エコロジー:循環をめぐるダイアローグ ダイアローグ2「つかの間の停泊者」ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ @ 銀座メゾンエルメス フォーラム


Nicolas Floc’h, Installation view of Paysages productifs, Couleur de l’eau (2019) Color photographs, Photo: Laurent Lecat / Frac Sud, Cité de l’art contemporain

 

エコロジー:循環をめぐるダイアローグ ダイアローグ2「つかの間の停泊者」ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ
2024年2月16日(金)-5月31日(金)
銀座メゾンエルメス フォーラム
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/
開館時間:11:00–19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:不定休 ※エルメス銀座店の営業に準ずる
展覧会URL:https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/240216/

 

エルメス財団は、アートにおけるエコロジーの実践を問う展覧会企画「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」より、先に開催された「ダイアローグ1「新たな生」崔在銀展」に続き、「ダイアローグ2「つかの間の停泊者」ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ」を開催。コンテンポラリー・アートというプラットフォームの中で生成される自然と人間のエネルギーの循環や対話の可能性を考察する。

ニコラ・フロック(1970年レンヌ、フランス生まれ)は、世界各地の海や河川に自ら潜りながら、水面下の景観と生息環境とその生態系の撮影に取り組み、自然環境の移ろいの過程において、流れ、消失、再生が果たす本質的な役割を問い続けている。本展では、南仏プロヴァンス地方のカランク国立公園の委託事業として制作した《Invisible(インヴィジブル)》(2016-2021)や緑と青の色調を水から取り出した《La couleur de l’eau(水の色)》(2018-2020)など、通常は目にすることのない地球環境や人間活動の領域を科学的に、またコンセプチュアルな手法で記録するフロックの制作における代表的なシリーズを紹介する。

彫刻が生まれる場所や方法に関心を寄せるケイト・ニュービー(1979年オークランド、アオテアロア・ニュージーランド生まれ)は、空間や素材を直接経験するハンドメイドの姿勢を重視しながら、彫刻の限界と本質に迫る。本展に向けて、現在の活動拠点テキサス州フローレスビルと栃木県益子町でセラミック制作を実施。協働する複数の手によって生み出される作品は、ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、鑑賞者の身体に親密な触覚をもたらすものとなる。ニュービーは、本企画の関連企画展に位置付けられる森美術館の「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」にも参加している。

 


Kate Newby, Let me be the wind that pulls your hair (2017) Porcelain, stoneware, glaze, rope, Artpace, San Antonio, Photo: Kate Newby


Takeshi Yasura, this ground is still alive (2022) Installation, Reborn Art Festival 2021-22, Miyagi, Photo: Taichi Sato

 

ニュービーと同じく森美術館の展覧会にも出展している保良雄(1984年滋賀県生まれ)は、テクノロジー、生物、無生物、人間といったさまざまなアクターを縦軸ではなく横軸で捉え、存在を存在として認めることを制作の目的としている。フランスと日本を活動の拠点に、鉱石や水といった物質の状態変化に着眼し、相関する時間軸を浮かび上がらせるだけでなく、種子を蒔く、耕す、採取する、植え替えるといった畑作業を日々営む。本展では、都市の生態系の中に、地球太古の時間に都市の地政学を持ち込むことで、エコロジー思想にも潜在する優劣や格差への批判を込めたアプローチを展開する。

ラファエル・ザルカ(1977年モンペリエ、フランス生まれ)は、幾何学的形態の変遷について、芸術や科学技術のみならず、スケートボードといったポップ・カルチャーの側面から、学際的に探求。美術史を再訪しつつ、過去の作品の流用と再利用に見出される可能性を、エネルギーが新たな回路へ接続するプロセスとして解釈し、建築やアートの生態系の拡張を試みている。《Riding Modern Art(ライディング・モダンアート)》(2007-2016)は幾何学的なパブリックアート作品に潜在する動きのダイナミズムを、スケートボーダーが可視化するさまを写真に収めたシリーズで、本展と同時期に東京日仏学院でも作品展示が行なわれる。

会期中には、出展アーティストのケイト・ニュービーと森美術館キュレーターの椿玲子とのトークセッション「エコロジー:場所をつなぐ」(司会進行:説田礼子)と、出展アーティストのニコラ・フロック、ラファエル・ザルカとエルメス財団キュレーターの説田礼子とのトークセッション「循環と景観」(司会進行:保坂健二朗)を開催。2月末には、森美術館でも関連トークを予定している。

 


Raphaël Zarka, Cycloid Ramp, 22016-18, Spruce beams, painted birch plywood, steel, Skaters: Hugo Boserup & Fernando Bramsmark, Photo: Maxime Verret

 

関連イベント
トークセッション①「エコロジー:場所をつなぐ」
2024年2月16日(金)19:00–20:00
登壇者:椿玲子(森美術館 キュレーター)、ケイト・ニュービー(アーティスト)
司会進行:説田礼子(エルメス財団 キュレーター)
会場:銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ (銀座メゾンエルメス10F)
参加方法:事前申込制・先着順
https://reservation-jp.hermes.com/?event=f2024002

トークセッション②「循環と景観」
2024年2月17日(土)15:00–17:00
登壇者:ニコラ・フロック、ラファエル・ザルカ(アーティスト)、説田礼子(エルメス財団 キュレーター)
司会進行:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
会場:東京日仏学院(東京都新宿区市谷船河原町15)
参加方法:事前申込制・先着順
https://culture.institutfrancais.jp/event/rencontre-raphael-zarka-nicolas-floch

※森美術館でも関連トークを2月末に開催予定。そのほか、展覧会担当者によるギャラリーツアーも会期中に随時開催を予定

 


エコロジー:循環をめぐるダイアローグ ダイアローグ1「新たな生」崔在銀展 ※既に終了。
2023年10月14日(土)-2024年1月28日(日)
銀座メゾンエルメス フォーラム
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/231014/

関連企画
私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために
2023年10月18日(水)-2024年3月31日(日)
森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/eco/index.html

 


同時期開催
『ライディング・モダンアート 』 ラファエル・ザルカ展
2024年2月17日(土)-4月21日(日)
東京日仏学院
https://culture.institutfrancais.jp/
開館時間:9:30–19:30(金、日は9:30–17:00、土は9:30–19:00)
休館日:月
展覧会URL:https://culture.institutfrancais.jp/event/exposition-riding-modern-art-by-raphael-zarka

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