日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション @ 東京都現代美術館

 

日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション
2024年8月3日(土)-11月10日(日)
東京都現代美術館 企画展示室1F/B2F
https://www.mot-art-museum.jp/
開館時間:10:00–18:00(8月の毎金曜は21:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし8/12、9/16、9/23、10/14、11/4は開館)、8/13、9/17、9/24、10/15、11/5
企画担当:藪前知子(東京都現代美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TRC/

 

東京都現代美術館では、1990年代半ばより日本の現代美術の収集をはじめ、3,500点以上に及ぶ質・量ともに日本の現代美術の最も重要な蓄積として知られる巨大なコレクションを築いてきた精神科医、高橋龍太郎というひとりのコレクターの目が捉えた現代日本の姿を、時代に対する批評精神あふれるアーティストたちの代表作とともに辿る展覧会「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」を開催する。

高橋龍太郎(1946年山形県生まれ)は、草間彌生、合田佐和子を出発点として、日本の現代美術に特化した、特に1990年代以降の重要作家の初期作品・代表作を数多く有するコレクションを形成してきた。これまでにはも2008年から2010年にかけて国内7つの美術館を巡回した「ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション」をはじめ、「高橋コレクション展 マインドフルネス!」(鹿児島県霧島アートの森、2013/札幌芸術の森美術館、2013/名古屋市美術館、2014)、「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」(東京オペラシティ アートギャラリー、2015)、「Cosmos/Intime- Collection Takahashi~内なる宇宙-高橋コレクション展」(パリ日本文化会館 展示ホール、2015-2016)など、国内外でコレクション展が開かれてきた。

 


草間彌生《かぼちゃ》1990年、130×162cm © YAYOI KUSAMA. 高橋龍太郎コレクション蔵 画像転載禁止


村上隆《ズザザザザザ》1994年、150×170×7.5cm © 1994 Takashi Murakami/ Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. 高橋龍太郎コレクション蔵


奈良美智《Untitled》1999年、240×276㎝ © NARA Yoshitomo, courtesy of Yoshitomo Nara Foundation. 高橋龍太郎コレクション蔵

 

本展は、戦後世代のひとつの顔としての高橋龍太郎の視点を手がかりに展覧会を構成。団塊の世代の始まりとして育った高橋は、全共闘運動に参加し、文化と政治が交差する東京の60年代の空気を色濃く吸い込んだのち、精神科医としてデイケアをはじめとする地域医療の推進に尽力する。その活動が軌道に乗った1990年代半ばより日本の現代美術のコレクションを開始し、現在に至るまで作品を収集してきた高橋を、本展では現代美術の動向を受け手として内側から観察し、表現者とは異なるかたちでその重要な部分を体現してきた存在と捉える。また、高橋龍太郎コレクションの形成は、1995年に開館した東京都現代美術館の活動期と重なる。本展は、東京都現代美術館がこれまで体現してきた美術史の流れにひとつの「私観」を導入しつつ、批評精神にあふれる日本の現代美術の重要作品を総覧する貴重な機会ともなる。

展示構成は全6章。高橋が生まれた1946年から収集が本格的に始まる1990年代半ばまでの50年間の文化状況をコレクションの「胎内記憶」として高橋がのちにこの時代の思い出を懐古するように収集した、若き日に影響を受けたアーティストの作品を紹介する第1章に始まる。第2章「戦後の終わりと始まり」では、コレクションを代表する作品の多くが含まれる、日本の戦後の自画像というべき作品群、第3章「新しい人類たち」では、コレクションの全体を貫く最も重要なテーマとして、人間を描いた作品に焦点を当てる。

第4章では「崩壊と再生」と題し、2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故の後の日本社会に対する風刺や、震災後の作家たちの最初の一歩など、この一連の出来事から生み出された表現を紹介。第5章「「私」の再定義 」では、東日本大震災以降、強い主張にリアリティを感じなくなったという高橋のコレクションに目立つようになった、何かが生成される過程や、不完全なものや未完成の状態を示すもの、あるいは自分の外にある現象や環境に、そのあらわれをゆだねるようなものなど、「私」の存在を問い直すような作品に着目する。そして、最終章「路上に還る」では、かつて学生運動に身を投じた高橋を近年惹きつけるストリートから世界をまなざし、制作するアーティストを取り上げる。

 


会田誠《紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)(戦争画 RETURNS)》1996年、174×382cm 零戦CG制作:松橋睦生 撮影:宮島径 Ⓒ AIDA Makoto Courtesy of Mizuma Art Gallery 高橋龍太郎コレクション蔵


加藤泉《無題》2004年 H.205×W.56×D.52 cm ©2004 Izumi Kato Courtesy of the artist Photo: Yusuke Sato. 高橋龍太郎コレクション蔵


塩田千春《ZUSTAND DES SEINS(存在の状態)-ウェディングドレス》2008年 H.130×W.100×D.80 cm ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota Courtesy of Kenji Taki Gallery Photo: Tetsuo Ito. 高橋龍太郎コレクション蔵

 

出品作家
里見勝蔵、草間彌生、篠原有司男、羽永光利、宇野亞喜良、中村錦平、司修、横尾忠則、赤瀬川原平、森山大道、荒木経惟、合田佐和子、立石大河亞、山口はるみ、菅木志雄、空山基、西村陽平、東恩納裕一、舟越桂、森村泰昌、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、O JUN、小林正人、前本彰子、根本敬、奈良美智、柳幸典、鴻池朋子、太郎千恵藏、村上隆、村瀬恭子、∈Y∋、会田誠、大岩オスカール、小沢剛、ヤノベケンジ、天明屋尚、千葉和成、西尾康之、やなぎみわ、小出ナオキ、加藤泉、川島秀明、Mr.、山口晃、岡田裕子、町田久美、石田尚志、小谷元彦、風間サチコ、塩田千春、蜷川実花、池田学、三瀬夏之介、宮永愛子、華雪、加藤美佳、竹村京、束芋、名和晃平、玉本奈々、国松希根太、竹川宣彰、できやよい、今井俊介、金氏徹平、工藤麻紀子、鈴木ヒラク、今津景、小西紀行、小橋陽介、志賀理江子、千葉正也、毛利悠子、青木美歌、桑田卓郎、梅津庸一、大山エンリコイサム、坂本夏子、BABU、村山悟郎、森靖、松井えり菜、松下徹、やんツー、青木豊、梅沢和木、佐藤允、谷保玲奈、DIEGO、弓指寛治、近藤亜樹、庄司朝美、水戸部七絵、ナイル・ケティング、川内理香子、涌井智仁、ob、藤倉麻子、村上早、BIEN、石毛健太、名もなき実昌、土取郁香、山田康平、友沢こたお、山中雪乃、Chim↑Pom from Smappa!Group、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、KOMAKUS、中原實*、久保守*、八谷和彦*(*は東京都現代美術館蔵)

 


青木美歌《Her songs are floating》2007年、H.170×W.380×D.150 cm 北海道立近代美術館30周年記念展示「Born in HOKKAIDO」(2007年)展示風景 撮影:小牧寿里. 高橋龍太郎コレクション蔵


藤倉麻子《水道人ービーチマーク》2023年 左)H.220×W.63×D.75 cm/右)H.136×W.45 x D.15 cm ©Asako Fujikura, Courtesy of the artist and WAITINGROOM Photo: Shintaro Yamanaka (Qsyum!) 高橋龍太郎コレクション蔵

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