国際芸術祭「あいち2025」

ムルヤナ、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年

 

国際芸術祭「あいち2025」
「灰と薔薇のあいまに」

2025年9月13日(土)- 11月30日(日)
https://aichitriennale.jp/
芸術監督:フール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際ビエンナーレ協会(IBA)会長)
主な会場:愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

 

2025年9月13日から11月30日にわたって、フール・アル・カシミがアーティスティック・ディレクターを務める国際芸術祭「あいち2025」が、愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかを主な会場に、市内各所で開幕した。

62組のアーティストおよびグループが参加。現代美術部門では国内外の54組が新作を含む作品を展示し、パフォーミングアーツ部門では国内外の9組が先鋭的な演劇、ダンスなどの舞台芸術作品を上演する。また、さまざまな人を対象とする鑑賞サポートなどのアクセシビリティプログラムや、学校向けプログラムを充実させる。(参加アーティスト一覧はこちら

 

川辺ナホ、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年
ダラ・ナセル、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年
大小島真木、アフラ・アル・ダヘリ、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年

 

最も多くの展示と公演が集まる愛知芸術文化センターでは、複数のフロアにわたり作品が展開される。

10階の愛知県美術館には、毛糸や布を用いた表現で知られ、2023年に福岡アジア美術館で展示をしたムルヤナKAAT神奈川芸術劇場での個展を控える大小島真木、炭鉱のリサーチをもとにエネルギー産業と人や物質の移動をテーマに制作する川辺ナホ、ホイットニー・ビエンナーレ2024やバーゼルでの初個展が話題となったダラ・ナセル、2013年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレでイラク館代表のひとりに選ばれて以来、ルーツやアイデンティティを題材に作品を発表してきたバーシム・アル・シャーケルら、15組が参加する。

8階の愛知県美術館ギャラリーでは、時間とともに展開する映像やインスタレーションを手がけ、恵比寿映像祭2025にも出展したプリヤギータ・ディア、独自の芸術言語を通じて現実と欺瞞や精神性、女性に対する支配を探求し、第36回サンパウロ・ビエンナーレにも参加するカマラ・イブラヒム・イシャグ、2021年にソウルで結成され、ドクメンタ15第14回光州ビエンナーレに参加したビジュアルリサーチバンド、イキバウィクルル、自然と文化の複雑な関係性を横断的に研究するロバート・ザオ・レンフイ、ヨーロッパにおけるアフリカ系ディアスポラの問題を扱ってきたジョン・アコムフラなど13組を紹介。また、レクチャーやワークショップを実施し、ボランティア活動の拠点となる「ラーニングセンターへたち」も開設される。さらに、2階の旧レストランスペースではミルナ・バーミア、地下フロアでは久保寛子札本彩子が作品を発表する。

同会場で実施されるパフォーミングアーツは、9月にブラック・グレースバゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ、バラリ、ハイカル、ジュルムッド態変。10月にマユンキキ+(瀬戸蔵つばきホールでも上演)、オル太(上演期間中に展示も実施)。11月にセルマ&ソフィアン・ウィスィAKNプロジェクトフォスタン・リニエクラの計8公演が行なわれる。なかでも、マユンキキ、バゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ、バラリ、ハイカル、ジュルムッドは愛知県美術館ギャラリー、セルマ&ソフィアン・ウィスィは瀬戸市新世紀工芸館で、それぞれ展示も行なう。

 

プリヤギータ・ディア、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年
ロバート・ザオ・レンフイ、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年
バゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ、展示風景「あいち2025」愛知芸術文化センター、2025年

 

