石川真生 ―私に何ができるか― @ 東京オペラシティ アートギャラリー


石川真生〈大琉球写真絵巻 パート9〉より 沖縄でバイレイシャル(ミックスルーツ)として生きること 2021年

 

石川真生 ―私に何ができるか―
2023年10月13日(金)-12月24日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー
https://www.operacity.jp/ag/
開館時間:11:00–19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月
企画担当:天野太郎(東京オペラシティ アートギャラリー チーフ・キュレーター)
展覧会URL:https://www.operacity.jp/ag/exh267/

 

東京オペラシティ アートギャラリーでは、1970年代より沖縄を拠点に沖縄に暮らす人々を撮り続け、近年は琉球圏から現代に至る沖縄の歴史を描いた「大琉球写真絵巻」に取り組む写真家・石川真生の個展「石川真生 ―私に何ができるか―」を開催する。

石川真生(1953年沖縄県国頭郡大宜味村生まれ)は、沖縄本土復帰の前年、1972年に起こった返還協定に反対するデモで火炎瓶に当たった機動隊員を目撃した体験から「沖縄を表現するために写真家になる」と決意し、以来、50年以上にわたるキャリアを通じて、沖縄に暮らすさまざまな境遇に置かれた人々に密着した作品を発表してきた。1974年にWORKSHOP写真学校東松照明教室で写真を学び、沖縄在米兵の黒人のためのバーに勤めながら同僚たちの女性とその奔放な生活を撮影した〈赤花 アカバナー 沖縄の女〉、そこで出会った黒人兵の故郷を訪ねる〈Life in Philly〉など、その時々の人との出会いをきっかけに、立場を越えて写真を撮り続けるスタイルを確立する。その後も、旧日本軍、自衛隊、米軍に関わりのある人物や出来事を取材し、国内外を問わず精力的な撮影を行ない、近年では、〈日の丸を視る目〉を契機に〈森花―夢の世界〉〈大琉球写真絵巻〉など、創作写真とも言われる作品を発表している。

 


左:石川真生〈Life in Philly〉より 1986年 右:〈赤花 アカバナー 沖縄の女〉より 1975-1977年


石川真生〈沖縄と自衛隊〉より 1993年

 

石川は1977年のミノルタフォトスペースでの個展「金武の女たち」で田嶋一雄賞・アマチュア写真大賞ノミネート作品賞を受賞し、1999年から数年間にわたり個展「日の丸を視る目」が全国各地を巡回。その後も「ノンセクト・ラディカル 現代の写真III」(横浜美術館、2004)、「沖縄・プリズム1872-2008」(東京国立近代美術館、2008)、「アジアをつなぐー境界を生きる女たち1984-2012」(福岡アジア美術館、沖縄県立博物館・美術館、栃木県立美術館、三重県立美術館、2012-2013)、「LOVE展:アートにみる愛のかたち」(森美術館、2013)などで作品を発表。2013年に横浜市民ギャラリーあざみ野で個展「沖縄を撮る」を開催。

2014年より〈大琉球写真絵巻〉に取り組み、2018年には原爆の図 丸木美術館で個展「石川真生 大琉球写真絵巻」を開催。同年、琉球新報活動賞文化・芸術部門、沖縄タイムス芸術選賞大賞写真部門を受賞し、翌2019年には日本写真協会賞作家賞を受賞した。2021年には、沖縄県立博物館・美術館にて回顧展「石川真生:醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。」を開催した。

本展は、沖縄での回顧展の成果も踏まえつつ、初期からの主要な作品をはじめ、とりわけ2014年から取り組んでいる「大琉球写真絵巻」の新作を中心に展示し、石川の作歴を概観するとともに、昨年沖縄の本土返還50周年を迎えるもなお、困難な状況に置かれている現代の沖縄という地政学的な最前線で撮影を続ける石川の活動を紹介する。

 


石川真生〈ヘリ基地建設に揺れるシマ〉より 2002年


石川真生〈日の丸を視る目〉より 2008年


石川真生〈大琉球写真絵巻 パート1〉より 2014年

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