山田洋次《家族》(35mm/1970年/106分/国立映画アーカイブ所蔵)
第27回中之島映像劇場「1970年」
2025年3月15日(土)
国立国際美術館 地下1階講堂
https://www.nmao.go.jp/
定員:100名(先着順、全席自由、各プログラム入替制)※当日10:00からB1インフォメーションにて整理券配布(各部、1名につき1枚)
上映会担当:馬定延(国立国際美術館 客員研究員)
上映会URL:https://www.nmao.go.jp/events/event/theater_027/
国内外の実験映画や個人映画、アニメーション、ドキュメンタリー作品など、上映機会の少ない稀少な映像を含む作品群を紹介する「中之島映像劇場」。第27回は、大阪府吹田市の千里丘陵で日本万国博覧会(大阪万博)が開幕した1970年3月15日の55年後にあたる2025年3月15日に、国立国際美術館とも接点を持つこの出来事を当時発表された映像とともに振り返る。
「人類の進歩と調和」をテーマに77カ国と4つの国際機関が参加した1970年の大阪万博は、約6千4百万人の入場者数を記録しその幕を閉じた。国立国際美術館は、万博の開催期間中から閉幕後まで続いた関西在住の美術関係者たちの運動と日本美術家連盟の提案など、さまざまな声がその開館に繋がっている。また、同美術館は1977年の開館当初から2004年に現在の中之島西部地区に新築移転するまで、万博記念公園内に位置していた万国博美術館の建物を活用。日本万国博記念協会から建造物とともに譲り受けた作品の中には、1970年にガス・パビリオンで発表され、現在は常設展示されている、ジョアン・ミロの《無垢の笑い》という陶板で構成された壁画も含まれていた。こうした歴史を踏まえ、第27回中之島映像劇場は1970年の大阪万博を切り口に映像について考える機会となる。
羽田澄子《EXPO’70 コンピュートピア》(16mm/1970年/23分/国立映画アーカイブ所蔵)
当日は第1部から第3部の上映と第4部の吉見俊哉(社会学者・東京大学名誉教授・國學院大学教授)による特別講演で編成。第1部では、炭鉱の閉山により長崎の伊王島から北海道の開拓村に入植することを決断した一家が日本列島3,000キロを縦断する様子を描いた山田洋次の《家族》を上映。ドキュメンタリーの手法も交えて撮影された本作には万博で賑わう大阪の様子も映されている。第2部では、谷口千吉が総監督を務め、延べ18,000名ものスタッフが参加した公式記録映画《日本万国博》を上映。開会式から閉会式まで全スケジュールと各国館や企業館を撮影した本作は、万博の翌年に公開され、同年の日本映画興行成績で一位を記録した。
第3部は羽田澄子の《EXPO’70 コンピュートピア》と勅使河原宏の《1日240時間》を上映。《EXPO’70 コンピュートピア》は、奈良の東大寺にあった七重塔を模して建てられた古河パビリオン(万国博古河館推進委員会)の展示を紹介するPR映画。「古代の夢と現代の夢」をテーマに、富士通社製のコンピュータを利用した生活の未来像が展示された。勅使河原宏が監督を務めた《1日240時間》は、安部公房の脚本による神経加速剤によって10倍速された近未来を風刺するSFミュージカル映画。大阪万博の自動車館(社団法人日本自動車工業会)では正面3、天井1の4面スクリーンで上映されていた。本上映ではシングルスクリーン用の復元版を上映。第4部は吉見俊哉による「大阪万博と映像」(仮)と題した特別講演。講演中には大阪万博の前年の1969年8月13日に封切られた『毎日ニュース No.767』の上映も行なう。
上映スケジュール ※各部の間に休憩時間あり
2023年年3月15日(土)
第1部 上映 10:10-
山田洋次《家族》(35mm/1970年/106分/国立映画アーカイブ所蔵)
第2部 上映 13:00-
谷口千吉《日本万国博》(原版35mm/1971年/173分/DVD上映/大阪府日本万国博覧会記念公園事務所所蔵)
第3部 上映 16:10-
羽田澄子《EXPO’70 コンピュートピア》(16mm/1970年/23分/国立映画アーカイブ所蔵)
勅使河原宏《1日240時間》(復元版/1970年/31分/Blu-ray上映/一般財団法人草月会所蔵)
第4部 特別講演 17:20-18:20
吉見俊哉(社会学者・東京大学名誉教授・國學院大学教授)「大阪万博と映像」(仮)
※講演の中で『毎日ニュース No.767』(1969年/3分34秒/毎日映画社所蔵)を上映
勅使河原宏《1日240時間》(復元版/1970年/31分/一般財団法人草月会所蔵)© 一般財団法人草月会