阪神・淡路大震災30年 企画展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」@ 兵庫県立美術館


 

阪神・淡路大震災30年 企画展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」
2024年12月21日(土)-2025年3月9日(日)
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/13、2/24は開館)、12/29-1/3、1/14、2/25
展覧会URL:https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2412/index.html

 

兵庫県立美術館では、阪神・淡路大震災から30年を迎えるに際し、國府理、束芋、田村友一郎、森山未來、梅田哲也、やなぎみわ、米田知子によるグループ展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」を開催する。

1995年1月17日、淡路島北部を震源地にマグニチュード7.3と推定される地震が発生、阪神・淡路地域に甚大な被害をもたらした。兵庫県立近代美術館(1970-2001)も建物や収蔵品に大きな被害を受けることとなった。同館を引き継ぎ、2002年に震災復興の文化的シンボルとして開館した兵庫県立美術館では、これまでも震災後の節目の年に関連展示を開催。このたび、30年目の節目として、初めて特別展会場での自主企画展を行なう。1995年から2025年までの30年の間にも、世界各地で自然災害や紛争が後を絶たず、明るい未来を想像することがますます困難な状況となる中で、本展では、そのような時代に求められる希望とはどのようなものかという簡単には答えの出ない問いを考え続けるためのひとつの場を目指す。

 


参考:國府理「國府理 水中エンジン redux」(後期展)2017年 アートスペース虹の展示風景 撮影:Tomas Svab


参考:束芋《dolefullhouse》2007年 兵庫県立美術館蔵 ©Tabaimo/Courtesy of Gallery Koyanagi

 

出品作家の國府理(1970-2014/京都府生まれ)は、乗り物の形態をモチーフに、実際に稼働する動力と機能を備えた大型の立体作品を制作・発表。乗り物に植物や生態系を組み合わせ、「移動」と「循環」をテーマに自然と人間の営みについての寓話のような庭や温室型の作品によって創作スケールを拡大させていったが、2014年、展示作品の点検中の事故により逝去した。会期中には、國府の《水中エンジン》の再制作プロジェクトメンバーであるはがみちこ、白石晃一らが出演し、同作の展示・収集・保管について語る座談会も開かれる。束芋(1975年兵庫県生まれ)は、手描きドローイングと日本の伝統的な木版画の色彩を思わせるアニメーションを用いたインスタレーション作品などを通して、現代日本社会に潜む問題をシュールでシニカルに表現してきた。2006年からは舞台作品にも取り組み、国内外で上演を重ねている。2023年には、コペンハーゲンのクンストフォレニンゲン・Gl Strand(現・Gammel Strand)にて大規模個展「NEST」を開催した。田村友一郎(1977年富山県生まれ)は、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンス、舞台まで多彩なメディアを横断し、土地固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで幅広い着想源から、現実と虚構を交差させつつ多層的な物語を構築。自身過去最大規模の個展「ATM」を水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催している(2025年1月26日まで)。

 


参考:田村友一郎《試論:栄光と終末、もしくはその週末 / Week End》2017年 インスタレーション


参考:梅田哲也「梅田哲也イン別府『O滞』」2020年 役者:森山未來ほか

 

森山未來(1984年兵庫県生まれ)は、5歳からさまざまなジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年文化庁文化交流使としてイスラエルに1年間滞在し、ヨーロッパ諸国で活動。「関係値から立ち上がる身体的表現」を求め領域横断的に国内外で活動を展開する。2022年より神戸市にArtist in Residence KOBE(AiRK)を設立し、その運営にも携わる。梅田哲也(1980年熊本県生まれ)は、現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。2023年度にはワタリウム美術館で個展「wait this is my favorite part」を開催。「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026」を受賞し、2026年に東京都現代美術館での受賞記念展が控える。本展に際し、森山と梅田はコラボレーションによる制作と発表を試み、同時開催の「注目作家紹介プログラム チャンネル」でも共同制作による作品を発表する。

やなぎみわ(1967年兵庫県生まれ)は、〈エレベーターガール〉や〈マイ・グランドマザーズ〉など、物語の一場面を構築したような大型の写真作品を中心とした表現を国内外で発表。2011年より演劇活動を開始し、近代美術の黎明期をテーマに美術館や劇場で公演。また、2016年より台湾製の特殊車両による野外巡礼劇を続けており、神戸の兵庫津では海上公演を実現。以降、時宗の始祖、一遍上人の軌跡と芸能を研究するプロジェクトが発足している。米田知子(1965年兵庫県)は、写真を通して土地やものに宿る歴史的真実に迫り、詩的な感性をたたえた情景の背後に幾層にも重なる記憶を呼び起こす表現を展開。20世紀のイデオロギーをテーマに、戦争や震災の傷跡が残る日本国内およびヨーロッパ、東欧、アジアなど幅広い地域における人々の記憶が強く残る場所を訪れ、徹底した対象へのリサーチを重ねながら制作を続けている。

