寺内曜子 パンゲア/コレクション展:ひとつの複数の世界 @ 豊田市美術館


寺内曜子《パンゲア》2017年 ヒロセコレクション ※参考画像

 

寺内曜子 パンゲア/コレクション展:ひとつの複数の世界
2021年7月10日(土)- 9月20日(月・祝)
豊田市美術館、展示室1、2、3
https://www.museum.toyota.aichi.jp/
開館時間:10:00-17:30 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、8/9、9/20は開館)
企画担当:千葉真智子(豊田市美術館学芸員)

 

豊田市美術館は、『モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて』に合わせて、「世界をどのように見るか」という視点から、『寺内曜子 パンゲア』と、寺内作品を含む『コレクション展:ひとつの複数の世界』のふたつのテーマ展示を同時開催する。

寺内曜子(1954年東京都生まれ)は女子美術大学研究科を修了した翌年の1979年に渡英し、セント・マーチンズ美術学校彫刻科アドヴァンスコースでアンソニー・カロに学び、「モノ」として提示されてきた従来の「彫刻」に疑念を抱くようになると、以来、一貫して「コト」の現れとしての「彫刻」に取り組んできた。自明の理とされている区分に対する寺内の問いかけは、裏表の区分を消滅する紙の彫刻や、内外の区分を消滅する電話ケーブルといった作品群にも見ることができる。寺内は83年に新進の彫刻家を集めた『The Sculpture Show』(ヘイワード・ギャラリー、1983)に参加、同年、ロンドンのコラクル・プレス・ギャラリーで初個展を実現。98年に帰国して、東京と愛知に拠点を移し、2019年まで愛知県立芸術大学美術学部油画専攻で教授を務めた。これまでに、ヴィクトリア・ミロ(ロンドン、1987、1993)、かんらん舎(東京、1991、1992、2001、2016、2017)、メンヒェングラッドバッハ市立美術館(ドイツ、1992)、VKBギャラリー(グムンデン、オーストリア、1993)、チゼンヘール・ギャラリー(ロンドン、1994)、ドイツ国立逓信博物館(ベルリン、1996)、ギャラリー小柳(東京、1998)、美ヶ原高原美術館(長野、2000)、ギャラリーαM(2001)、表参道画廊(2011)、星画廊(名古屋、2015)、慶應義塾大学アートセンター(2017)、愛知県立芸術大学サテライトギャラリーSA-KURA(2019)などで個展を開催。『現代美術への視点 色彩とモノクローム』(東京国立近代美術館ほか、1989)、『空間体験ー国立国際美術館への6人のオマージュ』(国立国際美術館、2000)、『Acts of Renewal : Japanese Art Re-Interpreted』(ヴィクトリア&アルバート美術館、ロンドン、2002)、『rooms』(名古屋市民ギャラリー矢田、2007)、『Visual Poetry-Concrete Text』(ヴァザレリー美術館、ブダペスト、2010)、『引込線2017』(旧所沢市立第2学校給食センター、埼玉、2017)などのグループ展に参加。2021年は、ふじ・紙のアートミュージアム(静岡)で個展を開催、『空間の中のフォルム アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで』(神奈川県立近代美術館 葉山)に出品している。

 


寺内曜子《ひとつづきの面》2002年


寺内曜子《Red Square #3》1986年

 

『寺内曜子 パンゲア』では、寺内は展示室自体を作品のうちに取り込んだインスタレーション《パンゲア》を発表。2017年に慶應義塾大学アート・センターで発表した《パンゲア》は、こぐちが黒く塗られた2枚の同じ正方形の紙が、1枚は壁に貼られた状態、もう1枚は球状に丸められた状態を為す作品で、側面に施された黒い正方形の線は、正方形が丸められた結果、球体の表面上に見え隠れし、「部分しか見えない」状態を具体的に提示していた(記事最上部の画像を参照)。この「部分しか見えない(全体を見ること、把握することの不可能性)」という点は、寺内が1991年から取り組む《空中楼閣》にも共通するコンセプトである。豊田市美術館の部屋を作品に取り込む新作インスタレーション《パンゲア》は、「部分しか見ることのできない、私たちの視覚、認識、知識の限界」を、観客に球だけでなく自分が生きている世界もまた、部分しか見えていないことを気づかせる状況を提示するものとなる。また、『コレクション展:ひとつの複数の世界』では、寺内の3作品にコレクションから、岡﨑乾二郎《おかちまち》(1981-2018)、杉戸洋《untitled》(2016)、高松二郎《板の単体》(1970)、額田宣彦《ジャングル・ジム(01-1)》(2001)、ルーチョ・フォンターナ《空間概念》(1962)などを出品、複数世界への視座を持ち、私たちの認識の外部を想像させる作品を紹介する。なお、会期中には作家トークなどの開催を予定している

 


杉戸洋《untitled》(2016)


額田宣彦《ジャングル・ジム(01-1)》(2001)

 

 


 

同時開催
モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて
2021年7月10日(土)- 9月20日(月・祝)
豊田市美術館
特設ウェブサイト:https://tv-aichi.co.jp/mondrian/

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