ティファニー・チュン《出国の歴史を再構築する:ベトナムからのボートの軌跡、難民キャンプからの飛行ルートとODPの事例》2020年 ©Tiffany Chung
Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる
2024年6月22日(土)-10月14日(月・祝)
金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14、交流ゾーン
https://www.kanazawa21.jp/
開場時間:10:00–18:00(金曜、土曜は20:00まで)観覧券販売は閉場の30分前まで
休場日:月(ただし7/15、8/12、9/16、9/23、10/14は開場)7/16、8/13、9/17、9/24
展覧会担当:黒澤浩美(金沢21世紀美術館チーフ・キュレーター)、野中祐美子(金沢21世紀美術館キュレーター)
展覧会URL:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1822
金沢21世紀美術館では、人類学者ティム・インゴルドの『ラインズ 線の文化史』(左右社、2014)に着想を得て、世の中に存在するすべてのものを「線」という視点から考察し、線が私たちの生活や人間関係をどのように形作っているか、世界10カ国16作家による35作品の創造的実践を通じて考える展覧会「Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる」を開催する。
開館20周年を記念する本展では、人間と自然のより調和的でバランスのとれた関係を目指す上で、アートはその特性とするオープンで受容的な考え方や、既存の前提を疑う姿勢、そして今を生きる我々が、意識をどこに向けていくかを再考する重要なプラットホームとなり得ると捉える。展覧会の着想源となったティム・インゴルドは、人間と動物、進化という概念、人間にとっての環境など、従来の文化人類学の枠組みを大きく越える思索を続け、哲学、社会学、生態心理学など多様な領域を横断しながら人類学研究を展開。線という概念について興味深い視点を持ち、著作『ラインズ』では線は世界にあらかじめ存在する実体ではなく、むしろプロセスであり活動そのものであるとの考えを示してきた。本展では、世界を相互に結びついた生態系のプロセスの網の目として理解し、私たち人間の創造的実践をより広範な文脈の中に統合すること、また、生きるためにさまざまな亀裂を縫い続けて線に沿って歩くことを現在進行中の前向きな「なりゆき」のプロセスと捉え、線の探究に積極的に参加するアーティストの作品を紹介していく。
横山奈美《Shape of Your Words [in India 2023/8.1-8.19]》2024年 個人蔵 画像提供:ケンジタキギャラリー ©Nami Yokoyama photo : ITO Tetuso
ガブリエラ・マンガーノ&シルヴァーナ・マンガーノ《落下の可能性》2009年 ニュー・サウス・ウエールズ・ギャラリー蔵 ©Gabriella Mangano & Silvana Mangano
出品アーティストは、エル・アナツイ、ティファニー・チュン、サム・フォールズ、マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ、マルグリット・ユモー、マーク・マンダース、ガブリエラ・マンガーノ&シルヴァーナ・マンガーノ、大巻伸嗣、エンリケ・オリヴェイラ、オクサナ・パサイコ、ユージニア・ラスコプロス、SUPERFLEX、サラ・ジー、ジュディ・ワトソン、八木夕菜、横山奈美の16組(※姓のアルファベット順)。展示室内だけでなく、SUPERFLEXの《権力のトイレ デス・マスク》(2024)、《垂直移行》(2021)は交流ゾーン、エンリケ・オリヴェイラの《不自然さ8》(2024)は本多通り口(東口)、サラ・ジーの《喪失の美学》(2004)は階段に展開される。会期中には、ティム・インゴルドの講演会や出品作家の八木夕菜が中東篤志(カリナリーディレクター/料理人)、川股寛享(小浜市文化観光課学芸員)とともに取り組むプログラム、同館内「みらいカフェ」との協働企画、出品アーティスト(一部)によるギャラリートーク、キュレーターと散歩をしながら話す会といった関連プログラムを予定している。
オクサナ・パサイコ《短く悲しい文(二国間の国境に基づく)》2024年 作家蔵 ©Oksana Pasaiko
[参考画像]エンリケ・オリヴェイラ《Corupira》2023年 ©Henrique Oliveira
関連プログラム
講演会 ティム・インゴルド「観察の線、創造の線:可能世界における芸術作品」
2024年10月12日(土)14:00–15:30(開場:13:30)
講師:ティム・インゴルド
会場:金沢21世紀美術館シアター21
定員:100名(要予約、全席自由、無料、日英同時通訳付)※定員に達したため申込受付終了。
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=2105
「meet the artists(アーティストに会う)」アーティストによるギャラリートーク
2024年6月22日(土)
Session 1(11:00-11:30)大巻伸嗣
Session 2(11:45-12:30)エンリケ・オリヴェイラ*
Session 3(14:00-14:45)ユーゲニア・ラスコポウロス*
Session 4(15:00-15:30)横山奈美
Session 5(15:45-16:30)ヤコブ・フィンガー(SUPERFLEX)*
Session 6(17:00-18:30)ジュディ・ワトソン+シェリル・レヴィ(朗読/詩人)*
*は逐次通訳(日–英)
会場:金沢21世紀美術館展示室
無料、要申込
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=2106
ミツバチ・このまち・私たち ~ハチってどんな生きもの?
2024年9月7日(土)14:00–15:30
講師:石川卓弥(石川県ふれあい昆虫館学芸員)
会場:金沢21世紀美術館
無料、要申込
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=2107
ジュディ・ワトソン《記憶の傷跡、フィンガーライムの根、カスアリーナ・イエロンガスタジオで見つけたオブジェ》2020年 作家蔵 Photo: Rhett Hammerton. Image courtesy of the artist and Milani Gallery, Meanjin / Brisbane.
八木夕菜《35.52899496960655, 135.80684021577034 2023.5.11》2024年 「Passes」より
鯖街道を辿って
2024年10月7日(月)
講師:八木夕菜(出品作家)、中東篤志(カリナリーディレクター/料理人)、川股寛享(小浜市文化観光課学芸員)
※詳細は8/1以降、美術館公式ウェブサイトを参照
「Walk and Talk with curators(散歩のすすめ)」キュレーターと散歩をしながら話す会
2024年7月13日(土)、7月27日(土)、8月10日(土)*、8月24日(土)**、9月14日(土)、9月28日(土)
9:45-10:45
*友の会会員のみ:8/10(土)18:30-19:30、**サスティン会員のみ:8/24(土)8:45-9:45
ナビゲーター:黒澤浩美(金沢21世紀美術館チーフ・キュレーター)、野中祐美子(同キュレーター)いずれか
会場:金沢21世紀美術館
無料、要申込
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=2108