 


参考:やなぎみわ《「女神と男神が桃の木の下で 別れる」川中島 II 》2016年


米田知子《震源地、淡路島》1995年 国立国際美術館蔵 ©Tomoko Yoneda/Courtesy of ShugoArts

 

関連イベント
アーティスト・トーク 米田知子 × 束芋
2024年12月21日(土)14:00–15:30(開場:13:30-)
出演:米田知子、束芋(いずれも本展出品作家)
会場:KOBELCOミュージアムホール
定員:150名(先着順)
※要本展観覧券(半券可)、芸術の館友の会会員優先座席あり

講演会 安藤忠雄「震災30年-まちは人がつくる」
2025年1月12日(日)13:00–(開場:12:30-)
講師:安藤忠雄
会場:KOBELCOミュージアムホール
定員:150名 ※申込終了
※要本展観覧券(半券可)

映画上映会『心の傷を癒すということ』劇場版
2025年1月13日(月・祝)
10:30|1回目上映
12:45|新作『港に灯がともる』公開直前スペシャルトーク(30分程度)
出演:堀之内 礼二郎、安成 洋(『港に灯がともる』プロデューサー)
14:00|2回目上映
主催:兵庫県立美術館アートフュージョン実行委員会、兵庫県映画センター
会場:KOBELCOミュージアムホール
定員:各回250名
料金:中学生以上1,000円(本展観覧券呈示で800円)小学生・芸術の館友の会会員500円
※当日券のみ、上映30分前から開場前で受付
※トーク参加希望者は、入場券購入時に整理券受取要
問合せ|兵庫県映画センター(078-754-5503)

学芸員によるギャラリートーク
2025年1月18日(土)、2月22日(土)各日:15:00–15:45
受付:3階カウンター前
定員:20名(先着順)
※要本展観覧券(半券可)

ちいきいとvol.40「生まれたあの子も、もう30篇」
2025年1月19日(日)15:00–17:00(開場:14:30-)
出演:野口志乃(北野工作室)、田岡和也(yamani_iku_taoka)、小松菜々子(空地文庫)、江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員 ※解説)ほか
会場:兵庫県立美術館 旧レストラン・スペース(2階)
料金:1000円 ※参加者は「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」展観覧料金割引あり
問合せ|ちいきいと実行委員会(chiikiitokobe(a)gmail.com)※(a)は@に置換

「阪神・淡路大震災を伝える・知らせる 情報と通信の1990年代」@兵庫県立歴史博物館 ×「30年目のわたしたち」@兵庫県立美術館 災害とコミュニケーション
2025年2月1日(土)14:00–15:30
出演:吉原大志(兵庫県立歴史博物館学芸員)、山本淳夫(横尾忠則現代美術館館長補佐)ほか
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:80名(先着順)
※要本展観覧券(半券可)

ゆっくり解説会 in Winter (手話通訳・要約筆記付き解説会)
2025年2月9日(日)13:30–14:30(開場:13:00-)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:60名(先着順)

映画上映会 『べっぴんの町』
2025年2月22日(土)10:30、14:00
会場:KOBELCOミュージアムホール
定員:各回250名
料金:中学生以上1,000円(本展観覧券呈示で800円)小学生・芸術の館友の会会員500円
※当日券のみ、上映30分前から開場前で受付
※問合せ|兵庫県映画センター(078-754-5503)

こどものイベント 暗号解読
2025年2月23日(日・祝)
出演:田村友一郎(本展出品作家)
会場:兵庫県立美術館 アトリエ2
※詳細は決まり次第、美術館公式ウェブサイトに掲載

座談会 國府理《水中エンジン》を展示・収集・保管する
2025年3月2日(日)14:00–15:30
出演:はがみちこ、白石晃一ほか(いずれも國府理「水中エンジン」再制作プロジェクトメンバー)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:80名(先着順)
※要本展観覧券(半券可)

ミュージアム・ボランティアによるスライド解説
毎週日曜日 11:00-(約15分)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:80名(先着順)
※要本展観覧券(半券可)

 


同時開催
注目作家紹介プログラム―チャンネル15
CHANNEL HPMA Spotlight Artist Showcase 森山未來、梅田哲也《艀》
2024年12月21日(土)-2025年3月9日(日)※同期間中の特定の日時のみ公開予定(要事前申込)
兵庫県立美術館 ギャラリー棟1階 アトリエ1、KOBELCOミュージアムホール
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/channel15_moriyamaumeda/index.html

コレクション展Ⅲ
あれから30年―県美コレクションの半世紀
2025年1月7日(火)-4月6日(日)
兵庫県立美術館 常設展示室

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