Hwayeon Nam, 2 (2024) single-channel video, stereo, 33min 12sec, courtesy of the artist
横浜国際舞台芸術ミーティング2024(YPAM2024)
2024年11月29日(金)-12月15日(日)
https://ypam.jp/
会場:KAAT神奈川芸術劇場、フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)、 横浜市開港記念会館、BankART KAIKO、CROSS STREET、YPAMフリンジセンター、 神奈川県立音楽堂、ほか
2024年11月29日より、世界有数の舞台芸術プラットフォームとして、同時代の舞台芸術に取り組む国内外のプロフェッショナルの交流の場として知られる「横浜国際舞台芸術ミーティング2024(YPAM2024)」が開幕する。
YPAMは、1995年に「芸術見本市(Tokyo Performing Arts Market、TPAM)」として始まり、2011年に開催地を東京から横浜に移し「Market」を「Meeting」に変更。2015年からはアジア・フォーカスを強化し、アジアとの共同製作にも参画。2021年12月に現名称に改称した上で活動を継続している。すでに25年以上の歴史を積み重ね、アジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームのひとつとして国際的な認知も獲得している。
主催公演プログラム「YPAMディレクション」では、在日コリアン3世として東京に生まれ育ち、後にフランス国籍を取得したユニ・ホン・シャープによるレクチャーパフォーマンス3部作の1作目『ENCORE – mer』と、2作目の『ENCORE – violet』をBankART KAIKOで上演。2022年初演の前者は日本植民地時代の朝鮮半島に生まれ世界各地で公演を積み重ねた舞踊家、崔承喜に焦点を当て、世界初演となる後者は小松川事件の犯人として絞首刑に処された在日コリアン2世の少年との架空の対話を通して、1923年に神奈川、東京、隣接地域で起こった朝鮮人大量虐殺を語る。最終回後には3部作の3作目の構想についても語られる予定。
同じく崔承喜を10年以上にわたりリサーチしてきた韓国出身のナム・ファヨンの新作『2』はKAAT神奈川芸術劇場のアトリウムで上映。韓国国立現代美術館とアジアン・アート・ビエンナーレ(台中)が委嘱した新作は、崔と台湾の蔡瑞月(1921-2005)といういずれも日本植民地時代に日本における近代舞踊の第一人者の石井漠に学んだダンサーを取り上げ、ふたつの都市で「記録を残した者」と「未来に属する者」の対話が時間をねじ曲げるかのように展開する。本作は韓国国立現代美術館で開催中の展覧会「Connecting Bodies: Asian Women Artists」、また11月に国立台湾美術館で開幕するアジアン・アート・ビエンナーレにも出品。
ユニ・ホン・シャープ『ENCORE – mer』Graphic design: Tezzo Suzuki
ユニ・ホン・シャープ『ENCORE – violet』Graphic design: Tezzo Suzuki / Photo: Courtesy of Asahi Shimbun
KAAT神奈川芸術劇場の中スタジオでは、シンガポールを代表する演出家オン・ケンセン率いるT:>Works(旧シアターワークス)が、「シンガポールでいちばんデカい」と称されるドラァグクイーンのベッカ・ド・バスを主演に迎え、ヘンリー・パーセル作曲のカルト的バロックオペラ『ディドーとエネアス』(1689)を「RIOT」(ベッカ主宰の定期ドラァグイベントの名称)的に再解釈するパフォーマンスを上演。2024年5月にシンガポール国際芸術祭で初演した本作を、今回は新たに横浜を中心にボランティアパフォーマーを募集して上演する。また、KAAT神奈川芸術劇場のホールでは、日本体育大学で1966年から実践され、その精度の高さで近年多分野から注目される歩行訓練/パフォーマンス「集団行動」に着目した振付家のリチャード・シーガルが、クリス・サルターによる振付アルゴリズム、カーステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)による音楽、マティアス・ジンガーによるハイパーモダンなライティングを導入し、日体大横浜・健志台キャンパスの学生約70人とのコラボレーションで取り組む新作を発表する。
そのほか、国内外の専門家がネットワークを形成、拡張するためのYPAM参加登録者を対象とした交流プログラム「YPAMエクスチェンジ」は、オンラインのキックオフ・ミーティングを皮切りに、神奈川県立音楽堂、1997年創業のシャンソンバー「シャノアール」、フォーラム南太田、横浜市開港記念館、BankART KAIKOなどで横浜市内各所でさまざまなプログラムを行なう。そのほか、横浜/神奈川と海外の芸術文化団体の特別協力による「YPAM連携プログラム」や、オル太による『ニッポン・イデオロギー 第7章』など、さまざまな作品が集まる公募プログラム「YPAMフリンジ」など、約半月にわたって多種多様なプログラムが市内外各所で展開される。詳細やスケジュール、チケット購入方法等は公式ウェブサイトを参照。
T:>Works『ディドーとエネアス』©️Jaya Khidir
リチャード・シーガル/バレエ・オブ・ディファレンス + 日本体育大学『集団行動』提供:日本体育大学