池田満寿夫《愛の瞬間》1966年 ドライポイント、ルーレット、エングレーヴィング 広島市現代美術館蔵
とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家
2023年2月4日（土）– 4月9日（日）
和歌山県立近代美術館
https://www.momaw.jp/
開館時間：9:30–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日：月
展覧会URL：https://www.momaw.jp/exhibit/2022_ikedamasuo/
和歌山県立近代美術館では、版画家で、小説執筆、映画監督など多分野にわたり多彩な活動を続けた池田満寿夫の1950年代から1960年代後半までの版画作品とともに、彼が影響を受け、交遊のあったアーティストの作品を紹介する展覧会『とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家』を開催する。
池田満寿夫（1934-1997／満州［現中国］・奉天生まれ）は、終戦の年に父母とともに長野に引き揚げ、高校を卒業後、画家を志して上京する。東京藝術大学の受験を３度失敗するも、1955年に靉嘔（あいおう）に出会い、彼を通じて瑛九や美術評論家でコレクターの久保貞次郎らと知り合う。瑛九の助言により翌年から版画を始め、デモクラート美術家協会にも最若手のひとりとして参加した。1957年にデモクラート美術家協会は解散してしまうが、池田は版画の可能性に目覚めて制作を続け、60年代からは日本の版画表現の国際的評価も高まりもあり、ニューヨーク近代美術館での日本人初の個展『Prints of MASUO IKEDA』の開催（1965）や、ヴェネツィア・ビエンナーレ展での国際版画大賞受賞（1966）など、海外へと飛躍し脚光を浴びることとなる。
池田満寿夫《退屈な時間》1955年 油彩 広島市現代美術館蔵
池田満寿夫《女・動物たち》1960年 ドライポイント、アクアチント 広島市現代美術館蔵
池田が参加したデモクラート美術家協会は、1951年に瑛九が中心となり、大阪で結成された美術グループ。自由と独立の精神を尊重して既存の美術集団や権威主義を否定し、「既成画壇に出品しないこと」を唯一の参加条件とした。瑛九の上京に伴って大阪と東京に拠点を広げ、東京・大阪を中心とした展覧会の開催や機関誌の刊行など、活発に活動した。メンバーは、画家をはじめ、デザイナー、写真家、評論家、バレリーナに至るまで、幅広い領域にまたがる。1957年に日本初の国際現代美術展である東京国際版画ビエンナーレ展が開催され、メンバーの池田や関西を拠点にしていた泉茂らが入賞・入選したことを機に、デモクラート美術家協会は解散することとなった。
瑛九《鳥のピアノ》1957年 リトグラフ 和歌山県立近代美術館蔵
泉茂《闘鶏》1957年 リトグラフ 和歌山県立近代美術館蔵
本展では、広島市現代美術館の協力により、特に池田の礎となった時期といえる1950〜60年代後半の版画作品とともに、彼と親交の深かった靉嘔、瑛九、泉、加藤正、吉原英雄らデモクラート美術家協会の作家たちの同時期の作品を紹介しながら、世界を席巻することになる戦後日本の版画を見直していく。
靉嘔《倦怠》1955年 油彩 個人蔵
吉原英雄《きりきり舞い b》1956年 リトグラフ 個人蔵
関連イベント
講演会「わたしの版画事始め」
出演：山本容子（銅版画家）
2023年2月4日（土） 14:00–
会場：和歌山県立近代美術館 2階ホール
定員：60名（先着順）
料金：無料
フロアレクチャー（学芸員による展示解説）
①2023年2月12日（日）14:00–
②2023年3月18日（土）14:00–
会場：和歌山県立近代美術館 2階展示室
料金：無料（ただし観覧券が必要）
こども美術館部（作品鑑賞会）
テーマ「でも、でも、でも」
①2023年2月18日（土）11:00–
②2023年2月19日（日）11:00–
会場：和歌山県立近代美術館 2階展示室
定員：各回６名（先着順）
対象：小学生
※1月31日（火）9:30より受付開始。申込方法等、詳細は下記URLを参照
https://www.momaw.jp/exhibit/2022_ikedamasuo/
池田満寿夫《私の詩人、私の猫》1965年 ドライポイント、ルーレット 広島市現代美術館蔵
同時開催
コレクション展 2023-春 特集：新収蔵 奈良原一高の写真
2023年2月11日（土）－ 5月7日（日）
和歌山県立近代美術館 1階展示室
巡回情報（予定）
2023年4月30日（日）- 6月18日（日）
宇都宮美術館
http://u-moa.jp/
2023年9月9日（土）- 11月5日（日）
長野県立美術館
https://nagano.art.museum/
2024年1月20日（土）- 3月17日（日）
広島市現代美術館（前期:1月20日-2月18日、後期:2月21日-3月17日)
https://www.hiroshima-moca.jp/renewal2023/