吹けば風 @ 豊田市美術館


design: neucitora

 

吹けば風
2023年6月27日(火)-9月24日(日)
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/
開館時間:10:00–17:30 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/17、8/14、9/18は開館)
企画担当:石田大祐(豊田市美術館学芸員)、能勢陽子(豊田市美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/incoming_breezes/

 

豊田市美術館では、通常は見過ごされ、忘れられてしまうような細やかな発見や驚きに注目し、川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司の4人のアーティストの作品を通じて、日常的な体験を問い直す展覧会「吹けば風」を開催している。

本展は、そのタイトルを明治生まれの詩人・高橋元吉(1893-1965)が詠んだ詩の一節「咲いたら花だった 吹いたら風だった」から引いている。高橋は、それがなにかわかるまでは「なにか得体の知れないもの」でよいと言い、先入観を取り払っておおらかな気持ちで物事を見ようとした。本展出品作家の4人もまた、日々の生活や旅先での体験に取材しつつ、五感を介してなにかを感じるときに自身に起こる変化をつぶさに観察し、それぞれのアプローチで鑑賞者の細やかなものに反応する感性を刺激する作品を発表してきた。たとえば、川角岳大は素潜りや車の運転中の体験を思い出しながら絵画を描き、澤田華は映画や写真、日常会話のなかに小さな謎を見つけ探る。船川翔司は風力計などのセンサーを用いて天気を作品に取り込み、関川航平は会場に自らの身を置きリアルタイムで作品を更新しつづけるパフォーマンスを発表してきた。本展では4人の作品を介して、現代の社会で生活する私たち自身に日々なにが起こっているか、その瞬間的で微細な変化を改めて見つめていく。

 


川角岳大《Street light》2022年 acrylic on canvas 撮影:中村マユ


澤田華《67のポストビューおよび目下のシーン》2022年 シングルチャンネル・ヴィデオ
 

川角岳大(1992年愛知県生まれ)は、身近でありがなら人間とは異なる環世界を持つ犬を象徴的なモチーフとして扱った絵画作品などで知られる。近年は三重に移り、狩猟や魚突き、畑仕事と並行しながら、制作に取り組む。近年の主な個展に、「xo」(Lavender Opener Chair、東京、2022)、「呼吸をとめて」(Token Art Center、東京、2022)、「川底の葡萄」(gallery N、名古屋、2020)。グループ展に「現代美術のポジション 2021-2022」(名古屋市美術館、2021-2022)、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2020」(岐阜県美術館、2020)などがある。

澤田華(1990年京都府生まれ)は、印刷物や画像に発生したノイズ、小さく写り込んだ「正体不明の何か」など、物事を認識する際に生じた些細な引っ掛かりを起点として、図像と想像の相互関係を検証するプロセスを作品として発表している。主な個展に「避雷針と顛末」(Gallery PARC、京都、2022)、「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」(広島市現代美術館、2020年)。主なグループ展、国際展に「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022)、「第3回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2022」(京都市京セラ美術館)や「あいちトリエンナーレ2019」(愛知芸術文化センター)などがある。

関川航平(1990年宮城県生まれ)は、言葉とは異なるコミュニケーションの方法を様々な手法で模索し、不確定な現実を背景に、断片的な記憶を呼び覚ますかのようなパフォーマンス、映像、ドローイングなどを発表している。主な個展に「あざみ野コンテンポラリーvol.11 関川航平 今日」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2020)、「あの(独奏)」(デカメロン、新宿、2020)。主なグループ展に「至るところで 心を集めよ 立っていよ」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2022)、「THEY DO NOT UNDERSTAND EACH OTHER」(大館美術館、香港、2020)、「開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」(国立国際美術館、大阪、2019)などがある。

船川翔司(1987年鹿児島県生まれ)は、美術のみならず、音楽やパフォーマンスなど幅広い領域にわたる活動を通じて、特定の環境や状況から得た経験を基にした作品を発表している。近年の主な活動に、個展「Hey, _」(神戸アートビレッジセンター、2022)、グループ展「THE ヨエロ寸-尋-」(VOU、京都、2021)、グループ展「秋田|Akita」(BIYONG POINT、秋田、2019)といった展覧会のほか、「Riga Performance Festival ‘Starptelpa’」(ラトビア、2021)、「Kunstverein St. Pauli」(ハンブルク、2022)における公演(オンラインでのパフォーマンス)などがある。

 


関川航平 《しあわせな日々》2022年 イチジクの鉢植え、ステンレス、グラファイト、パフォーマンス photo by Osamu Sakamoto


船川翔司《Hey, _》2022年 ミクストメディア 撮影:中村寛史

 


コレクション企画 枠と波
2023年6月27日(火)-9月24日(日)
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/faw_2023/

Copyrighted Image