京都芸術センターでは、この度、Co-program 2024採択企画「眼差しの手入れ」展を開催いたします。
「眼差しの手入れ」展は、キュレーターの河村清加による二人の彫刻家、婦木加奈子と丸山のどかの企画展です。両作家それぞれの見近な風景を見つめる視点を知ることで、風景の背後にある人々の営みを重層的に捉え直すことを促します。
■展覧会ステートメント
眼差しの赴くところに、そしてその趣を感じとるときに、目の前にある「風景」は日常とは異なるものとして捉え直されます。それはまるで使い込んだ眼差しの仕方が手入れされる体験とも言えるのではないでしょうか。
しかも風景は我々が心づくと否とに拘らず、絶えず僅かづつは変わっていこうとしている。おおよそ人間の力によって成るもので、是ほど定まった形を留め難いものも他には無いと思うが、更にはかないことには是を歴史のように、語りつぐ道がまだ備わっていないのである。
ー 柳田國男
人の生活や労働、作為がつくる風景と、その果敢無さに目を向けた民俗学者の柳田の眼差しにならい、本展示では二人のアーティストが捉えた光景を一時的・仮設的に立ち上げます。婦木は、日常生活の行為を読みかえ、身近な場面に作品を介在させます。丸山は、風景の表層のみが切り取られた立体作品を現実の場に配し、景色を異化させます。長い歳月をかけて使い込まれてきた京都芸術センターの「うち」と「そと」を二人は行き来しながら、建築の特徴や痕跡と呼応するようにして手入れを展開します。
間断なく、時に劇的に変化し続ける風景。素朴な光景に異質さを見出す眼差し、その差異を際立たせる手入れによって、眼前に広がる風景と背後にある人々の営みを多層的に捉え直します。
日 時 |2024年7月31日(水)~9月1日(日)10:00~20:00
休館日 |2024年8月16日(金)
場 所 |京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546‐2)
鑑賞料 |無料
■トークイベント
お散歩談話室
建築・都市計画の研究に取り組む清山陽平氏と、本展企画者の河村清加が京都芸術センターの館内各所をめぐりながら、展示の見どころや、館の建築的な特徴と展示の関わり、芸術文化を創造する都市のあり方についてお話しします
出 演 |河村清加(本展企画)、清山陽平(京都大学大学院工学研究科建築学専攻 助教)
日 時 | 2024年 8月10日(土)14:00~16:00(予定)
定 員 | 20人
申込方法|要事前申込(https://forms.gle/MtUg4nbZL8BmMw5F6)
■作家略歴
婦木加奈子(ふき・かなこ)
1996年生まれ、神奈川を拠点に活動。金沢美術工芸大学美術科彫刻専攻を卒業後、2020年チェルシーカレッジオブアート グラデュエートディプロマファインアートコース修了。主な展覧会歴は、2024年「BankART Life7 UrbanNesting: 再び都市に棲む」(BankART Station / 神奈川)、2022年「第1回MIMOCA EYE / ミモカアイ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 / 香川)、「TOKAS-Emerging 2022『ストレンジャー』」(トーキョーアーツアンドスペース本郷 / 東京)など。
婦木加奈子《ストレンジャー》2023年
丸山のどか(まるやま・のどか)
1992年生まれ、愛知を拠点に活動。2018年愛知県立芸術大学大学院美術研究科美術専攻彫刻領域修了。
主な展覧会は、2023年「味/処」(神奈川県民ホールギャラリー/神奈川)、「アートサイト名古屋城2023 想像の復元」(二之丸庭園/愛知)、2022 年「資材館」(YEBIS ART LABO/愛知)、2020年 「アッセンブリッジ・ナゴヤ2020」(旧・名古屋税関港寮/愛知)など。
丸山のどか《資材館》2022年 撮影:大須賀信
■企画者略歴
河村清加(かわむら・さやか)
1999年生まれ、静岡県を拠点に活動。公立文化施設に勤務しながら、静岡文化芸術大学 文化政策研究科の修士課程に在籍。キュレーション、グラフィックデザインを通じて現代美術のアートマネジメントに取り組む。