今津景《Hainuwele》2023年 油彩、ジュート 350×800cm トゥムルン美術館(インドネシア) courtesy of The Artist and ROH
今津景 タナ・アイル
2025年1月11日(土)-3月23日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー
https://www.operacity.jp/ag/
開館時間:11:00–19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(祝休日の場合は翌火曜日)、2/9
展覧会URL:https://www.operacity.jp/ag/exh282/
東京オペラシティ アートギャラリーでは、制作行程にコンピュータでの画像加工を取り込み絵画を制作する今津景の大規模個展「今津景 タナ・アイル」を開催する。本展では、今津が現在拠点にしているインドネシアと自身のルーツである日本のふたつの土地での経験と思考に基づき制作した新作を中心に、過去作品と合わせて展覧することで、その制作の全貌を紹介する。
今津景(1980年山口県生まれ)は、インターネットやデジタルアーカイブといったメディアから採取した画像を、コンピュータ・アプリケーションで加工を施しながら構成し、その下図を基にキャンバスに油彩で描く手法で作品を制作している。科学技術の発展と人類の知覚や空間認識、物事に対する考え方の変化は密接な関わりがあり、今津はスマートフォンの普及やAIなどの現代の技術革新に呼応するようにそれらを制作過程に取り込むことで、美術史における新たな絵画表現を探求している。2005年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業し、2007年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了。近年の主な展覧会に、「Alternative Sea for Asia」(全南道立美術館、韓国、2023)、個展「Mapping the Land/Body/ Stories of its Past」(ANOMALY、東京、2021)、「Prix Jean-François Prat 2020」(Bredin Prat Foundation、パリ)、個展「今津景 Anda disini / You are here」(カスヤの森現代美術館、神奈川、2019)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京)、「In Focus: Contemporary Japan」(ミネアポリス美術館、アメリカ合衆国ミネソタ州、2017)など。あいちトリエンナーレ2019や2022年のドクメンタ15(バグース・パンデガとの共作)、第7回昌原彫刻ビエンナーレ(韓国、2024)、バンコク・アート・ビエンナーレ2024(バグース・パンデガとの共作)などの国際展に参加。
今津景《Memories of the Land/Body》2020年 油彩、キャンバス 300×600cm タグチアートコレクション photo: 木奥惠三 courtesy of The Artist and ANOMALY
今津景《When Facing the Mud (Response of Shrimp Farmers in Sidoarjo)》2022年 油彩、アクリル、泥、UVプリント、キャンバス 194×388 cm 個人蔵 courtesy of The Artist and ROH
今津景《RIB》2021年 油彩、キャンバス 200×300cm フィンク・コレクション courtesy of The Artist and ANOMALY
今津は、2017年にインドネシアのバンドンに制作と生活の拠点を移したことに伴ない、生活の中でリアリティを持って捉えたインドネシアの都市開発や環境汚染といった事象に対するリサーチをベースとした作品へと移行。インドネシア・ジャワ島の西部を流れ、「世界で最も汚染された川」と呼ばれるチタルム川や、同じくジャワ島のシドアルジョ天然ガス採掘現場で起こった世界最大の泥火山の噴出事故とそこで暮らす人々の生活などを現地取材し、制作に取り入れている。
近作では、従来からのモチーフに加え、インドネシアの歴史や神話、生物の進化や絶滅といった生態系などを題材に複数の時間軸を重ね合わせ、膨大なイメージや情報を同一平面上に並置し、より普遍性を持つ作品へと発展させている。本展でも、神秘的な力を持った女性「ハイヌウェレ」の神話を、フェミニズムや、オランダや日本の占領下におかれたインドネシアの植民地史などさまざまな角度から読み解き、さらに自身の出産といった個人的な体験と結びつけた新作シリーズを中心に展示する。
また、近年は絵画に留まらず創作の幅を広げており、3Dプリンターによる巨大な骨格標本や土器などの立体作品のほか、バンドンで行なわれていたというマラリアの特効薬であるキナの栽培をめぐる新作インスタレーションを発表。
インドネシア語で土と水を指し、ふたつの言葉を合わせると故郷を意味する「タナ・アイル」を冠した本展において、今津は、インドネシアに生活し日本にルーツを持つ自身の立ち位置を批評的に思考した作品を展開する。
今津景《Bandoengsche Kininefabriek》2024年 ミクストメディア サイズ可変 作家蔵 courtesy of The Artist and ROH
「unearth」ROH(インドネシア)展示風景 2023年 courtesy of The Artist and ROH
同時開催
紙の上の芸術 収蔵品展082 寺田コレクションより
2025年1月11日(土)-3月23日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー ギャラリー3、4
project N 97 福本健一郎
2025年1月11日(土)-3月23日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー 4Fコリドール