岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟 @ 東京都庭園美術館


岡上淑子「沈黙の奇蹟」©Okanoue Toshiko, 東京都写真美術館蔵

 

岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟
2019年1月26日(土)-4月7日(日)
東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/
開館時間:10:00-18:00(3/29、3/30、4/5、4/6は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:第2、第4水曜日(2/13、2/27、3/13、3/27)
企画担当:神保京子(東京都庭園美術館学芸員)

 

東京都庭園美術館では、1950年代という敗戦後の復興期の東京で、短期間ながらも優れたフォトコラージュ作品を集中的に生み出した岡上淑子の活動を国内外の所蔵作品と関連資料によって多面的な角度から考察する展覧会『岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟』を開催する。

岡上淑子(1928年高知生まれ)は、幼年期に東京に移り、終戦前に一時高知に疎開するも戦後再び東京に戻り、学業を再開。恵泉女学園、小川服装学院を経て、50年に文化学院デザイン科に入学する。同学院在籍時に、「コラージュ」という技法と出会い、日本に駐屯していたアメリカ軍が残していった『VOGUE』や『LIFE』などを素材に制作をはじめる。50年年代初頭に友人を介して瀧口修造に出会い、そこで紹介されたマックス・エルンストの作品の影響を受けて表現の奥行きを広げていった。53年1月には、瀧口の企画により神田のタケミヤ画廊で初個展『岡上淑子コラージュ展』を開催、同年12月には東京国立近代美術館の『抽象と幻想:非写実絵画をどう理解するか』展に出品。56年にタケミヤ画廊にて二度目の個展を開催するも、翌57年の結婚を機に制作から離れていき、67年には生地の高知県へと帰郷した。

1996年、目黒区美術館で開かれた『1953年ライトアップ-新しい戦後美術像が見えてきた』に4点の作品が出品されたことをきっかけに、当時東京都写真美術館学芸員だった写真史家の金子隆一が本格的に調査を開始し、2000年に44年ぶりの個展『岡上淑子コラージュ展-夢のしずく-』を第一生命南ギャラリーで開催する。同展をきっかけに『奔る女たち 女性画家の戦前・戦後 1930-50年代』展(2001)への出品、ヒューストン美術館での個展『Okanoue Toshiko: Collages』(2002)の開催、『Drop of Dreams: Toshiko Okanoue: works 1950-1956』(Nazraeli Press、2002)の出版、『はるかな旅 岡上淑子作品集』(河出書房新社、2015)など、国内外で再び評価が高まっていく。昨年は、その活動を包括的に紹介する初の回顧展『岡上淑子コラージュ展-はるかな旅』が高知県立美術館で開かれ、『岡上淑子全作品』(河出書房新社、2018)が出版された。

 


岡上淑子「懺悔室の展望」©Okanoue Toshiko, ヒューストン美術館蔵


岡上淑子「会議」©Okanoue Toshiko, ヒューストン美術館蔵

 

本展では、約100点にのぼる国内所蔵の作品に加え、海外で最も多くの岡上作品を所蔵するヒューストン美術館より12点のコラージュ作品が、収蔵以来、日本国内で初公開される。また、本館2階では、慶応義塾大学アートセンターに所蔵されている瀧口コレクションから、瀧口から岡上に送られた書簡や岡上の作品が飾られた氏の書斎風景を写した記録写真等の関連資料を展示するほか、コラージュの制作から遠ざかった岡上が取り組んでいたドローイングや日本画を紹介する。さらに、京都服飾文化研究財団(KCI)の協力の下、岡上のコラージュ作品の源泉となった当時のファッションにも着目し、作品が生み出された時代背景の解釈に繋がる、同時代に制作された4点のドレスの参考展示も行なう。

会期中には、本展企画者で「岡上淑子とコラージュの世界–日本のシュルレアリスムにおける位置と活動」(2007)、「岡上淑子:優美さとグロテスクの臨界」(2016)などの論文を発表している神保京子(東京都庭園美術館学芸員)による講演会「沈黙の薔薇 岡上淑子の視覚世界」も予定されている。

 

関連イベント
講演会「沈黙の薔薇 岡上淑子の視覚世界」
講師:神保京子(東京都庭園美術館学芸員)
2019年3月21日(木、祝)14:00-
会場:新館ギャラリー2
※無料、要当日有効の本展チケット

ギャラリートーク
2019年2月22日(金)15:00-
※事前申込不要

 


岡上淑子「幻想」©Okanoue Toshiko, 個人蔵

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