SeMA-HANAメディアアートアワード


Eric Baudelaire The Anabasis of May and Fusako Shigenobu, Masao Adachi, and 27 Years without Images (2011) Installation view at SeMA Biennale Mediacity Seoul 2014. Photo: ART iT

2014年11月、ソウル市立美術館はハナ金融グループとともに創設したSeMA-HANAメディアアートアワードの第1回受賞者に、エリック・ボードレールを選出した。ボードレールには賞金5000万ウォン(約530万円)が授与される。

エリック・ボードレールは1973年ソルトレイクシティ生まれ。現在はパリを拠点に活動している。イメージと出来事、ドキュメントと物語(フィクション)の関係性への関心に基づいた映像作品は、観客にイメージの生産と消費の現状に関する問題を投げ掛ける。映像作品以外にも、写真やドローイングなどを含んだインスタレーションを美術館や国際展で発表するとともに、映画祭での上映機会も多数。ヨコハマトリエンナーレ2014では、今回の受賞対象作品に続き、足立正生の協力を得て制作した「アグリー・ワン」(2013)を発表した。

同賞は、メディアシティ・ソウル2014の参加アーティストを対象としており、ボードレールは「重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間」を出品していた。同作品は、革命運動に従事した人々の27年間の軌跡を、日本赤軍創設者の重信房子の娘メイと、赤軍のメンバーとしてパレスチナ解放人民戦線(PFLP)と共闘した映画監督の足立正生による語りとともに、辿ろうと試みた作品。断片化された映像や私的な物語、政治的な物語、歴史化された物語の混淆によって、イメージのない27年間に形を与えようと迫る。昨年から今年にかけて、京都国立近代美術館と東京国立近代美術館を巡回した『映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める』にも出品された。

授賞式は12月3日にソウル市立美術館で開催される。また、授賞式に先立ち、ボードレールの作品上映と受賞講演が行なわれる予定。

メディアシティ・ソウル:http://www.mediacityseoul.kr/


エリック・ボードレール「風景論の折り紙」(2014年11月掲載)

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