高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.09 時どきどき想像 @ 高松市美術館


井上佐由紀《私は初めてみた光を覚えていない》 東京都写真美術館蔵

 

高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.09 時どきどき想像
2020年10月31日(土)- 12月13日(日)
高松市美術館
https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/
開館時間:9:30-17:00(金土は19:00まで)入室は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、11/23は開館)、11/24
展覧会URL:https://annual09.takamatsu-art-museum.jp/
企画:尾形絵里子(高松市美術館学芸員)

 

高松市美術館では、独創性、将来性に優れたアーティストを発掘、紹介するグループ展『高松コンテンポラリーアート・アニュアル』を開催する。2009年にパイロット版として開かれた「vol.00」以来、10年という節目を迎える本展は「時どきどき想像」のタイトルの下、蝸牛あや、井上佐由紀、後藤映則、保井智貴、大西康明を紹介する。

「時」は、過去から現在、そして、未来へと不可逆的に進むと考えられる一方で、私たちは記憶をたどり、将来を思い描くなど、意識の中で「時」を自由に行き来することができる。「時を想像する」をテーマとする本展は、それぞれ具象的なモチーフを扱いながらも、「畏れ」や「記憶」などといった抽象的なものを探究する5人のアーティストによるさまざまな表現を通じて、観客に身の回りや社会の「目にはみえないもの」について深く考え、想いを巡らせる機会を提供する。

蝸牛あや(1978年兵庫県生まれ)は、「祈り」の手段として長い歴史をもつ刺繍に感銘を受け、さまざまな地域の技法を学び、貝殻や石といった自然の創り出した形や色、模様に太古の物語を紐解く刺繍作品を制作している。蝸牛の一針一針に思いを込めた作品は、現代において形式化した祈りをその本質へと導く。2010年代より現在に至るまで、MEGUMI OGITA GALLERY(東京)での個展を中心に作品を発表している。井上佐由紀(1974年福岡県生まれ)は、波を何の意思もなく動く生き物として捉えた「意思のない生物」シリーズや、断続的に水蒸気や熱湯の吹き出しを繰り返す間欠泉を撮影した「くりかえし」シリーズ、新生児の生まれて初めて目を開いた瞬間を撮影した「私は初めてみた光を覚えていない」シリーズなど、オソレ(恐れ、畏れ、怖れ)をテーマとした写真作品を発表している。2019年には東京都写真美術館の『日本の新進作家展 vol.16「至近距離の宇宙」』でも作品を発表している。後藤映則(1984年岐阜県生まれ)は、連続写真の原理と3Dプリンターの技術を使い、時間の可視化を試みた「toki-」シリーズをはじめ、古くから存在するメディアや手法を、先端のデジタルテクノロジーと掛け合わせた作品を制作している。文化庁メディア芸術祭(2017年に審査委員会推薦作品)やアルスエレクトロニカフェスティバル(2018年に栄誉賞受賞)などで作品を発表、2019年にはNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]の『オープン・スペース 2019 別の見方で』にも出品している。

 


蝸牛あや《王国》 Courtesy of MEGUMI OGITA GALLERY


後藤映則《ENERGY#01》 展示風景

 

保井智貴(1974年アントワープ生まれ)は、乾漆や漆、螺鈿の伝統技法や 3Dデジタル技術を用いて、人や社会がもつ記憶やそれらが影響しあう様を想像させる木彫の人体彫刻を制作している。2000年代前半より作品の発表を開始し、2005年に第34回中原悌二郎賞優秀賞を受賞。箱根彫刻の森美術館での個展『佇む空気/ silence』(2014)をはじめ、国内外各地で作品を発表。昨年はvoid+にて個展『Misty』を開催している。大西康明(1979年大阪府生まれ)は、接着剤やポリエチレンシートなどの素材を用いて、空洞や余白を視覚化し、「現在」を構成する空間の裏側を示唆する作品を発表している。2000年代半ばより国内外で作品を発表し、近年もラスベガスのBellagio Gallery of Fine Artで個展『Permeating Landscape』(2018)を開催、デンマークのルイジアナ近代美術館での『THE MOON – From Inner Worlds to Outer Space』(2018)、台中の国立台湾美術館での『Writing of Light』(2020)、岐阜県美術館での『清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2020』(2020)などに出品している。

