BENTEN 2024


「チェン・ティエンジュオ ソロ・エキシビション」展示風景、王城ビル2F、2024年

 

BENTEN 2024
2024年11月2日(土)-11月4日(月)
歌舞伎町界隈一帯(王城ビル、WHITEHOUSE、新宿歌舞伎町能舞台、AWAKE、デカメロン、東京砂漠、歌舞伎町公園、ほか)
https://benten-kabukicho.com/
開場時間:15:00-5:00(11/2、11/3)、15:00-24:00(11/4)
芸術監督:Chim↑Pom from Smappa!Group
キュレーター:山本裕子(ANOMALYディレクター)、涌井智仁(美術家、音楽家、WHITEHOUSEディレクター・キュレーター)、権祥海(東京都現代美術館学芸員)、池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)、藪前知子(東京都現代美術館学芸員)
チケット購入について:https://artsticker.app/events/49502

 

2024年11月2日から4日の3日間にわたり、展示・音楽・パフォーマンスなど、のべ65組が参加する回遊型オールナイトアートイベント「BENTEN 2024」が、歌舞伎町界隈一帯で初開催する。Chim↑Pom from Smappa!Groupが芸術監督を務め、近年登場した歌舞伎町のアートスペースたちや公共圏を繋ぎ、歌舞伎町界隈がすでに独自の芸術地区として成立していることを可視化する。

展示や音楽イベントを行なう主な会場は、王城ビル、WHITEHOUSE、新宿歌舞伎町能舞台、AWAKE、デカメロン、東京砂漠、ユニカビジョンなど。そのほか歌舞伎町シネシティ広場や、歌舞伎町公園・歌舞伎町弁財天、新宿二丁目にてパフォーマンスや連携企画を実施する。

 


「BENTEN 2024」王城ビル1F、2024年


「BENTEN 2024」王城ビル1F、2024年


「チェン・ティエンジュオ ソロ・エキシビション」展示風景、王城ビル2F、2024年

 

王城ビル2Fと3Fでは、中国ミレニアル世代の旗手と評されるチェン・ティエンジュオがインスタレーションを展開する。ティエンジュオとダンサーのシコ・スティヤントによるインスタレーション、フィルム、ダンスの要素を組み合わせた作品《OCEAN CAGE》を展示として再構成。鯨を追い、信仰と文化が交わる村の伝統が、今や近代化の波に脅かされ、共生と存続の危機に晒される姿を映し出す。また、ふたりは新宿歌舞伎町能舞台でも2日間にわたり、公演を行なう。

4Fでは、新宿にまつわるアーティストらのグループ展「地獄の使者」を開催。ネオダダ・オルガナイザーズの岸本清子による1983年の参議院選に立候補した時の政見放送演説の様子や、1994年に約84組の若手作家が歌舞伎町をジャックした「新宿少年アート」の八谷和彦による記録映像と、その再現をする会田誠の《St. DNA Church》、2004年に王城ビル横で行き交う人々に自らの姿を覗かせる実験的な作品を設置した増山士郎の「新宿歌舞伎町プロジェクト」を展示する。

5Fでは、遠藤麻衣がエドヴァルド・ムンクの《アルファとオメガ》に触発されて制作し、2024年に国立西洋美術館で開催された展覧会「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」に出品した映像作品《オメガとアルファのリチュアル》を公開。新宿の帝都座の額縁ショーを起源とする戦後のストリップ文化、遊郭から広まった歌舞伎など歴史的文脈を踏まえ、芸術と芸能の境界を再考させる。本作は一部、芸術上の目的のため性的な表現を含むことを理由に、18歳未満の入場と撮影が禁止。また、同階にて活弁士の麻生子八咫による「活弁天映画祭」も実施する。

 


「チェン・ティエンジュオ ソロ・エキシビション」展示風景、王城ビル3F、2024年


「地獄の使者」展示風景、王城ビル4F、2024年

 

WHITEHOUSEは、全55時間に及ぶ会期中常時、出入りを自由にし休憩スペースや炊き出しを完備した広場として開放する。また、演劇作家の篠田千明が日没に合わせてレクチャーパフォーマンス「黄昏」を行なう。

新宿歌舞伎町能舞台では、渡辺志桜里が能楽師の安田登、加藤眞悟と情報学研究者のドミニク・チェン協力による新作能「射留魔川」を発表。「人間宣言」をテーマに、天皇制神話や単一民族の幻想からの解放、多様性と自然との共存を問い直す。併せて歴代天皇の肖像をガラスの面として制作した渡辺の新シリーズも展示される。

東京砂漠(旧芸術公民館)では、トモトシによる「「強迫性保留プラン」 -“Obsessive Pending Plan”」を開催。インフルエンサーがソーシャルメディアの投稿内で使っている鏡と同じものを手に入れ、カメラを向ける人たちの画像を組み合わせた立体作品を発表する。また、岡田裕子は同会場のほか、居酒屋「とまり木」や新宿ピックペックビルの外壁など、歌舞伎町の隠れスポットを、スマートフォンから発せられる岡田のナレーションとともに聴き歩く作品を発表する。

 


岡田裕子、展示風景、とまり木、2024年


岡田裕子、展示風景、さくら通り沿い空き地(茂木電気店跡)、2024年


トモトシ「「強迫性保留プラン」 -“Obsessive Pending Plan”」展示風景、東京砂漠、2024年


トモトシ「「強迫性保留プラン」 -“Obsessive Pending Plan”」展示風景、東京砂漠、2024年

 

AWAKEでは、台北のアーティストのユ・チェンタ[余政達]が、自身が2019年にニューヨークで生み出したキャラクターFAMEMEとなって、2024年7月に実施したイベント「Fancy Fantasy! by FAMEME」のポップアップを実施する。いかなるジェンダーも受け入れる期間限定のポップアップホストクラブにて、異性愛規範の疑似恋愛をクィアの視点からときほぐす。

新宿最大の街頭ビジョン、ユニカビジョンでは、現代美術家で詩人の青柳菜摘によるサイトスペシフィックな映像を公開予定。身近なものへの観察を特徴とする作家の言葉と、公共の場を行き交う人々の無意識が、街の中で交差する瞬間や空気を描き出す。

そのほか、写真家の須藤絢乃による展示や、国立新美術館で開催中の荒川ナッシュ医による個展のために寄稿された哲学者・千葉雅也の戯曲『サマー・レンタル』を新宿梁山泊の俳優たちが行なうパフォーマンスなど、さまざまな試みが歌舞伎町界隈一帯に展開する。各プログラムのタイムテーブル等詳細は公式ウェブサイトを参照。

 


渡辺志桜里「射留魔川」新宿歌舞伎町能舞台、2024年


渡辺志桜里、展示風景、新宿歌舞伎町能舞台、2024年


篠田千明「情の広場」WHITEHOUSE、2024年

 

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