当意即妙―芸術文化の抵抗戦略 @ 京都芸術センター


 

当意即妙―芸術文化の抵抗戦略
2024年1月12日(金)-2月19日(月)
京都芸術センター ギャラリー北・南
https://www.kac.or.jp/
開場時間:10:00–20:00
企画:居原田遥
出展作家:Masking/Unmasking Life、3 AM Performance Art Collective、WART、ドキュ・アッタン、Yangon かるた
展覧会URL:https://www.kac.or.jp/events/34900/

 

京都芸術センターでは、2021年2月にミャンマーで起きたクーデター以降に生じたアート、映画、音楽など、さまざまな文化実践から生きる希望を見出し、政治・社会的困難と文化のあり方を考察する展覧会「当意即妙―芸術文化の抵抗戦略」を開催する。本展は、キュレーターの居原田遥が京都芸術センターと協働でプロジェクトの実現を目指す事業「Co-program」の共同開催枠として開催。

本展企画者の居原田遥は、沖縄をはじめとするアジアの政治・社会課題や困難と向きあう芸術文化のあり方・活かし方を研究しながら、アーティストたちと共同して、展覧会やドキュメンタリー映画などの企画や制作に取り組んできた。居原田は本展に際し、社会の大きな力によって引き起こされる予期せぬ出来事や困難に対して、自分ひとりの力では解決できないかもしれないが、「そうしたときに、すばやく、的確に、自分の出来ることで「なにか」する。絶望的な状況に対して、ユーモア溢れる、希望となるアクションを起こす。アートをはじめとする文化実践(Cultural Practice)には、そうした現実――絶望的な世界――に対し、未来のための「一手」となる可能性がある」と記している。

本展では、2021年2月にミャンマーで起きたクーデターが生み出したさまざまなかたちの暴力が、いまなお人々を、そして人々が願う希望や平和を脅かす中で、そこに抵抗を示し戦い続け、願いや想いを声にし、あるいは言葉では表せない「なにか」を表現し続けているアーティストや団体を紹介する。また、ミャンマーの状況を踏まえ、「ミャンマーのクーデター以降、さまざまな暴力と戦うひとたちともに。これからの方法を考える」「ミャンマーのクーデターがもたらした暴力やその実態を知ること、そしてそこで希望となるひとびとにあまり出会う機会がなかったひとたちとともに。知らないことから導き出す新しい希望を考える」「アートをはじめ文化実践(Cultural Practice)を通じて、絶望的な世界や社会的・政治的課題や困難と向き合い、それらを活用・応用したいと思うひとたちともに。世界と向きあう方法―戦略―を見出していく」の3つの目的を掲げ、あらゆる人たちと共に思考するための機会の創出を試みる。

 


《Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす》2022年 撮影:冨田良平


3 AM Performance Art Collective

 

Masking/Unmasking Lifeは、ミャンマーを拠点に活動する偽名のアーティスト「カミズ」による、2021年2月のクーデター勃発以降に犠牲になった人々の顔をかたどったマスクを制作するプロジェクト。本展では、2022年に居原田がキュレーションを手がけた「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」(東京芸術大学大学美術館陳列館)を基盤にしながら、「死」と向き合うことから「生 Life」へとつなげる創作活動をインスタレーション作品として発表する。

3 AM Performance Art Collectiveは、マー・エイ、コー・ラット、ヤダナー・ウィンの3名のアーティストが2016年にミャンマーを拠点に開始したコレクティブ。パフォーマンスという実践を通して、批評や表現の抑圧、クィアネスと政治的暴力の複雑さを表現し、ミャンマーにおける社会的・政治的困難を世界的な視点として提起している。

WARTは、「言論・表現の自由・若者の未来」をコンセプトに漫画・イラスト・講演・論文などの表現を用いて、自由と平和な表現活動を支援する団体。クーデターが起きて6か月後から、軍の弾圧下で小さな一片の絵に希望を繋ぎ、今も描き続けている作家や自由のために戦うミャンマーの人々の気持ちの支援となる作品を集め、発信。あらゆる戦争と侵略の政策、あらゆる民族支配に反対し、すべての人々が身体的・精神的・社会的・経済的に豊かな生活を送る事ができる「世界の平和の確立」に寄与する事を目的としている。

