ミュージアムとの創造的対話04「ラーニング/シェアリング ―共有から未来は開くか?」@ 鳥取県立博物館


 

ミュージアムとの創造的対話04
ラーニング/シェアリング ―共有から未来は開くか?
2023年11月26日(日)-12月28日(木)
鳥取県立博物館 第1・第2特別展示室および中庭
鳥取県内のマクドナルド(※高山明作品のみ各店舗の営業時間内に体験可)
https://www.pref.tottori.lg.jp/museum/
開館時間:9:00–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:12/11
企画展担当学芸員:赤井あずみ(鳥取県立博物館 美術振興課)
展覧会URL:https://www.pref.tottori.lg.jp/cd04/

 

鳥取県立博物館では、「ラーニング/学ぶこと」と「シェアリング/共有すること」をテーマに、同時代を生きるアーティストの作品を通じて、従来の美術教育にはとどまらない「第3の学びの場」としてのミュージアムの可能性について考察する展覧会「ラーニング/シェアリング ―共有から未来は開くか?」を開催する。

本展は、ミュージアムを巡る問いを契機に、国内外の優れたアーティストによる実験的で多彩な表現を展示室の内外に展開させることで、思考を促し、人やモノ、場との対話を重ねながら、その現代的な意味を探ることを目的としたシリーズ企画展「ミュージアムとの創造的対話」の第4弾。昨今のミュージアムにおいて、知識や情報を教え育てる教育普及から、自発的で主体性な学び/ラーニングへと重心がシフトし、フラットな関係性の中でさまざまな経験や出来事を分かち合うシェアリングへの関心が高まるなか、本展では、参加型の展示やワークショップ、プロジェクトなど、体験やコミュニケーションを通して人と人、アートと社会との関係性に問いを投げかけ、学びと共有の現場を作り出してきた小沢剛、高山明、リクリット・ティラヴァニの作品を通して、社会教育施設としてのミュージアムという場を再検討する。

 


小沢剛《あなたが誰かを好きなように、誰もが誰かを好き【劇場版】》2015年、いわき芸術文化交流館アリオス Photo: 白圡亮次


「ヤギの目プロジェクト」より

 

小沢剛(1965年東京都生まれ)は、牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》や《相談芸術》、女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真《ベジタブル・ウェポン》など、美術の歴史や制度、社会的事象への批評的な眼差しを投げかけ、さまざまなメディアによりユーモアを交えた表現を発表してきた。2003年の第50回ヴェネチア・ビエンナーレ企画展「Dreams and Conflicts (Z.O.U. – Zone of Urgency)」をはじめ、数々の国際展や企画展に参加。2004年に森美術館で個展「小沢剛:同時に答えろYESとNO!」を開催。以来、国内各地の美術館で個展を開催している。また、2007年にチェン・シャオションとギム・ホンソックとともに結成したアーティスト集団「西京人」にて、2016年に金沢21世紀美術館で「西京人—西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。」を実現している。

本展では個人としての参加のみならず、東京藝術大学先端芸術表現科の小沢剛研究室と取手アートプロジェクトで共同で立ち上げたプロジェクト「ヤギの目」としても参加。同プロジェクトは、同大学取手校地で飼育しているヤギを中心として、さまざまな活動に取り組んでいる。本展でも参加メンバーを募集し、ヤギのための小屋作りなど、会期中の公開制作に向けた活動を実施、動物行動学者の小林朋道(公立鳥取環境大学教授)をゲストにトークイベントを行なう。

 


高山明/PortB《McDonald’s University@Frunkfurt》2017年 Photo: Masahiro Hasunuma


リクリット・ティラヴァニ《Untitled 2016 (mañana es la question)》Installation view, CCK, Buenos Aires, Argentina

 

高山明(1969年埼玉県生まれ)は、2002年に創作ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成し、実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開している。近年は、美術、観光、文学、建築、都市リサーチといった異分野とのコラボレーションに活動の領域を拡げ、演劇的発想・思考によって、さまざまなジャンルでの可能性の開拓に取り組んでいる。主な作品に『ワーグナー・プロジェクト』(横浜)、『マクドナルド放送大学』(フランクフルト)、『ピレウス・ヘテロピア』(アテネ)、『北投ヘテロトピア』(台北)、『横浜コミューン』(横浜)、『国民投票プロジェクト』(東京、福島ほか)、『完全避難マニュアル』(東京)などがある。本展では、『マクドナルドラジオ大学』を鳥取県内のマクドナルド店舗(全10店舗)で展開。なんらかの理由で故国を離れることになった移民や難民が「教授」となり、参加者は店内で「学生」として、ハンバーガーやコーラとともに「教授」のレクチャーを注文して聴講することができる。

リクリット・ティラヴァニ(1961年ブエノスアイレス生まれ)は、作品と鑑賞者の間の壁を取り払い、体験と交流に焦点を当てた参加型の作品で知られている。タイ、エチオピア、カナダ、アメリカ合衆国など、さまざまな環境で過ごした背景を持ち、現在はニューヨーク、ベルリン、チェンマイを拠点に制作活動を行なう。ヴェネツィア・ビエンナーレをはじめ、数々の国際展や企画展で作品を発表。近年の主な個展に「Fear Eats the Soul」(グレンストーン美術館、ポトマック、アメリカ合衆国、2020)、「Rirkrit Tiravanija: Who is afraid of red yellow and green.」(ハーシュホーン博物館、ワシントンD.C.、アメリカ合衆国、2019)など。2022年には岡山芸術交流にてアーティスティック・ディレクターを務めた。

 

関連イベント
アーティスト・トーク(小沢剛、高山明)
2023年11月26日(日)14:00-15:30
講師:小沢剛、高山明
会場:鳥取県立博物館 講堂
定員:200名(申込不要)

高山明による《マクドナルドラジオ大学》イントロダクション
2023年11月26日(日)18:00-18:30
ガイド:高山明(Port B)
会場:マクドナルド鳥取駅南店
定員:30名(要予約・電話0857-26-8045にて受付)

アーティスト・トーク(リクリット・ティラヴァニ)
2023年12月17日(日)14:00-15:00
講師:リクリット・ティラヴァニ
会場:鳥取県立博物館 講堂
定員:200名(申込不要)

トークイベント「 ヤギの目、ヤギ先輩と語る。」
2023年12月23日(土)15:00-16:30
講師:小林朋道博士(動物行動学/公立鳥取環境大学教授)
出演:小沢剛、「ヤギの目」プロジェクト・メンバー
会場:鳥取県立博物館 第2特別展示室
定員:50名(申込不要)

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