愛知県陶磁美術館では、本館、つくるとこ 陶芸館、茶室「陶翠庵」、デザインあいちの4棟に加え、屋外にも作品を展示する。本館には、今年丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で個展を開いた西條茜や、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞し、黒人女性の主体性を探求するシモーヌ・リーらが参加。古畑大気近藤佳那子によるユニットBarrackは、カフェとギャラリーを会期中に運営し、地元ゆかりのアーティストの作品を5期に分けて紹介する。つくるとこ 陶芸館の中庭と芝生広場には、ハイブ・アースが土を叩き固める「版築」の技法で制作した凸と凹の作品を設置。さらに、茶室「陶翠庵」では大小島真木が、デザインあいちでは島根県立石見美術館で大規模個展を終えた加藤泉が、それぞれひとつの会場を使った展示を行なう。同会場唯一のパフォーミングアーツとして、2023年韓国美術家賞を受賞したクォン・ビョンジュンが、新作の回遊型サウンド・スカルプチャーを発表する。

 

シモーヌ・リー、展示風景「あいち2025」愛知県陶磁美術館、2025年
西條茜、展示風景「あいち2025」愛知県陶磁美術館、2025年
加藤泉、展示風景「あいち2025」愛知県陶磁美術館、2025年

 

閉校した小学校や旧銭湯、粘土工場、商店街などを展示場所とする瀬戸市のまちなかでは、9カ所で展示が行なわれる。韓国のアートソンジェ・センターで個展を開催中のアドリアン・ビシャル・ロハスや、冨安由真マイケル・ラコウィッツら11組が参加し、やきもののまち特有の景観を背景に、多彩なロケーションで作品を楽しめる。

また、あいち2025に参加する14組のアーティストによる作品が県内4市町をめぐる移動型展覧会「ポップ・アップ!」が10月後半から実施される。週末には是恒さくら浅野友理子札本彩子西條茜が各会場でワークショップを行なう。そのほか、愛知県内4つの芸術大学と連携した展覧会を「アートラボあいち」で開催するなど、市内各所で関連プログラムも展開される。

 

マイケル・ラコウィッツ、展示風景「あいち2025」梅村商店(瀬戸市のまちなか)、2025年
アドリアン・ビシャル・ロハス、展示風景「あいち2025」旧瀬戸市立深川小学校(瀬戸市のまちなか)、2025年
佐々木類、展示風景「あいち2025」旧日本鉱泉(瀬戸市のまちなか)、2025年

 

巡回展示「ポップ・アップ!」
豊田市(豊田市民芸館)2025年10月24日(金)- 10月26日(日)
設楽町(旧設楽町立田峯小学校)2025年10月31日(金)- 11月3日(月・祝)
大府市(大府市歴史民俗資料館、大府市役所)2025年11月7日(金)- 11月9日(日)
豊川市(豊川市桜ケ丘ミュージアム)2025年11月14日(金)- 11月24日(月・振替休日)

参加アーティスト
浅野友理子、プリヤギータ・ディア、札本彩子、カマラ・イブラヒム・イシャグ、加藤泉、是恒さくら、久保寛子、大小島真木、セルマ&ソフィアン・ウィスィ、panpanya、シルビア・リバス、西條茜、佐々木類、ロバート・ザオ・レンフイ、五十嵐大介(特別出品)

 


 

芸術大学連携プロジェクト
アートラボあいちと四芸大による連続個展
西川滉都「窓、風、光、またね」
2025年9月13日(土)- 9月28日(日)
名古屋学芸大学

山ノ内陽介「太古の残滓(ざんし)をくみ上げる」
2025年10月4日(土)- 10月19日(日)
名古屋造形大学

中﨑由梨「fill the space」
2025年10月25日(土)- 11月9日(日)
名古屋芸術大学

川西りな「答えのない自由に、答えを描く」
2025年11月15日(土)- 11月30日(日)
愛知県立芸術大学

 

四芸大による展覧会
展覧会「朝食のあとで vol.2 スープの冷めないうちに」
2025年7月11日(金)- 8月3日(日)
名古屋造形大学

展覧会「微分される景色 / Traces of a Differential Landscape」
2025年8月10日(日)- 9月7日(日)
名古屋学芸大学
※愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学の詳細は後日発表

そのほかの連携事業は公式サイトを参照

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