
展示風景:「オノ・ヨーコ:インスタレーション・アンド・パフォーマンス」
(マケドニア現代美術館、テッサロニキ、ギリシャ、2016年)
カタストロフと美術のちから展
2018年10月6日(土)-2019年1月20日(日)
森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/index.html
会期中無休
企画担当:近藤健一(森美術館キュレーター)
森美術館では、開館15周年記念展として、「カタストロフ(大惨事)」をテーマに取り上げ、さまざまな問題が山積する今日の国際社会において美術が果たす役割を問い直す『カタストロフと美術のちから展』を開催する。
現代美術のひとつの特徴に、「社会をより良くする可能性」がある。なかでも、アーティストが社会に介入し、彼らの作品や活動を通して社会に変革をもたらすことを目指す「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」は、近年日本でも注目を集めている。本展では、オノ・ヨーコや宮島達男による鑑賞者参加型の作品や、ソーシャリー・エンゲイジド・アート、社会的メッセージが込められた美術作品を多数紹介し、美術と社会との繋がりについて考察する。また、2011年の発生以降、日本社会を大きく揺るがし日本の現代美術界にも大きな影響を与えた東日本大震災を契機に制作されたChim↑Pom、トーマス・デマンド、池田学など約10作家の作品を紹介。震災から7年が経過した今も復興が思うように進んでいない地域があるなか、震災体験や記憶が風化しつつある現状を受け、作品によって人々の記憶を蘇らせ、議論を再燃させることを目指している。


Courtesy: Victoria Miro, London


本展では、ヴェネツィア・ビエンナーレやドクメンタに参加経験を持つトーマス・ヒルシュホーン、モナ・ハトゥム、アイザック・ジュリアン、畠山直哉、宮本隆司から、加藤翼や平川恒太など若手作家まで、国内外を問わず幅広い層の作家が参加。さらに、ヒワ・Kやヘルムット・スタラーツなど、日本初公開となる作家も紹介する。
戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する今日において、美術が社会を襲う大惨事や個人的な悲劇とどのように向き合い、私たちが再生を遂げるためにどのような役割を果たすことができるのか。本展は、負を正に転ずる力学としての「美術のちから」について注目し、その可能性を問いかける。これまで展覧会に先行し「プレ・ディスカッション・シリーズ」と題したトークイベントを5回にわたり開催。会期中には議論の総括をおこなうシンポジウムを予定している。

デジタルアーカイブ:凸版印刷株式会社 Courtesy: Mizuma Art Gallery, Tokyo / Singapore
※11月下旬から展示予定
出展アーティスト・プロジェクト:
シヴァ・アフマディ、アイ・ウェイウェイ(艾未未)、ミロスワフ・バウカ、坂 茂、ミリアム・カーン、CATPC&レンゾ・マルテンス、シェバ・チャッチ、Chim↑Pom、トーマス・デマンド、クリストフ・ドレーガー、藤井 光、フェリックス・ゴンザレス=トレス、畠山直哉、モナ・ハトゥム、平川恒太、トーマス・ヒルシュホーン、堀尾貞治、ハレド・ホウラニ、ホァン・ハイシン(黄海欣)、HYOGO AID ’95 by ART、池田 学、アイザック・ジュリアン、ヒワ・K、加藤 翼、オリバー・ラリック、エヴァ&フランコ・マッテス、宮島達男、宮本隆司、オノ・ヨーコ、ジョルジュ・ルース、カテジナ・シェダー、ヴォルフガング・シュテーレ、ヘルムット・スタラーツ、スウーン、高橋雅子(ARTS for HOPE)、武田慎平、田中功起、ジリアン・ウェアリング、米田知子、ムハマッド・ウチュプ・ユスフ

展示風景:「スウーン:水没した母なる地」(ブルックリン美術館、2014年) 撮影:トッド・シーリー *参考図版


関連企画
アーティストリレートーク 第1回(日英同時通訳付)
2018年10月7日(日)14:00-17:00(受付開始 13:30-)
出演:クリストフ・ドレーガー、アイザック・ジュリアン、ヘルムット・スタラーツ、スウーン
アーティストリレートーク 第2回(日本語のみ)
2018年11月17日(土)14:00-17:00(受付開始 13:30-)
出演:堀尾貞治、宮島達男、宮本隆司
森美術館×オックスフォード大学
国際シンポジウム「グローバル・カタストロフ:今日におけるアートの可能性(仮称)」(日英同時通訳、手話同時通訳付)
2018年12月15日(土)10:00-16:00(予定)
出演:アンソニー・ガードナー(オックスフォード大学ラスキン・スクール・オブ・アート所長)、米田知子(アーティスト)他
主催:ラーニング・プロジェクト実行委員会
※イベント詳細については随時公式ウェブサイトを参照