六本木クロッシング2022展:往来オーライ! @ 森美術館


青木野枝《ふりそそぐものたち/長崎》2019年 展示風景「ふりそそぐものたち」⻑崎県美術館2019年 撮影:山本糾、画像提供:ANOMALY(東京)※参考図版

 

六本木クロッシング2022展:往来オーライ!
2022年12月1日(木)– 2023年3月26日(日)
森美術館
https://www.mori.art.museum/
開館時間:10:00–22:00(火曜は10:00-17:00 ※1/3、3/21は22:00まで)入館は閉館30分前まで
会期中無休
企画:天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)
レーナ・フリッチュ(オックスフォード大学アシュモレアン美術博物館 近現代美術キュレーター)
橋本梓(国立国際美術館主任研究員)
近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)
展覧会URL:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2022/index.html

 

森美術館では、3年に一度、日本の現代アートシーンの最前線を定点観測的に総覧するシリーズ展『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』を開催する。

2004年以来共同キュレーション形式で開催してきた「六本木クロッシング」の7回目となる今回は、東京オペラシティアートギャラリーの天野太郎、オックスフォード大学アシュモレアン美術博物館のレーナ・フリッチュ、国立国際美術館の橋本梓の3名の外部キュレーターと、森美術館の近藤健一の計4名が共同キュレーションを手がける。4人のキュレーターが、長引くコロナ禍により大きく変化している社会の中で見えてきた、2022年のいま、考察すべきだと考える3つのトピック「新たな視点で身近な事象や生活環境を考える」「さまざまな隣人と共に生きる」「日本の中の多文化性に光をあてる」を、1940年代~1990年代生まれのアーティスト22組の作品とともに考える。また、サブタイトルの「往来オーライ!」には、歴史上、異文化との交流や人の往来が繰り返され、複雑な過去を経て、現在の日本には多様な人・文化が共存しているという事実を再認識しつつ、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を再び取り戻したい、という思いが込められている。

 


市原えつこ+ ISIDイノラボ《都市のナマハゲーNamahage in Tokyo》2017年 ※参考図版


キュンチョメ《声枯れるまで》2019年

 

「新たな視点で身近な事象や生活環境を考える」のトピックの下では、AKI INOMATAによるビーバーにかじられた木材を基に制作された立体作品シリーズ、コロナ禍での生活環境の変化を起点に奇想天外な未来を志向する市原えつこ、身近な環境を変容させるインスタレーションを発表する玉山拓郎青木野枝による自然現象に想を得た大型立体作品、竹内公太が福島県の放射能汚染による立入制限区域で撮影した写真を含むインスタレーションなどを出展。東日本大震災を経た日本で、地震や津波、放射能汚染をきっかけに自然や環境について関心が高まったことの延長線上にコロナ禍を捉えながら、未来について思考する。

「さまざまな隣人と共に生きる」のトピックの下では、変わりゆく世界を見つめながら、さまざまな隣人たちを描くO JUNの絵画、失踪していた伯母と再会し、その後の姿を撮影し続けた金川晋吾によるポートレート写真、キュンチョメによるトランスジェンダーを主題とした映像作品などを紹介する。「ダイバーシティ」や「LGBTQ+」という言葉を意識した取り組みが加速度的に増える一方で、そうした言葉の影に隠されてしまうもっと見えにくい差異も含めて、さまざまな人たちが共に暮らす今日の社会の姿を考察する。

「日本の中の多文化性に光をあてる」のトピックの下では、池田宏によるアイヌの人々を主題とした映像インスタレーション、住み慣れた場所を離れる最後の時間を撮影した石内都の写真作品、海路による人々の往来を主題にテキスタイルで物語を紡ぎ出す呉夏枝潘逸舟による移住・移転をテーマにした作品、石垣克子伊波リンダという沖縄出身のアーティストによる作品などを紹介する。アイヌや沖縄、中国系、コリア系といったさまざまな人々が、政治的変化や複雑な歴史を経て共に暮らす場である日本で、その文化的多様性に光をあて、新しい時代を共に考えていく。

 

出展アーティスト
AKI INOMATA、青木千絵、青木野枝、潘逸舟、市原えつこ、伊波リンダ、池田宏、猪瀬直哉、石垣克子、石内都、金川晋吾、キュンチョメ、松田修、呉夏枝、O JUN、折元立身、進藤冬華、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、竹内公太、玉山拓郎、やんツー、横山奈美

 


池田宏《椎久愼介 標津町2022年7月》2022年


呉夏枝(オ・ハヂ)《空白いろのきおくに浮かぶ海女の家/船(えぶね)》2018年、展示風景:「東アジア文化都市2018金沢 変容する家」金沢21世紀美術館、撮影:木奥惠三 ※参考図版

Copyrighted Image