石川真生展:醜くも美しい人の一生 私は人間が好きだ。 @ 沖縄県立博物館・美術館


《大琉球写真絵巻 パート6》より、2019年 ©︎ Mao Ishikawa

 

石川真生展:醜くも美しい人の一生 私は人間が好きだ。
前期|2021年3月5日(金)- 4月25日(日)
後期|2021年4月27日(火)- 6月6日(日)
沖縄県立博物館・美術館
https://okimu.jp/
開館日時:9:00-18:00(金曜・土曜は20:00まで)※入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/15、3/22は開館)、3/16、3/23
※会期中に前後期で展示替えあり。ただし、〈大琉球写真絵巻〉は会期中5回展示替えを行なう。

 

沖縄県立博物館・美術館では、1970年代より沖縄とそこに暮らす人々を撮りつづけ、近年は琉球國から現代に至る沖縄の歴史を「大琉球写真絵巻」として制作する写真家・石川真生の個展『醜くも美しい人の一生 私は人間が好きだ。』を開催する。

石川真生(1953年国頭郡大宜味村生まれ)は、1972年の沖縄本土復帰の前年に起こった返還協定に反対するデモで火炎瓶に当たった機動隊員を目撃した体験から「沖縄を表現するために写真家になる」と決意。以来、47年のキャリアを通じて、沖縄を拠点に沖縄に暮らすさまざまな境遇に置かれた人々に密着した作品を発表してきた。本展では、1975年から77年にかけて、コザ市(現沖縄市)や金武町の米軍基地周辺のバーで働く女性たちの暮らしを撮影した〈アカバナー〉シリーズ(1975-77)から、第二次安倍政権による普天間基地の辺野古のキャンプ・シュワブへの移転推進、在沖米軍基地へのオスプレイ配備などを受けて、琉球國時代から、1609年の薩摩藩による琉球侵略、1872年から79年の明治政府による琉球処分による日本併合、同化政策、沖縄戦、米軍統治、本土復帰後も続く日米地位協定、米軍の新基地建設問題など、沖縄に犠牲を強いる歴史の場面を、友人、知人とともに創作写真として制作した〈大琉球写真絵巻〉シリーズ(2014-)まで、各シリーズから作品を選び、石川自身が所蔵する発表当時のヴィンテージプリントを中心に、総数約500点の作品を紹介する。また、会期中には石川本人によるギャラリートークを6回開催する予定。

 


〈アカバナー〉より、1975-1977年 ©︎ Mao Ishikawa

 

石川は1974年にWORKSHOP写真学校東松照明教室で写真を学ぶ。77年に『金武の女たち』(ミノルタフォトスペース、東京)で田嶋一雄賞・アマチュア写真大賞ノミネート作品賞を受賞。1999年から数年間、個展『日の丸を視る目』が全国各地を巡回し、その後も『ノンセクト・ラディカル 現代の写真III』(横浜美術館、2004)、『沖縄・プリズム1872-2008』(東京国立近代美術館、2008)、『アジアをつなぐー境界を生きる女たち1984-2012』(福岡アジア美術館、沖縄県立博物館・美術館、栃木県立美術館、三重県立美術館、2012-2013)、『LOVE展:アートにみる愛のかたち』(森美術館、2013)などで作品を発表。2013年には横浜市民ギャラリーあざみ野で個展『沖縄を撮る』を開催、2014年より「大琉球写真絵巻」シリーズの発表を継続し、2018年には原爆の図 丸木美術館で個展を開催している。2018年には琉球新報活動賞文化・芸術部門、沖縄タイムス芸術選賞大賞写真部門を受賞し、2019年には日本写真協会賞作家賞を受賞している。その作品は、東京都写真美術館、福岡アジア美術館、横浜美術館、ヒューストン美術館、メトロポリタン美術館などに収蔵されており、2020年には東京都写真美術館が沖縄出身あるいは沖縄を拠点に活動した写真家の作品のみで構成した『TOPコレクション 琉球弧の写真』にも〈アカバナー〉シリーズが出品された。

 


:〈沖縄芝居-仲田幸子一行物語〉より、1977-1991年 ©︎ Mao Ishikawa
:〈基地を取り巻く人々〉より、1997年 ©︎ Mao Ishikawa


〈森花 – 夢の世界〉より、2014年 ©︎ Mao Ishikawa

 

なお、沖縄県立博物館・美術館では昨年10月20日より美術館コレクション展を開催している。コレクションギャラリー1では、戦後沖縄の写真界を牽引した山田實の作品から復興期の沖縄と戦後を強く生きた子どもたちの記録〈こどもたちのオキナワ〉シリーズを紹介する。召集を受けて戦地に赴き、敗戦後にシベリア抑留を経て1952年に沖縄に帰還。戦禍による荒廃から復興する沖縄を巡り、苦境にありながらもたくましく生きる子どもたちを撮り続け、『こどもたちのオキナワ 1955–1965』(池宮商会、2002)が代表作として知られる。また、コレクションギャラリー2では「子ども」をテーマに、安谷屋正義ジャン・シャオガン久場とよ岡本太郎の作品を紹介。コレクションギャラリー3では、戦後沖縄美術を牽引したひとりでニシムイ美術村の建設にも加わった安谷屋正義に焦点をあてながら、沖縄の現代美術の流れを概観する。

 


山田實《元気な子供たち・豊見城村》1962年

 

 


 

美術館コレクション展「沖縄美術の流れ(写真)」「子どもの情景」「沖縄美術の流れ(絵画)」
2020年10月20日(火)- 2021年6月27日(日)
沖縄県立博物館・美術館 コレクションギャラリー1・2・3

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