サムソン・ヤン「The World Falls Apart Into Facts」@ 京都芸術センター ギャラリー南


サムソン・ヤン《The World Falls Apart Into Facts》(2019) ©Lily Yiyi Chan

 

サムソン・ヤン「The World Falls Apart Into Facts」
2023年9月30日(土)- 10月22日(日)
京都芸術センター ギャラリー南
https://www.kac.or.jp/
開館時間:10:00–20:00(9/30は10:00-22:00)
会期中無休
展覧会URL:https://kyoto-ex.jp/shows/2023_samson-young/

 

京都芸術センターでは、KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023の一環として、音とその文化的政治性に対する探究を軸にアイデンティティや戦争、文学などのテーマを扱う香港出身のアーティスト、サムソン・ヤンの個展「The World Falls Apart Into Facts」を開催している。

サムソン・ヤン(1979年香港生まれ)は、シドニー大学で音楽、哲学、ジェンダー・スタディーズを学び、音楽作曲の修士号を香港大学、博士号をプリンストン大学で取得する。その学際的な研究を活かした表現は、サウンド、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど多岐にわたる。2017年に第57回ヴェネツィア・ビエンナーレに香港代表として参加し、「Songs for Disaster Relief」のタイトルの下、ネオリベラリズムの台頭や国際的なポピュラー音楽産業のグローバル化と軌を一にする「チャリティ・ソング」の普及を、歴史的な出来事や文化的な変革期として位置付けなおす試みを展開した。これまでにクンストハレ・デュッセルドルフ(2016)、バンクーバー国際現代アジアアートセンター(2019)、エジンバラのトルボット・ライス・ギャラリー(2019)、シカゴ大学附属スマート美術館(2019)、セントルイス美術館(2022)などで個展を開催。「One Hand Clapping」(グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、2018、第12回上海ビエンナーレ(2018)、パフォーマ19(ニューヨーク、2019)、コーチ゠ムジリス・ビエンナーレ2022-23など、国際展や企画展にも多数参加。日本国内でも、広島市現代美術館、森美術館、国立国際美術館、東京都写真美術館などで作品を発表している。2020年には第1回グ賞(旧・中国現代美術賞)を受賞。個人での制作活動のほか、2007年にサウンドアートや実験音楽に取り組む「CMHK」を創設、アーティストコレクティブ「Tomato Grey」のメンバーも務める。

 


サムソン・ヤン《The World Falls Apart Into Facts》(2019) ©Lily Yiyi Chan

 

本展では、オペラ「トゥーランドット」の中でも歌われる中国を代表する民謡「Molihua(茉莉花)」の系譜を、歴史と政治の両観点からたどった映像インスタレーション《The World Falls Apart Into Facts》(2019)を、この度、京都に滞在し思索を深めたヤンが再構成して発表する。民謡「Molihua」は、清朝の時代に大英帝国を経てヨーロッパに伝わり、その地で広まる中でアレンジされたものが中国に「再輸入」されたという経緯を持つ。本作には、日本における唐楽(中国から朝鮮・日本に伝来した唐代の音楽で、雅楽の分類のひとつ)など、国と国を超えて作用する文化的系譜に関わるリサーチも含まれている。それは、今日「日本的」と捉えられる文化的系譜の多くもまた、歴史を振り返れば他国の文化を転用したものや、その影響下にあることを明らかにし、国と文化を結びつけて語るとき、しばしば文化の純粋性や真正性といった概念を入れ込もうと働く力をユーモアを交えながら浮かび上がらせるものとなる。

 

関連イベント
ギャラリーツアー ※既に終了
ゲスト:サムソン・ヤン
2023年9月30日(土)12:30-13:30
会場:京都芸術センター ギャラリー南
定員:20名(先着順)
料金:参加無料、予約優先
言語:英語(日本語逐次通訳あり)
予約フォーム:https://ssl.form-mailer.jp/fms/7965927c793080

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