
返還映画コレクション(4)――文化・ニュース・漫画映画篇
2026年8月4日(火)-9月6日(日)
国立映画アーカイブ 小ホール(地下1階)
https://www.nfaj.go.jp/
休館日:月
https://www.nfaj.go.jp/film-program/repatriated_film4_202607/
国立映画アーカイブでは、2023年度より継続する「返還映画コレクション」の第4弾として、返還映画の中から文化映画、ニュース映画、漫画映画(アニメーション映画)を特集上映する「返還映画コレクション(4)――文化・ニュース・漫画映画篇」を、映像文化製作者連盟との共同で開催する。
返還映画とは、アメリカ議会図書館が所蔵していた約1,400本にも及ぶ戦前・戦中期の日本映画の可燃性フィルム群のうち、日本に返還された映画の総称。戦時期にアメリカ国内の各地で日系人から接収されたものや、戦後に民間情報教育局(CIE)の覚書「非民主的映画の排除」によって上映を禁止された劇映画をはじめ、文化映画・ニュース映画・漫画映画(アニメーション映画)も含まれている。1964年にその事実が判明し、日米双方による事前調査と折衝を経て、1967年11月8日に東京国立近代美術館とアメリカ議会図書館が「交換協定文書」が調印。同年の第一次から1984年の第四次にかけてフィルムの返還が行なわれた。返還されたフィルムは、その後の困難な整理・不燃化作業を経て、国立映画アーカイブの基盤となるコレクションとなっている。現在、国立映画アーカイブは、返還された可燃性フィルムの収蔵時の経緯等について再調査を実施し、収蔵時期の明確になったコレクションから順次(再)公開している。
『沖繩』「「領土」への眼差し―南と北」より
森井輝雄『白茂線』1941年「「領土」への眼差し―朝鮮と台湾」より
芥川光蔵『娘々廟會(にやんにやんめやをほい)』1940年「満洲の虚実(3)」より
本企画は、1930年代から40年代に製作された文化・ニュース・漫画映画を、地域、歴史的事象、イデオロギーなどテーマ別に28プログラム(113作品)に編成し、記録の持つ歴史的価値や、映画の在り方が変遷する過程を浮き彫りにする大規模な回顧特集となる。これまでの3回の特集上映では、劇映画が中心となっていたが、返還映画には劇映画をはるかに上回る数の文化・ニュース・漫画映画が含まれており、題材も撮影場所も多彩な作品群は、それ自体が貴重な記録と言える。上映作品の一部は、国立映画アーカイブの前身となるフィルムセンター時代に、「日本の記録映画特集――戦前篇」(1973)、「フィルムは記録する’97:日本の文化・記録映画作家たち」(1997)、「フィルムで見る20世紀の日本」(2002)などで、個別に紹介されてきたが、コレクションという形でまとめて上映するのは本企画が初の機会。亀井文夫が監督した日本のドキュメンタリー映画史を代表する『支那事変後方記録 上海』(1938)や、瀨尾光世が監督した国策アニメーションとして名高い『桃太郎の海鷲』(1942)などはもちろん、返還以来初上映、あるいはほとんど上映機会のなかった作品を数多く選定し、返還映画の文化・ニュース・漫画映画の全体像を一望できる企画となっている。「「日本」への眼差し」と題したプログラムでは、藤田嗣治が監督し日本の田舎風景を描いた『現代日本 子供篇』(1937)も上映される。
亀井文夫『支那事変後方記録 上海』1938年「「事変」の欺瞞(2)」より
大藤信郎『マレー沖海戰』1943年「マレー」より
リヒアルト・アングスト『黄浦江 戰友の歌』1939年「時局下に響く歌」より
8月8日(12:00)の「訓練する身体」上映後には池元慎(国立映画アーカイブ補佐員)、8月8日(15:30)の「「事変」の欺瞞(1)」上映後には井上寿一(アジア歴史資料センター長、学習院大学教授)、8月9日(15:00)の「漫画映画選集」上映後には佐野明子(同志社大学文化情報学部准教授)、8月15日(12:00)の「メディアの役割」上映後には佐藤卓己(上智大学文学部新聞学科教授)による講演を開催。また、本企画では、国立公文書館アジア歴史資料センター(アジ歴)の協力の下、アジ歴がデジタルアーカイブとして公開する歴史資料を上映作品に紐づけた資料一覧を作成し、当時の時代背景、世相、作品の受容など、より深く作品とその時代を知るための手がかりとして活用するための試みに取り組んでいる(アジ歴関連資料一覧)。そのほか、国立映画アーカイブが運営するウェブサイト「フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―」では、国立映画アーカイブで所蔵する文化・記録映画の数々——本企画で上映が叶わなかった返還映画も100作品以上を含む——を全篇視聴可能な状態で公開している。
なお、国立映画アーカイブは現在、活動の安定的な継続と将来への発展に向け、収入の多角化と拡大に取り組む一環として、クラウドファンディングを実施中。詳細は、公式ウェブサイトおよびREADY FOR内のプロジェクト紹介ページを参照。
小沢得二『心の武装』1944年「防諜思想」より
保篠龍緒『赤の脅威』1938年「メディアの役割」より
瀨尾光世『桃太郎の海鷲』1942年「漫画映画選集」より