本展会期中には、アーティスト・トークや、学芸員、ボランティアciviによるギャラリートークのほか、蝸牛あやのワークショップ「自然の中で見つけたものをよく見て、鉛筆で描いてみよう」、後藤映則のワークショップ「時間のかたち」、ピアニストの波多翼によるミニコンサート「刻まれる時の中で変容する空間」を開催。また、連携企画として「まちにある家という彫刻」を開催し、高松市仏生山町近辺にある保井智貴のオルタナティブスペース「彫刻家の家」と雑貨店「TOYTOYTOY」の2会場で保井作品を展示する(11月21日にはワークショップを実施)。

 


保井智貴《sign》 photo: Kohei Yamamoto ©Courtesy of MA2gallery


大西康明《日々の距離》

 

関連イベント
アーティスト・トーク
出演:蝸牛あや、井上佐由紀、後藤映則、保井智貴、大西康明
2020年10月31日(土)14:00-16:00(開場:13:30)
会場:高松市美術館1階講堂
定員:30名(先着、要申込)、無料
申込:10/13(火)8:30より電話受付開始(087-823-1711)

ギャラリートーク(展示解説)
学芸員:2020年11月1日(日)14:00-
ボランティアcivi:会期中の日曜(ただし、11/1を除く)14:00-
会場:高松市美術館2階展示室
※無料、要観覧券

ワークショップ「自然の中で見つけたものをよく見て、鉛筆で描いてみよう」
講師:蝸牛あや
2020年11月1日(日)9:30-12:00
会場:高松市美術館3階講座室
定員:8名(先着、要申込)
対象:小学3年生以上
受講料:500円
持ち物:石や貝、羽根など、きれいだな、面白いなと思う自然なもの。
申込:10/6(火)8:30より電話受付開始(087-823-1711)

ワークショップ「時間のかたち」
講師:後藤映則
2020年11月14日(土)14:00-16:30
会場:高松市美術館1階講堂
定員:8名(先着、要申込)
対象:小学3年生以上
受講料:500円
申込:10/6(火)8:30より電話受付開始(087-823-1711)

ミニコンサート「刻まれる時の中で変容する空間」
演奏:波多翼(ピアノ)
2020年11月28日(土)13:30-14:00(開場:13:00)
会場:高松市美術館1階講堂
定員:30名(先着、要申込)、無料
申込:11/3(火)8:30より電話受付開始(087-823-1711)

 


保井智貴《まちにある家という彫刻》 photo: Kohei Yamamoto

 

連携企画「まちにある家という彫刻」
高松市仏生山町近辺にある保井智貴のオルタナティブスペース「彫刻家の家」を背景に、町の移り変わりを感じるプロジェクトを開催。
開場日:会期中(10/31-12/13)の土曜(ただし、10/31を除く)、11/3、11/20、11/22、12/11、12/13
開場時間:13:00-17:00
会場:彫刻の家http://ienoie.info/
TOYTOYTOYhttp://www.toytoytoy.jp/ ※申込および展示内容確認は10/1(木)より、メール(info@toytoytoy.jp)にて受付
※ともに無料

ワークショップ
講師:保井智貴
2020年11月21日(土)
会場:香川県高松市仏生山町近辺
定員:8名(先着、要申込)
対象:中学1年生以上
受講料:500円(昼食代別途)
持ち物:カメラ(スマートフォン、デジタルカメラなどパソコンにデータを送付できるもの)
申込:10/13(火)8:30より電話受付開始(087-823-1711)

Copyrighted Image