 


WART

ドキュ・アッタン(Docu-Athan)は、2022年にミャンマーで拘束された2人の日本人、ジャーナリストの北角裕樹とドキュメンタリー作家の久保田徹の発案から生まれた、ミャンマー人のクリエイター(ジャーナリスト/映像制作者/アーティストなど)を支援するためのオンラインプラットフォームプロジェクト。プロジェクト名称の「アッタン」はミャンマー語で「声・意見」などの意。サイト訪問者がウェブサイトを通じて「アッタン」を購入することで、クリエイターが新たな作品作りの資金とすることができる仕組みを設けている。

Yangon かるたは、2019年からクーデター直前までのヤンゴンで、実際に撮影した写真を使った「かるた」の活動、ミャンマーの現状を変える力がなくても、伝えることで未来を変えられると信じて行動する学びのプロジェクト。「遊び」を通して、ミャンマーの人々の暮らし、文化、歴史を知り、クーデターによって日常が奪われるとはどんなことか、平和や国際社会の役割について考えるイベントを実施。公教育での多文化理解、キャリア教育講演会をはじめ、世代、人種を超えて、共に学び合う取り組みをしている。

会期中には、ドキュ・アッタンによる短編映像作品の上映会と北角裕樹(ジャーナリスト)、久保田徹(映像作家)らをトークゲストに招いたイベントや、Yangon かるたをゲストに「かるた」を体験するワークショップとトーク&交流会を開催。また、居原田が企画したアーティストともに思考するワークショップ 「アフェクティブ・サイトAffective Site」を連動企画として京都芸術センターの講堂およびミーティングルーム2で開催する。

 


ドキュ・アッタン


Yangonかるた

 

関連イベント
イベント1
ドキュアッタンシアター #京都
2024年1月20日(土)19:00–21:00
登壇:久保田徹(映像作家)、北角裕樹(ジャーナリスト)、他
進行:居原田遥(本展企画者)
会場:京都芸術センター 大広間
定員:50名(先着順)
料金:無料(要事前申込:https://www.kac.or.jp/reserve/?id=34900
※ドキュ・アッタン:https://www.docuathan.com/news

イベント2
Yangon かるたによるかるたワークショップ+トーク&交流会
2024年2月11日(日)15:00–17:00
ゲスト:Yangon かるた、他
進行:居原田遥(本展企画者)
会場:京都芸術センター 和室「明倫」
定員:15名(先着順)
料金:無料(要事前申込:https://www.kac.or.jp/reserve/?id=34900

連動企画
アーティストともに思考するワークショップ 「アフェクティブ・サイトAffective Site」
①レクチャーパフォーマンス 「大きな困難と向き合うための討議」
2024年1月26日(金)18:00-20:00
ゲストアーティスト:藤井光
進行:居原田遥(ワークショップ 「アフェクティブ・サイト」企画者)
会場:京都芸術センター ミーティングルーム2
定員:15名
料金:参加無料(要事前申込:https://touisokumyou-affectivesite.peatix.com/
②スクリーニング・アッセンブリー「連帯/接続の方法!」
2024年1月27日(土)15:00-17:00
ゲストアーティスト:小鷹拓郎、パタニアートスペース
進行:居原田遥(ワークショップ 「アフェクティブ・サイト」企画者)
会場:京都芸術センター 講堂
定員:40名
料金:参加無料(要事前申込:https://touisokumyou-affectivesite.peatix.com/
③プラクティカル・ダイアローグ「祈ること?幸せのための実践を考えよう」
2024年1月28日(日)15:00-17:00
ゲストアーティスト:キュンチョメ
進行:居原田遥(ワークショップ 「アフェクティブ・サイト」企画者)
会場:京都芸術センター 講堂
定員:40名
料金:参加無料(要事前申込:https://touisokumyou-affectivesite.peatix.com/

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