『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』@ 広島市現代美術館


シリン・ネシャット《Land of Dreams》2019年 Courtesy of the artist and Gladstone Gallery © Shirin Neshat

 

リニューアルオープン記念特別展
Before/After
2023年3月18日(土)– 6月18日(日)
広島市現代美術館 A展示室・B展示室
https://www.hiroshima-moca.jp/
開館時間:10:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月
展覧会URL:https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/beforeafter

 

長期にわたる大規模改修工事を終え、2023年3月18日に再開する広島市現代美術館では、美術館全館を用いた『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』が開催される。

1989年に現代美術を冠した国内初の公立美術館として開館し、ヒロシマが希求する恒久平和への考えを、現代美術を通じて感じ、考えられる場として活動してきた広島市現代美術館。本展では、同館が収集してきたコレクションを軸に、本展のための新作を含むおよそ100点を通して、美術館建物の改修工事という出来事を契機に生じる「前/後」をひとつの足がかりとして、劣化、再生、原子力、爆発、夢、楽園など、縦横無尽にひろがるキーワードを美術館の活動とも接続させながら、さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目する。

コレクションからの出品作品の注目は、16年ぶりの新規購入作品となるシリン・ネシャットの《Land of Dreams》(2019)。第6回ヒロシマ賞受賞者のネシャットは、写真、映像などを用い、イスラム社会を生きる女性たちの抑圧された状況を取り上げた作品など、世の中に存在するさまざまな不条理や矛盾、差別、抑圧、暴力をテーマに制作を続けてきた。《Land of Dreams》は、ふたつの映像と複数の写真からなるインスタレーションで、映像の一部では広島の被爆者のことばが取り上げられている。そのほか、第8回ヒロシマ賞受賞者でもあるオノ・ヨーコが受賞記念展で発表したレクチャー&パフォーマンスで書いた《夢》(2012)、コンセプチュアル・アートを代表するアーティストのひとり、河原温の《Today》シリーズ、若林奮が被爆により鉄の部分があらわになった原爆ドームに関心を寄せ制作した《DOME》(1988)などを出品。また、田中功起の《everything is everything》(2005-2006)の出品に関しては、作品だけでなく、劣化を免れないプラスチックなどの日用品を使った本作の新たな保存のあり方を作家と一緒に模索する活動の様子を紹介する。

 


若林奮《DOME》1988年

 

本展のための新作を発表するのは、石内都コウミユキ髙橋銑竹村京田村友一郎毒山凡太朗平田尚也横山奈美和田礼治郎。石内は2019年の台風による浸水被害によりダメージを受けた自身の作品プリントを被写体とした《The Drowned》シリーズ、竹村は美術館の改修工事中に意図せず壊れてしまった回廊のガラスや、役割を終えた品々を用いた新作を発表。平田がVR空間で制作した新作は、鑑賞者がVRゴーグルを着用して作品を体験(要事前予約)。和田は展示室とつながる外部空間「光庭」を活用し、果物を素材とした、楽園(のその後)を想起させる新作インスタレーションなどを発表する。

 


左:竹村京《修復されたG.美術館の電球》2019年 右:竹村京《修復されたT.家の電球》2019年 Photo: Shinya Kigure


和田礼治郎《禁断の果実》(部分)2016年 パリ・レコレ国際センターでの展示風景 Photo: Martin Argyroglo

 

また、開館以来初となった大規模改修工事では、設計者の黒川紀章による意匠を大切にしながら、経年劣化した箇所の「機能回復」と、これからの美術館に求められる機能を追加する「機能拡張」を遂行した。本展では改修工事の図面や記録写真、動画などの資料に加え、LED化のため役目を終えた照明器具、古いエレベーターの部品やサイン、取り替えとなった大理石の欠片なども展示。改修工事を完了した建物そのものも展示の一部となる。さらに、改修工事期間に美術館外のさまざまな場所で展開した活動やその成果の一部も展示に交えて紹介。エントランス横に増設された多目的スペース「モカモカ」に、まちなかにワークショップの空間を創出したデザイン・ユニット2m26による「ツールボックス」が登場するなど、休館中に実施したさまざま実験をリニューアルした美術館に活用していく。

 


2m26「ツールボックス・プロジェクト」より Photo: Nozomi Tomoeda

 

関連イベント
モカモカ・ワークショップ
2023年3月18日(土)および会期中毎週日曜 10:00-16:30
会場:広島市現代美術館 モカモカ
※無料、申込不要

アートナビ・ツアー
2023年3月18日(土)– 6月18日(日)の毎週土曜・日曜および祝日 ※3/18、3/25、3/26は午前中のみ
会場:広島市現代美術館 A展示室(11:00–11:30/14:00–14:30)
広島市現代美術館 B展示室(11:45–12:15/14:45–15:15)
※要展覧会チケット、申込不要(各展示室前に集合)

オープン記念アーティストトーク(出品アーティストによるリレー形式でのトーク)
参加作家:石内都、コウミユキ、髙橋銑、竹村京、田村友一郎、毒山凡太朗、平田尚也、和田礼治郎(予定)
2023年3月18日(土)14:00–16:00
会場:広島市現代美術館 展示会場
※要展覧会チケット、申込不要(A展示室前に集合)

学芸員によるギャラリートーク ①展覧会編
2023年3月25日(土)14:00–15:00
会場:広島市現代美術館 展示会場
※要展覧会チケット、事前申込不要(A展示室前に集合)

学芸員によるギャラリートーク ②建築フォーカス編
2023年3月26日(日)14:00–15:00
会場:広島市現代美術館 美術館内外
※要展覧会チケット、事前申込不要(アプローチプラザに集合)

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