石内都《From Kiryu #1》2020年
石内都 STEP THROUGH TIME
2024年8月10日(土)-12月15日(日)
大川美術館
http://okawamuseum.jp/
開館時間:10:00–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし8/12、9/16、9/23、10/14、11/4は開館)、8/13、9/17、9/24、10/15、11/5
展覧会担当:小此木美代子(大川美術館学芸員)
群馬・桐生の大川美術館では、桐生出身で2018年より同地に拠点を構える日本を代表する写真家、石内都の個展「石内都 STEP THROUGH TIME」を開催する。
石内都(1947年群馬県生まれ)は、自身が育った横須賀の風景を感情的かつ詩的に写した初期三部作で注目を集め、1979年には《APARTMENT》で木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、男性優位の写真界の文脈の中で女性写真家の存在を示した。90年代に入ると《scars》や、女性の身体に残る傷を記録した《INNOCENCE》など、異なるアプローチを展開。2005年にはヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で個展を開催し、母親の残した遺品の記録《Mother’s》を発表した。その後も精力的に作品を発表し、個の視点を失うことなく、記憶の政治的問題に取り組む姿勢は、国際的にも高い評価を受け、2014年にはハッセルブラッド国際写真賞を受賞。2015年にロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館で開催された個展で《ひろしま》をアメリカ合衆国の美術館で初公開。2017年には横浜美術館で大規模個展「肌理と写真」を実現した。近年も国内外の数多くの展覧会で作品の発表を続け、2024年にはアルル国際写真フェスティバルにて「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを受賞している。
石内都《上州 #3》1976年
石内都《水道橋》1981年
1989年の開館以来初となる同館の全展示室を使用した本展は、デビュー作とされてきた代表作《絶唱、横須賀ストーリー》に先立つ1976年、桐生周辺で撮った《はるかなる間》から、数々の代表作、国内未発表作、そして、桐生の街をとらえた新作《From Kiryu》まで、石内の活動を総覧的に見渡せる貴重な機会となる。
最初期の1970年代からは、《はるかなる間》、そして初期三部作と呼ばれる《絶唱、横須賀ストーリー》、《APARTMENT》、《連夜の街》、《水道橋》、《上州》といった壊されゆく風景を写したシリーズのヴィンテージプリントを出品。80年代半ばに取り組んだ《 1・9・4・7》は、自らと同じ時間を過ごしてきた「身体」を凝視したシリーズ。本展では、これらのシリーズとともに、石内の母、父、祖母、そして、石内が敬愛する表現者たち(伊藤比呂美、青木野枝、新井淳一)の顔、手、足、皺、髪、爪を被写体としたポートレートを展示する。90年頃から撮り始めた身体にのこる傷跡を被写体とした代表的なシリーズ《INNOCENCE》、《AtoA》からは、これまで展示の機会の少なかった作品を取り上げるとともに、2007年から取り組み始めた被爆した人たちの遺品を撮影する《ひろしま》のシリーズからは新作9点を発表する。
石内都《ひろしま #135》2022年
石内都《Mother’s #52》2003年
そして、自身の母の結婚前の姓名「石内都」を名乗って活動する石内が、2000年に亡くなった母の「不在の証」を遺品のひとつひとつと向き合いながら丹念に撮影したシリーズ《Mother’s》。43年間を暮らし、仕事をし、人々を迎えた場所・金沢八景を離れるまでの時間をセルフポートレートとして写した《Moving Away》からは暗室周辺を撮った作品を出品。桐生に転居し現在まで、栄枯盛衰の街・桐生を歩き撮った《From Kiryu》は本展で初めて展示されるシリーズ。さらに、2019年に台風により被災した川崎市市民ミュージアム収蔵の石内作品《APARTMENT》、《1899》から新たに生まれた《The Drowned》も出品する。
会期中には、石内本人によるオープニングトークのほか、詩人の伊藤比呂美、写真家の長島有里枝、美術家の奈良美智との対談を開催。また、12月7日から15日にかけて、同市内のPENSEE GALLERYにて、石内がディレクションした「Haoru Kiryu」(きものや帯を新しいかたちのジャンパー「桐ジャン」として再構成)の展示即売も行なわれる。
石内都《Moving Away #16》2015-2018年
石内都《From Kiryu #35》2024年
関連イベント
石内都によるオープニングトーク
2024年8月10日(土)14:00–15:30
会場:大川美術館
定員:60名(先着順)
申込開始:7/10(水)
申込方法等、詳細は下記URLを参照
http://okawamuseum.jp/information-detail.php?f=1dc6e08cc56893fdb588511ab0dedcbb
伊藤比呂美(詩人)× 石内都
2024年9月15日(日)14:00–15:30
会場:大川美術館
定員:60名(先着順)
申込開始:8/15(木)
申込方法等、詳細は下記URLを参照
http://okawamuseum.jp/information-detail.php?f=1dc6e08cc56893fdb588511ab0dedcbb
石内都《手・足・肉・体 Hiromi1955 #19》1995年
長島有里枝(写真家)× 石内都
2024年10月19日(土)14:00–15:30
会場:大川美術館
定員:60名(先着順)
申込開始:9/19(木)
申込方法等、詳細は下記URLを参照
http://okawamuseum.jp/information-detail.php?f=1dc6e08cc56893fdb588511ab0dedcbb
奈良美智(美術家)× 石内都
2024年11月9日(土)14:00–15:30
会場:大川美術館
定員:60名(先着順)
申込開始:10/9(水)
申込方法等、詳細は下記URLを参照
http://okawamuseum.jp/information-detail.php?f=1dc6e08cc56893fdb588511ab0dedcbb