still / Moving」「音声と字幕」「アーカイヴ」「参照・引用」「映画のある場」という5つのテーマに即して美術の領域で展開される「映画」への考察を深める構成となっている。
出品作家は、上述のブロータースのほか、エリック・ボードレール、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、ピエール・ユイグ、アイザック・ジュリアン、アンリ・サラ、シンディ・シャーマン、ダヤニータ・シン、田中功起、アナ・トーフ、やなぎみわ、ミン・ウォン、アクラム・ザタリの全13名。企画は同美術館研究員の牧口千夏。なお、本展は来年4月に東京国立近代美術館への巡回を予定している。
また、展覧会前日の9月6日にはPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015
オープンリサーチプログラムとして、ドミニク・ゴンザレス=フォルステルの[レクチャー]が京都府京都文化博物館別館ホールで開催される。
関連イベント
連続アーティスト・トーク
ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、ダヤニータ・シン、田中功起、アナ・トーフ
2013年9月7日(土)14:00-
定員:70名(無料、要観覧券)※当日13時から1階インフォメーションにて整理券配布
金曜夜の上映プログラム
2013年9月13日 19:00- 田中功起「A Piano Played by Five Pianists at Once (First Attempt)」(2012年)
2013年9月27日 19:00- ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「De Novo」(2009年)ほか
2013年10月11日19:00- ミン・ウォン「Angst Essen/Eat Fear」(2008年)ほか
会場:同館1階講堂
※要観覧券
NFC所蔵作品選集 MoMAK Films 2013「美術が読み解く映画たち」
2013年10月26日(土)14:00-
『裁かるるジャンヌ』、『チャップリンの舞台裏』、『チャップリンの替え玉』、『キートンの探偵学入門』
2013年10月27日(土)14:00-
『レベッカ』、『夜』
会場:同館1階講堂
※1プログラム 500円
PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015
オープンリサーチプログラム[レクチャー]
ドミニク・ゴンザレス=フォルステル
2013年9月6日(金)19:00-20:00
会場:京都府京都文化博物館 別館ホール
無料(申込不要)、英語、日本語対応あり(調整中)
http://www.parasophia.jp/events/a/dominique-gonzalez-foerster/
2013年4月22日(火)-6月1日(日)
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
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