ジャネット・カーディフ 40声のモテット @ 金沢21世紀美術館


ジャネット・カーディフ《40声のモテット》2001年、ジャネット カーディフ(スイス、トゥールガウ州立美術館にて、2002年) Photo by Stephan Rohner. Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff

 

ジャネット・カーディフ 40声のモテット
2025年5月24日(土)-9月15日(月・祝)
金沢21世紀美術館 展示室13
https://www.kanazawa21.jp/
開館時間:10:00–18:00(金・土は20:00まで)
休館日:月(ただし7/21、8/11、9/15は開館)、7/22、8/12
企画:髙木遊(金沢21世紀美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1831

 

金沢21世紀美術館では、同館のコレクション作家であるジャネット・カーディフの初期の代表作《40声のモテット》を紹介する展覧会「ジャネット・カーディフ 40声のモテット」を開催する。本作は本展のほか、現在開催中の原美術館ARC(3月15日から5月11日まで)、長崎県美術館(10月17日から11月16日まで)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(12月13日から2026年2月15日まで)の計4館を巡回する。

ジャネット・カーディフ(1957年オンタリオ州ブリュッセル生まれ)は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州の田園地帯を拠点に、映画やビデオ、写真などを用いた作品を制作している。ジョージ・ビュレス・ミラーとともに、サウンドや彫刻、テクノロジーを融合させ、「聴く」「見る」といった複合的な知覚体験を伴う革新的で没入感のあるインスタレーションを発表し、国際的に高く評価されている。2017年に金沢21世紀美術館で開催した大規模個展では、1台のキャンピングトレーラーの中で、マリオネットや動物たちが音楽に合わせて踊る《The Marionette Maker》や、ヴェネツィア・ルネッサンスの画家アントネロ・ダ・メッシーナによる絵画《書斎の聖ヒエロニムス》を参照した《Conversation with Antonello》などを発表した。

ビュレス・ミラーとの近年の主な個展に「Dream Machines」(レームブルック美術館、ティンゲリー美術館を巡回、2022-2023)、「Janet Cardiff & George Bures Miller」(モンテレイ現代美術館、メキシコ、2019)、「The Instrument of Troubled Dreams」(アウデ・ケルク、アムステルダム、2018)、「Something Strange This Way」(ARoSオーフス美術館、2014-2015)など。また、第14回イスタンブール・ビエンナーレ(2015)、第19回シドニー・ビエンナーレ(2014)、ドクメンタ13(2012)、第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展(2010)など、数多くの国際展で作品を発表。日本国内では、あいちトリエンナーレ2013、瀬戸内国際芸術祭2010、「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー展」(銀座メゾンエルメス フォーラム、東京、2009)、第1回恵比寿映像祭(2009)、横浜トリエンナーレ2005などに出品した。

 


ジャネット・カーディフ《40声のモテット》2001年、銀座メゾンエルメス フォーラムでの展示風景(2009年) Photo by Atsushi Nakamichi /Nacása & Partners Inc. Courtesy of the Fondation d’entreprise Hermès, 2009 ©Janet Cardiff


ジャネット・カーディフ《40声のモテット》2001年、ソールズベリー大聖堂合唱団による録音の様子(2000年) Photo by Hugo Glendinning. Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff

 

《40声のモテット》は、16世紀イングランドの作曲家トマス・タリスの「40声のモテット」(Spem in Alium)を基に、40台のスピーカーから再生される聖歌隊の40人の声が、空間を彫刻のように構築するサウンドインスタレーション。楕円形に配置されたスピーカーから個々の声が響き、重層的に音が重なり合うことで、まるでその場に40人の合唱が生まれるかのような臨場感と、音と空間の融合が体験できる。2001年にカナダ国立美術館で初公開され、ミレニアム賞を受賞して以来、ニューヨーク近代美術館やモントリオール現代美術館など、世界約60カ所の会場で展示されてきた。本展では、SANAAが設計したホワイトキューブの展示室が独立して点在する開放的な空間を特徴とする金沢21世紀美術館の中でも最も面積の広い展示室を舞台に、歩きながら音の移ろいを自在に追う鑑賞体験が期待される。

 

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