恩地孝四郎《フォルムNo.16》1952年 マルチブロック、紙 ドゥファミリィ美術館
恩地孝四郎展 抒情とモダン 版に重なるこころ
2016年4月29日(金、祝)-6月12日(日)
和歌山県立近代美術館
http://www.momaw.jp/
開館日時:9:30-17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月
展覧会担当:奥村一郎(和歌山県立近代美術館学芸員)、藤本真名美(和歌山県立近代美術館学芸員)
和歌山県立近代美術館では、日本における抽象美術の先駆者にして木版画近代化の立役者として知られる恩地孝四郎の回顧展『恩地孝四郎展 抒情とモダン 版に重なるこころ』を開催する。
本展は、1994年から翌95年にかけて同館で開催された『恩地孝四郎 色と形の詩人』以来、過去最大規模の回顧展。先立って開催された東京国立近代美術館での展覧会は、大英博物館やボストン美術館、ホノルル美術館などが所蔵する重要作をはじめ、版画作品を中心にしつつも、恩地の領域横断的な仕事も併せて紹介する貴重な機会として注目された。和歌山県立近代美術館は昨年、恩地が田中恭吉、藤森静雄とともに創刊した同人誌『月映』に焦点をあてた展覧会を開催しており、恩地への関心の高まりの中での本企画の開催となる。
恩地孝四郎は1891年東京生まれ。父親の勧めで医者を目指し、第一高等学校を受験するも失敗。同年、竹久夢二との出会いをきっかけに表現者を目指すこととなる。翌1910年に東京美術学校予備科に入学すると、1914年に田中恭吉、藤森静雄とともに『月映』を創刊し、翌年に日本で最初の抽象表現とされる「抒情『あかるい時』」を同誌上にて発表する。20年代から30年代には、時代と呼応しつつさまざまな版表現の可能性を追求する。1931年には「日本版画協会」を結成。戦時中の1939年には従軍画家として中国を訪れている。終戦後、抽象版画の連作に改めて取り掛かり、国内外の展覧会で作品を発表。1955年に心臓麻痺のために他界するが、その後も数多くの個展や企画展で作品が紹介され続けている。
会期中には、東京国立近代美術館特任研究員の松本透や、『恩地孝四郎研究—版画のモダニズム』の著者で聖徳大学教授の桑原規子による記念講演会などを開催。また、会期中、一部作品の展示替えが行なわれる。
関連企画
記念講演会「抽象への方途 恩地孝四郎の版画」
講師:松本透(東京国立近代美術館特任研究員)
2016年5月8日(日)14:00-15:30
会場:和歌山県立近代美術館2階ホール
申込不要、聴講無料
記念講演会「恩地孝四郎の実験精神:創作版画から現代美術へ」
講師:桑原規子(聖徳大学教授)
2016年5月14日(土)14:00-15:30
会場:和歌山県立近代美術館2階ホール
申込不要、聴講無料
※その他の関連企画は、公式ウェブサイトを参照。
Above:恩地孝四郎《音楽作品による抒情 ドビュッシー「金色の魚」》1936年 木版、紙 養清堂画廊. Below:恩地孝四郎《オブジェNo.4》1954年 実物版、紙 ホノルル美術館 Honolulu Museum of Art, Purchase, 1976 (16708) © Honolulu Museum of Art.
同時開催
コレクション展 2016-春
特集展示 謄写印刷工房から—印刷と美術のはざまで
2016年4月29日(金、祝)-5月29日(日)
和歌山県立近代美術館 1階展示室
コレクション展 2016-夏
特集展示 ドローイング—水彩・パステル・紙の世界
2016年6月7日(火)-9月4日(日)
和歌山県立近代美術館 1階展示室