石内都 初めての東京は銀座だった @ 資生堂ギャラリー


石内都「月光荘の絵具」2022

 

石内都 初めての東京は銀座だった
2023年8月29日(火)-10月15日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/jp/
開館時間:11:00–19:00(日・祝は18:00まで)
休館日:月(休日に当たる場合も休館)
企画協力:森岡督行(森岡書店代表)
展覧会URL:https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/6383/

 

資生堂ギャラリーでは、日本を代表する写真家として国内外で活躍する石内都が、銀座を象徴する品々や自身の記憶に結びつくものを捉えた写真を展示する「石内都 初めての東京は銀座だった」を開催する。石内が写真家としてのスタートを切り、1977〜80年に初期三部作の個展を開催した地でもある銀座は、その歴史を通じ、大きな震災や戦禍から蘇ってきた復興の象徴ともいえる街でもある。関東大震災から100年の節目の年にあたる今年、石内が変化していく銀座で捉えた品々から、街をめぐるさまざまな記憶や物語を想像する機会を作りだす。

石内都(1947年群馬県生まれ)は、自身が育った横須賀を舞台にした初期三部作が、街の空気、気配、記憶をとらえた写真作品として高い評価を受け、1979年に木村伊兵衛写真賞を受賞。男性優位の写真界の文脈の中で女性写真家の存在を示した。90年代に入ると、皮膚に刻まれた傷跡を記録した「scars」(1991-2003)や、女性の身体に残る傷を記録した「INNOCENCE」(1994-2003)といったこれまでとは異なるアプローチで作品制作を続け、2005年にヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で、母親の残した遺品の記録「Mother’s」(2000-2005)を発表した。その後も「Mother’s」同様、遺品や布、記憶を扱う作品として、「ひろしま」(2007-)や「絹の夢」(2009-2012)、「幼き衣へ」(2014)を発表。個の視点を失うことなく、記憶の政治的問題に取り組んでいる。2014年にはハッセルブラッド国際写真賞を受賞し、2015年にロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館で開催された個展で「ひろしま」をアメリカの美術館で初公開した。石内が個展「絶唱、横須賀ストーリー」で写真家としての実質的なデビューを果たしてから40年の節目となる2017年には、初期から未発表作にいたる約240点により展示構成した個展「肌理と写真」を横浜美術館で開催した。

 


石内都「銀座のミタケボタン」2022


石内都「香水 花椿」2022

 

資生堂の企業文化誌『花椿』のウェブ版『ウェブ花椿』では、同社の創業の地である銀座の過去と現在について考える森岡督行のエッセイ「現代銀座考」を2020年5月から連載している。その第2章となる「銀座バラード」は、モノの記憶を映し出す石内の写真から、森岡が物語を紡ぐ形式で、2022年6月から2023年5月まで掲載された。「銀座バラード」では、石内が現在も大切に保管し、銀座を訪れるきっかけとなった歌手のレコード、月光荘で戦時中に製造・販売されていた絵具など、石内の記憶と結びつくものに加え、銀座の文化を作ってきた店を象徴する品々を写真に納めている。本展では、「銀座バラード」のために石内が撮り下ろした写真から、未発表のものも含む約30点のオリジナルプリントを展示する。

 


石内都「銀座のスカジャン」2022

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